巾木(幅木)まわりや足元の間接照明は、廊下・客室・店舗・階段・通路の床面をやわらかく照らし、夜間の安全と上質な空間演出を両立できる定番の納まりです。一方で、足元は視線が斜め下に入りやすくグレア(まぶしさ)が出やすい・清掃水やモップ・人の蹴りが当たる・1本が長くなって電圧降下しやすいという、天井コーブとは違う固有の難しさがあります。本記事では、巾木・足元の間接照明をLEDテープで作るときの納まりの選び方・グレア対策・電源配置・防水と段差処理・施工手順を施工業者向けに整理します。

足元照明の3原則: ①テープを直接見せない(離隔・見切り・発光方向)/②電圧降下を見越して給電を分ける/③床に近いほど防水と物理保護を上げる。この3つを最初に決めてから部材を選ぶと、納まりも配線も破綻しません。

巾木・足元の間接照明 3つの納まり

「どこを照らすか・テープをどこに隠すか」で納まりが決まります。代表的な3タイプを整理します。

納まり照らす面テープの位置・向き向いている場所
壁面ウォッシュ(巾木上)巾木上端から壁面を上へ巾木上端の見切り内に上向き廊下・客室・ロビーの壁演出
床面ウォッシュ(巾木下・けこみ)巾木の下から床を手前へ巾木下のリップ内に手前下向き通路・階段・客席の足元安全
スリット内蔵(見切り埋込)壁と床の見切りスリットから線状にアルミフレームをスリットに埋込意匠性の高い店舗・ホテル

いずれも共通するのは「人の目にテープ(光源)が直接入らないように、張り出し(リップ)や見切り材で隠す」こと。隠し方の基本は天井コーブと同じなので、コーブ・コーニス照明間接照明の設計の考え方も合わせて押さえると応用が効きます。

計画段階で決めること(離隔・グレア・ルート)

足元はグレアが命取りです。図面段階で「立った人・座った人の視線から光源が見えないか」を断面で検討します。

検討項目目安・判断基準
離隔(テープ〜照射面)20〜40mm程度。近すぎるとドット/筋、遠いと暗くムラ
隠し代(リップ・見切りの張り出し)立位・座位の視線で光源が見えない深さを断面で確認
発光方向壁を照らす=上向き/床を照らす=手前下向き。視線へ向けない
明るさ(W/m)足元安全なら控えめ、壁演出ならやや高出力。調光対応も検討
連続長さ・分割電圧降下と最大接続長を計算し給電位置を先に決める
清掃方法水拭き・モップの有無で防水等級と納まり高さを決める

しゃがんで確認: 足元照明は座る・寝そべる視点(客席・客室・ベンチ)から光源が丸見えになりがちです。図面だけで判断せず、現場で実際にしゃがんで・座って光源が見えないかを確認してください。グレアは「立って見て大丈夫」でも低い視線で破綻します。詳しくはグレア対策を参照。

部材選定のポイント

足元・巾木は「隠す・守る・送る」を同時に満たす部材選びがポイントです。

アルミフレーム 巾木・床用の埋込/見切り型

放熱+テープ保護+拡散カバーでドット消し

防水等級 床近接は IP65 以上

水拭き・モップ・厨房まわりは特に重視

テープ種別 COB(ドット感が出にくい)

線状の光が欲しい足元・スリットに好適

テープが見えやすい足元では、粒々が出にくいCOBテープと拡散カバーの組み合わせが扱いやすいです。拡散カバーでピーク輝度を抑え、アルミフレームの取り付けで放熱と保護を確保します。防水の考え方はIP防水等級で確認してください。

電源配置と電圧降下対策

巾木は壁を一周するなど1本が長くなりやすく、電源から遠い端で暗くなる電圧降下が起きがちです。足元は粗が見えやすいので、明るさムラは特に目立ちます。

  • 給電位置を中央に:点灯範囲の中央付近に電源を置き、左右へ振り分けると片側だけ暗くなる現象を抑えられます。
  • 長尺は両端・中間給電:1本が長いときは両端給電や中間給電で降下を分散します。最大接続長と電線サイズは必ず計算してください(電圧降下の計算と対策)。
  • PSUは放熱・点検できる場所へ:電源を巾木内の密閉空間に押し込むと熱がこもり寿命を縮めます。収納内・天井裏・専用ボックスなど放熱と点検ができる位置に置き、配線で送ります(電源の配置設計)。
  • 有資格者が施工:AC側分岐・接地を含む配線作業は電気工事士の有資格者が行います。低圧側の結線・極性は電源配線で確認。

巾木・足元 間接照明の施工手順

  1. 断面検討・採寸:納まり(壁/床/スリット)と離隔・隠し代を断面で決定。レイアウト・採寸で長さと給電位置を確定。
  2. 下地・防水確認:取付下地の強度・平滑さ、清掃方法から防水等級を確定。床近接はIP65以上を選定。
  3. フレーム固定:巾木・見切り・けこみにアルミフレームをビス/接着で固定。コーナーは納まりが崩れやすいので先に検討(コーナー処理)。
  4. カット・テープ装着:カットマークで切り、極性を合わせてフレームに装着(カット位置)。端末は防水処理。
  5. 配線・隠蔽:送り線・渡り線を壁内や見切り内へ隠蔽(隠蔽配線)。コネクタは水のかからない高い位置へ。
  6. 通電・グレア確認:通電して明るさムラ・ドット感・光源の見え方を、立位・座位の両視点で確認。
  7. カバー・見切り取付:拡散カバー・見切り材を付けて光源を隠し、最終の見え方を調整。
  8. 清掃テスト・引き渡し:実際の清掃(水拭き・モップ)を想定して干渉・浸水がないか確認して引き渡し。

巾木・足元 間接照明 チェックリスト

  • 立位・座位の両視点で光源(テープ)が直接見えないか確認したか
  • 離隔20〜40mmと隠し代を断面で検討したか
  • 発光方向を視線から逃がしたか(壁=上向き/床=手前下向き)
  • 1本の長さから電圧降下を計算し給電位置を決めたか
  • 長尺は両端・中間給電でムラを抑えたか
  • PSUを放熱・点検できる場所に置いたか(巾木内密閉に押し込んでいないか)
  • 清掃方法に合わせIP等級(床近接はIP65以上)を選んだか
  • 端末防水とコネクタ位置(水のかからない高さ)を確保したか
  • コーナー・段差・出隅入隅の納まりを先に検討したか
  • AC側配線は電気工事士の有資格者が施工する体制か

巾木・足元の間接照明は、納まりさえ決まれば再現性の高い施工です。鍵は「テープを見せない」「電圧降下で端を暗くしない」「床に近いほど守る」の3点。低い視線でのグレア確認と、清掃を想定した防水・納まりまで詰めれば、住宅から店舗・ホテルまで安定して美しい足元照明に仕上がります。

よくある質問

巾木・足元の間接照明で光源(テープ)が直接見えてまぶしくなります。どう隠せばよいですか?
足元の照明は視線が斜め下に入りやすく、テープが直接見えるとグレア(まぶしさ)になります。対策は3つです。第一に発光方向を人の視線から逃がすこと——壁を照らすなら上向き、床を照らすなら手前下向きにして、立った人の目に光源が直接入らない角度にします。第二に見切り材やリップ(張り出し)でテープを物理的に隠し、20〜40mm程度の離隔を取って光をにじませること。第三に拡散カバー付きのアルミフレームでドット感と輝度のピークを抑えることです。座る・寝そべる視点がある空間(客席・客室など)では、低い視線でも光源が見えないか必ず現場でしゃがんで確認してください。
足元の間接照明で電源(PSU)はどこに置けばよいですか?長く配線して大丈夫ですか?
巾木の間接照明は1本が長くなりやすく、電源から遠い端で電圧降下により暗くなりがちです。電源はできるだけ点灯範囲の中央付近に置いて左右へ分けて送るか、長い区間は両端給電・中間給電で電圧降下を抑えます。低電圧(12V/24V)は電線が細いと降下が大きいので、こまめに電線サイズと送り長さを計算してください。PSU本体は熱を持つため、巾木内の密閉空間に押し込まず、点検・放熱できる場所(収納内・天井裏・専用ボックス)に設置します。AC側の分岐・接地も含め、低圧屋内配線にあたる作業は電気工事士の有資格者が行ってください。
床に近いので水拭き・モップ・掃除機が当たります。防水はどこまで必要ですか?
足元は清掃水・モップ・段ボールの擦れ・人の蹴りが当たる過酷な位置です。床面に近い納まり(巾木下・けこみ)や、水拭き清掃のある店舗・厨房・浴室まわりでは、テープ単体の防滴ではなくIP65以上の防水テープを、できればアルミフレーム+カバーで物理保護した状態で使うのが安全です。さらに、端末(切り口)の防水処理とコネクタ位置を水のかからない高い位置に置くこと、配線の引き込み口をシールすることが要点です。乾式の住宅居室など水がかからない位置であれば非防水でもよいですが、清掃方法を施主に確認してから等級を決めてください。

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