この記事の結論:LEDテープと吊り下げ用アルミフレームで、既製のライン照明に近いペンダント型・連結ラインを作れます。品質を左右するのは拡散カバー(乳白)・発光面までの奥行き・LED密度の粒感対策、上下配光の使い分け、そして長尺での電圧降下と色ムラ対策です。目線に近い吊り下げは粒が見えやすいので、乳白カバー+十分な奥行き+高密度またはCOBが基本です。
吊り下げライン照明を「作る」構成部材
吊り下げライン照明は、既製の器具を買わなくてもLEDテープ+吊り下げ用アルミフレーム+拡散カバー+電源+吊りワイヤーで構成できます。フレームがテープの放熱と拡散カバーの受けを兼ね、ワイヤーで天井から吊ることで、オフィスのデスク上や店舗のカウンター上に連続した線の光を作れます。まず部材の役割を整理します。
| 部材 |
役割 |
選定のポイント |
| LEDテープ |
光源 |
高密度/COB・色温度・W/m |
| 吊り下げ用アルミフレーム |
放熱・拡散カバー受け・剛性 |
深さ(奥行き)・上下配光・長さ |
| 拡散カバー |
粒感を消す・グレア低減 |
乳白(フロスト)/透明 |
| 電源(PSU) |
低電圧供給 |
容量余裕・調光対応・設置場所 |
| 吊りワイヤー・給電 |
固定・電源引き回し |
ワイヤー吊り・給電線の逃がし |
粒感を消す3つの要素
吊り下げは目線から近く粒(つぶつぶ)が見えやすいため、間接照明以上に均一さが問われます。粒感を消す鍵は次の3点です。ドット感対策の詳細は ドット感を消すガイド も参照してください。
①
乳白カバー
透明ではなく乳白(フロスト)を選ぶ。光を拡散させて粒を溶かす。カバーの選び方は用途で分ける。
②
発光面までの奥行き
深めのフレームでテープとカバー面の距離を確保。光が広がってから面に届き粒が均一化する。
③
高密度/COB
LED密度の高いテープやCOBタイプは、素子が連続して見え線光源になり粒が目立たない。
よくある失敗:「浅いフレームに透明カバーでつぶつぶが丸見えになった」
浅いフレーム+透明カバー+低密度テープの組み合わせは、至近距離でLEDの粒がそのまま見えます。吊り下げは乳白カバー+十分な奥行き+高密度またはCOBを基本にし、特に粒感を嫌う場所はCOBテープで連続した線にします。COBとSMDの違いは COB vs SMDガイド を参照してください。
上下配光の使い分け(アップ・ダウン)
吊り下げの利点は、下面(作業面照明)と上面(天井への間接光)を同時に作れることです。下面はデスクや商品を照らし、上面は天井を明るくして空間の陰影をやわらげます。両面発光フレーム、または下向き・上向きフレームの背中合わせで実現します。
| 配光 |
向き |
狙い |
おすすめカバー |
| ダウン(下面) |
作業面・商品へ |
手元の照度確保 |
乳白(グレア抑制) |
| アップ(上面) |
天井へ |
間接光で陰影緩和 |
透明/乳白 |
| 上下両方 |
両面発光 |
照度+空間の明るさ |
下=乳白/上=任意 |
上下で別系統にすると独立制御できる:上面と下面を別電源・別調光にすると、手元は明るく・天井はやわらかく、と独立してコントロールできます。デスク照度と天井の暗さを両立させたいオフィスに向く構成です。調光方式の選び方は 調光方式ガイド、間接照明全体の設計は 間接照明設計ガイド を参照してください。
長尺・連結時の電圧降下と色ムラ対策
連結ライン照明で暗化・色ムラを防ぐ
電圧降下:1本の許容接続長を超えて直列 → 末端が暗い
対策 → 両端給電/中間給電/電源分散
長尺は12Vより24V以上を選ぶ(接続長を伸ばせる)
色ムラ:異なるリール・ロットを混ぜると色がずれる
対策 → 同一ラインは同ロットでそろえる
色の許容差(SDCM)の小さいテープを選ぶ
長く連結するほど末端の電圧降下と、ロット違いの色ムラが出やすくなります。電圧降下は 電圧降下ガイド、電圧の選び方は 12V/24Vガイド、色の均一性は 色ムラガイド を参照してください。給電位置とロットを設計段階でそろえるのが最大の予防策です。
施工手順(吊り下げの流れ)
- ライン長・配光(下面/上下)・色温度・明るさ(W/m)を決め、粒感対策として乳白カバー+深めフレーム+高密度/COBを選ぶ。
- フレームにテープを貼る前に下地を脱脂し、密着と放熱を確保する(アルミフレーム取付参照)。
- 吊り位置に合わせてワイヤー吊り金具を天井へ固定し、フレームを水平に吊る。
- 給電線をワイヤーや天井裏に沿わせて逃がし、電源は天井裏や点検口近くに納める。
- 長尺は両端給電・電源分散で電圧降下を抑え、連結は同ロットでそろえる。
- 通電し、粒感・色ムラ・末端の暗化・水平を目視で確認し、調光を最終調整する。
選定の目安スペック
テープ
粒感対策高密度/COB
色ムラ同ロット・SDCM小
電圧長尺は24V以上
フレーム・カバー
カバー乳白(フロスト)
奥行き深め(粒を溶かす)
配光下面/上下
電源・吊り
容量定格の70〜80%
給電両端/分散
吊りワイヤー水平固定
施工チェックリスト
- 目線に近い吊り下げは乳白カバー+深めフレーム+高密度/COBにした
- 下面(作業面)/上下配光を用途に合わせて決めた
- 上下で明るさ・色を変える場合は別系統・別調光にした
- フレームは下地を脱脂して密着・放熱を確保した
- ワイヤーで水平に吊り、給電線を天井裏へ逃がした
- 長尺は両端給電・電源分散で電圧降下を抑えた
- 連結は同ロットでそろえ、通電で粒感・色ムラ・暗化を確認した
よくある質問
Q. 吊り下げライン照明の粒感(LEDのつぶつぶ)を消すにはどうすればいいですか?
粒感を消す鍵は、拡散カバーの種類・テープとカバーの距離(発光面までの奥行き)・LED密度の3点です。まずカバーは透明ではなく乳白(フロスト)タイプを選びます。次にアルミフレームの深さでテープとカバー面の距離を確保すると、光が広がってから面に届くため粒が溶けます。浅いフレームで至近距離だと乳白でも粒が残りやすいので、粒感を特に嫌う場所は深めのフレームか、LEDが連続して見えるCOBタイプのテープを選ぶと均一な線光源になります。さらにLED密度の高い(1mあたりのチップ数が多い)テープほど粒が目立ちにくくなります。吊り下げは目線から近く粒が見えやすいので、乳白カバー+十分な奥行き+高密度またはCOB、の組み合わせが基本です。
Q. 上下両方向に光らせる(アップ・ダウンライト)ことはできますか?
できます。吊り下げライン照明では、下面を作業面照明(ダウン)、上面を天井へ向けた間接光(アップ)として使い分けるのが一般的です。実現方法は2つあり、1つは上下に発光面を持つ両面発光タイプのフレームを使う方法、もう1つは下向きフレームと上向きフレームを背中合わせに組む方法です。オフィスのデスク上なら下面はグレアを抑えた乳白カバーで手元を照らし、上面は天井を明るくして空間全体の陰影をやわらげます。上下で明るさや色を変えたい場合は、上面と下面を別系統の電源・調光にすると独立してコントロールできます。配光を分けるとデスクの照度を確保しつつ天井の暗さも解消できるため、オフィスや店舗のライン照明で好まれる構成です。
Q. 長いライン照明を連結すると端が暗くなったり色がずれたりしませんか?
長く連結すると、末端の電圧降下による暗化と、リール(ロット)違いによる色ムラの2つが起きやすくなります。電圧降下は、1本の許容接続長を超えて直列につなぐと末端ほど電圧が下がり暗くなる現象で、対策は両端給電・中間給電・電源分散です。24Vは12Vより接続長を伸ばせるので、長いラインは24V以上を選ぶのも有効です。色ムラは、異なるリールやロットのテープを1つのラインに混ぜると発生しやすいため、同一ラインは同じロットのテープでそろえ、可能なら色の許容差(SDCM)の小さいテープを選びます。連結部のコネクタは接触不良の起点にもなるので、長尺は直はんだや点検できる中継ボックスで確実に接続してください。設計段階で給電位置とロットをそろえておけば、施工後の暗化・色ムラのクレームを防げます。
吊り下げ用フレーム・乳白カバー・COB/高密度テープを探す
吊り下げ用アルミフレーム・乳白拡散カバー・COB/高密度LEDテープ・容量に余裕のある電源を取り扱っています。粒感の少ないライン照明を作れます。
商品ラインナップを見る