修理継続かLED化かの判断基準

ガラス管ネオンの修理は、管の再制作ができる職人とネオン工事の有資格者の両方が必要で、対応できる体制が全国的に縮小しています。「管が1本割れただけ」の案件でも、現場調査の結果トランスの寿命・碍子の劣化・高圧配線の被覆硬化が同時に見つかることが多く、部分修理を繰り返すより一度でLED化したほうが安く済むケースが目立ちます。以下の基準で切り分けてください。

現場の状態推奨対応理由
管の破損1本のみ・トランス正常・設置10年未満修理継続も可管1本の再制作で復旧できる。ただし職人の手配期間は要確認
管の破損が複数・点滅や部分不点灯があるLED化推奨複数本の再制作費と再修理リスクがLED化費用を上回りやすい
トランスが唸る・絶縁劣化の兆候(オゾン臭・リーク音)LED化推奨ネオン変圧器の交換自体に特種電気工事資格者が必要で手配困難
設置15年以上・碍子や高圧配線の劣化が広範囲LED化推奨高圧系統の全面更新になり、修理費が新設に近づく
歴史的価値のあるサインで「ガラス管の質感」が要件修理継続LEDフレックスの面発光とガラス管の輝きは質感が異なる。要施主合意
見積のコツ: LED化見積には「高圧設備の撤去処分費」を必ず1式で計上してください。トランス・碍子・高圧線の撤去と開口部の防水処理は、フレックス材料費と同じくらい工数を食う項目です。

ネオン管とLEDネオンフレックスの比較

改修提案時に施主へ提示できる比較表です。数値は一般的な屋外看板クラス(発光長10m)の目安です。

項目ガラス管ネオンLEDネオンフレックス
使用電圧二次側 9,000〜15,000V(高圧)DC12V / DC24V(低圧)
消費電力(発光長10m目安)約300〜500W(トランス損失込み)約80〜150W(8〜15W/m)
設計寿命の目安管は長寿命だがトランス・電極が先に劣化L70で30,000〜50,000時間
破損リスクガラス管=飛来物・振動で割れる樹脂押出成形=割れない
工事資格特種電気工事資格者(ネオン工事)電気工事士(AC100/200V側のみ)
修理体制管職人+有資格者の手配が年々困難部材交換で対応可能
調光・点滅制御点滅器(フラッシャー)で単純点滅のみPWM調光・チェイス・DMX制御まで可

高圧トランス撤去と資格要件

LED化改修で最初に行うのが既設高圧設備の撤去です。ここは資格と手順を誤ると重大事故につながる工程なので、受注前に体制を確認してください。

  • ネオン設備(トランス・高圧配線・管)の撤去・接続替え:ネオン工事に係る特種電気工事資格者の業務範囲です。自社に有資格者がいない場合は撤去のみ外注し、以降のDC低圧工事を自社施工する分担が現実的です。
  • 撤去後のAC100V/200V側の配線替え・電源接続電気工事士(第二種以上)の範囲です。
  • LEDフレックスの貼り込み・DC側配線:DC24V側は低圧のため資格対象外ですが、屋外防水・支持固定は看板の落下責任に直結します。
感電注意: ネオントランスの二次側は無負荷で15,000Vに達します。撤去前に一次側ブレーカーを開放し、検電・放電を確認してから作業してください。「消灯しているから安全」ではありません。電極キャップ内の残留電荷にも注意が必要です。

LED化改修の施工手順(6ステップ)

  1. 1
    現状調査・原寸トレース

    文字・図形の原寸を透明フィルムか写真測量でトレースし、総発光長(m)と最小曲げ半径(R)を拾います。トランス容量表示・設置年・腐食状態も記録します。

  2. 2
    フレックス選定と曲げ検証

    トレースから最小Rを確認し、仕様内に収まるサイズを選定します。側面発光タイプの最小曲げ半径はおおむね30〜60mm。収まらない箇所はカット&ジャンパー配線で分割する設計にします。

  3. 3
    高圧設備の撤去(有資格者)

    一次側開放・検電後、トランス・高圧線・碍子・電極を撤去します。壁面の高圧引込穴・碍子跡は雨水侵入経路になるためコーキングで確実に塞ぎます。

  4. 4
    ベース加工・フレックス固定

    既存の文字ベース(鉄板・アクリル)にアルミチャンネルまたは専用マウントクリップを固定し、フレックスをはめ込みます。屋外は両面テープのみの固定は不可、150〜300mmピッチで機械固定します。

  5. 5
    DC電源設置・配線

    防水電源(IP67)か筐体内設置の非防水電源を選び、電圧降下を考慮して長尺は両端給電にします。カット端末はエンドキャップ+シーラントで封止します。

  6. 6
    点灯確認・絶縁測定・引き渡し

    全点灯で色ムラ・暗部を確認し、AC側の絶縁抵抗測定を実施。調光器・タイマーの設定値を施主に引き継いで完了です。

電源容量の計算方法

LEDネオンフレックスの消費電力はW/m表記です。電源は定格の80%以下で使うのが鉄則です。

必要電源容量 [W] = 消費電力 [W/m] × 総発光長 [m] × 1.25 例)10W/mのフレックスを合計12m使用 → 10 × 12 × 1.25 = 150W → 150W級のDC24V電源を選定(分割給電なら75W×2台でも可)
総発光長(10W/mの場合)負荷合計推奨電源容量給電方式の目安
〜5m50W60〜75W片端給電で可
5〜10m50〜100W100〜150W1本あたり5m超は両端給電
10〜20m100〜200W150W×2台 など分割回路分割+電源分散
20m以上200W〜系統ごとに電源を分ける文字ブロック単位で回路設計
実務メモ: ネオン時代の点滅演出を再現する場合は、フラッシャーの代わりにPWMコントローラを使います。リレー式で高速に入切するとLED電源の突入電流で寿命を縮めるため、調光信号側で制御してください。

よくある質問

  • ネオン管を残してトランスだけ交換して修理を続けられますか?
    技術的には可能ですが、ネオン変圧器(二次側9,000〜15,000V)の交換と高圧配線の再施工には特種電気工事資格者が必要で、対応できる業者が年々減っています。管が1本でも割れていれば管の再制作費も加わるため、破損箇所が複数ある・トランスも寿命という案件は、DC24V系のLEDネオンフレックスへ改修したほうがトータルコストも再修理リスクも抑えられるケースが大半です。
  • ネオン管特有の細かい文字の曲げはLEDで再現できますか?
    LEDネオンフレックスの最小曲げ半径は側面発光タイプでおおむね30〜60mmで、半径10mm台の極小Rはそのままでは再現できません。①一回り大きい寸法で再制作する、②Rがきつい箇所をカット&ジャンパー配線で分割する、③ミニサイズ(6mm幅級)のフレックスを使う、のいずれかで対応します。見積前に原寸トレースで最小Rを必ず確認してください。
  • 屋外のネオンサインをLED化する場合、防水はどう処理しますか?
    本体はIP65以上を選定し、カット端末はエンドキャップ+シリコンシーラントで封止します。DC電源は防水型(IP67)を使うか、筐体内・プルボックス内の雨線内に設置します。ネオン時代の碍子・高圧引込穴は雨水侵入経路になるため、撤去後に必ずコーキングで塞いでください。

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