ガラス管ネオンの代替として定着したのがLEDネオンフレックスです。シリコンやPVCのチューブにLEDテープを封入し、ムラの少ない面発光でネオンらしい連続光が得られます。ところが看板・サイン制作の現場では、「どのサイズ(断面)を選ぶか」「文字の曲線に対して横曲げ(サイドベンド)と縦曲げ(トップベンド)のどちらが要るか」「どこで切れるのか」で図面が止まりがちです。ここを外すと、デザイン通りに曲がらない・LEDを傷めて暗点が出る・寸法が合わない、といった手戻りになります。本記事では、断面サイズ・曲げ方向・最小曲げ半径・カットピッチ・電圧の選び方を、デザインと施工の両面から整理します。ネオンフレックスの基礎全般はLEDネオンフレックスガイドも参照してください。

現場あるある: 「横曲げ用のネオンフレックスを縦方向に立ち上げようとしたら、曲げた所だけ暗くなった」。原因は曲げ方向の取り違え。1本のネオンフレックスは横曲げ用か縦曲げ用のどちらか一方に設計されている。図面を引く前に『どの方向に曲げる文字か』を決め、それに合う機種を選ぶのが先。

ネオンフレックスの選定要素(5つ)

ネオンフレックスの選定は、次の5つを順に決めると迷いません。デザイン(見え方)と施工(曲げ・カット・電源)の両方を満たす機種を絞り込みます。

  • 断面サイズ: 線の太さ=視認性。文字幅・視距離で決める。
  • 曲げ方向: 横曲げ(サイドベンド)か縦曲げ(トップベンド)か。デザインの曲線方向で決まる。
  • 最小曲げ半径: デザインのコーナーRが機種の最小Rに収まるか。
  • カットピッチ: 切れる単位。細かい文字は短ピッチが有利。
  • 電圧・色・防水: 12V/24V、単色/RGB、屋内/屋外(IP等級)。

断面サイズの選び方(線の太さ=視認性)

ネオンフレックスは 幅×高さ の断面サイズで分類されます(例:6×12mm、8×16mm、10×20mmなど)。細い断面は小さな文字や繊細なRに、太い断面は大型看板や遠距離視認に向きます。下表は代表的なサイズ感の目安です。

断面サイズ(目安) 線の印象 向く用途 最小曲げ半径(目安)
約6×12mm(細) 繊細・細い線 小さな文字・店内サイン・細密なロゴ 横曲げで小さなRに対応しやすい
約8×16mm(標準) 標準的な太さ 一般的な店舗サイン・チャンネル文字 標準的なR。多くの文字デザインに対応
約10×20mm(太) 太く力強い 大型看板・ファサード・遠距離視認 大きめのRが必要。小さなRには不向き

※寸法・最小曲げ半径・カットピッチは製品により異なります。具体的な数値は採用機種のデータシートで必ず確認してください。

横曲げ(サイドベンド)と縦曲げ(トップベンド)の違い

ネオンフレックス選定で最も間違えやすいのが曲げ方向です。発光面に対してどの向きに曲げられるかで「横曲げ」「縦曲げ」に分かれ、1本は原則どちらか一方の方向専用です。設計と逆に曲げるとLED基板を傷め、断線・暗点の原因になります。

項目 横曲げ(サイドベンド/サイドビュー) 縦曲げ(トップベンド/縦型)
曲げる方向 発光面を正面に向けたまま左右(面の中)に曲げる 発光面に対し上下(立ち上がり・手前奥)に曲げる
得意な形 平面に描く文字・ロゴ・縁取り・曲線 立体造形・段差・立ち上がりのある形状
主な用途 チャンネル文字・店舗サイン・壁面ロゴ(最も多い) 3D装飾・什器の立体エッジ・特殊造形
注意点 縦方向の立ち上げには使えない 平面の細かい文字曲げには不向き

選び方の基本: 看板・サインで圧倒的に多いのは「平面に文字やロゴを描く」用途なので、横曲げ(サイドベンド)が主役です。立体的に立ち上げる装飾を入れたいときに縦曲げを使い分けます。両方向の曲げが混在する複雑な造形は、区間ごとに材料を分けてコネクタ・接続で繋ぐ設計が現実的です。

カットピッチと最小曲げ半径

カットピッチ(切れる単位)

ネオンフレックスは内部基板のカットマーク位置でのみ切断できます。カットピッチは電圧とLED配置で決まり、一般に12Vタイプは細かく(短く)、24Vタイプはやや長めになる傾向です。細かい文字・小さなRを多用するデザインは、短ピッチの機種のほうが寸法を合わせやすく有利です。長い直線や大型造形ならピッチが長くても問題ありません。

最小曲げ半径

最小曲げ半径は、その機種が破損なく曲げられる最小のRです。デザインのコーナー半径や文字の角が、機種の最小曲げ半径より小さいと無理曲げになり暗点・断線を招きます。図面のいちばんきついカーブが、機種の最小Rに収まるかを必ず確認します。小さなRが多いデザインは、細い断面・短ピッチ・横曲げの機種を選ぶのが定石です。

横曲げ
文字・ロゴの主役
平面に描く文字・縁取りはサイドベンド。看板用途で最も多い。
縦曲げ
立体造形用
立ち上がり・段差のある3D造形はトップベンド。平面の細文字には不向き。
最小R
デザインと整合
図面の最もきついカーブが機種の最小曲げ半径に収まるか確認。
24V
長尺は24V
長い配線は24Vが有利。最大配線長を超えたら給電を分ける。

電圧(12V/24V)・色・防水・電源

  1. 12V / 24V: 短尺・細密なら12V、長尺なら24Vが有利(1本で引ける最大長が伸びる)。最大配線長を超える場合は給電を分割する(考え方は最大接続長さガイドと同じ)。
  2. : 単色(ネオンカラー)かRGB/RGBWか。色替え演出が要るならRGB系を選ぶ。
  3. 防水(IP等級): 屋内はIP65前後、屋外・雨がかかる場所はIP67以上。端面・接続部の防水処理が寿命を左右する。
  4. 電源: 文字数・総延長から消費電力を計算し、電圧と最大長に合う電源を選ぶ。屋外設置の電源は屋外LED電源の設置ガイドを参照。

施工のヒント: ネオンフレックスは専用の取付ベース(マウンティングチャンネル)・固定クリップ・エンドキャップで施工します。カット端面は付属キャップとシール材で確実に防水し、コーナーは最小曲げ半径内に収めるかコネクタで分割します。屋外サインの全体的な防水・耐候の考え方は屋外サイン用LEDテープガイドも役立ちます。

ネオンフレックス 選定チェックリスト

  • 文字幅・視距離から断面サイズ(細/標準/太)を決めた
  • デザインの曲線方向に合わせ、横曲げ/縦曲げの機種を選んだ
  • 図面の最もきついカーブが機種の最小曲げ半径に収まるか確認した
  • 細かい文字・小R部分はカットピッチ(切れる単位)で寸法が合うか確認した
  • 12V/24Vを総延長で選び、最大配線長を超える場合は給電を分けた
  • 色(単色/RGB)と防水等級(屋内IP65/屋外IP67以上)を環境で選んだ
  • 取付ベース・クリップ・エンドキャップなど施工部材を手配した
  • カット端面・接続部の防水処理(キャップ+シール)を計画した

まとめ — 「曲げ方向」を最初に決める

  1. 曲げ方向が起点: 平面の文字・ロゴは横曲げ、立体造形は縦曲げ。1本は片方向専用。
  2. サイズは視認性: 細い線は小断面、大型・遠距離は太断面。
  3. 最小Rとカットピッチ: 図面の最もきついカーブと寸法が機種に収まるか確認。
  4. 電圧・防水・電源: 長尺は24V、屋外はIP67以上、電源は総延長で選ぶ。

関連商品

よくある質問(看板業者向けFAQ)

ネオンフレックスの横曲げと縦曲げはどう違いますか?1本で両方曲げられますか?
横曲げ(サイドベンド/サイドビュー)は発光面を正面に向けたまま、左右方向(面の中で)に曲げられるタイプです。平面上に描く文字・ロゴ・看板の縁取りなど、デザインを面で見せる用途に向きます。一方、縦曲げ(トップベンド/縦型)は上下方向(視線に対して手前・奥や立ち上がり方向)に曲げられるタイプで、立体的な造形や段差・立ち上がりのある形状に使います。重要なのは、1本のネオンフレックスは原則として横曲げ用か縦曲げ用のどちらか一方に設計されており、設計と逆の方向に無理に曲げるとLEDや基板を傷め、断線・暗点の原因になることです。文字やロゴを平面で描くなら横曲げ、立体造形なら縦曲げ、と用途で機種を選びます。両方向に曲げたい複雑な造形では、区間ごとに材料を分けて接続する設計が現実的です。
ネオンフレックスは好きな長さで切れますか?
好きな位置では切れません。内部のLED基板には決まったカット位置(カットマーク)があり、その間隔(カットピッチ)単位でのみ切断できます。カットピッチは電圧とLED配置で決まり、一般に12Vタイプは数cm程度と細かく、24Vタイプはやや長くなる傾向です。細かい文字や小さなRを多用するデザインでは、カットピッチが細かい(=短い単位で切れる)機種のほうが寸法を合わせやすく有利です。逆に長い直線や大きな造形ではカットピッチが長くても問題ありません。カットは必ずマーク位置で行い、切断後の端面は付属のエンドキャップとシール材で確実に防水処理します。屋外用は特に端面・接続部の防水が寿命を左右します。
チャンネル文字や切り文字に使うなら、どのサイズ・曲げ方向を選べばよいですか?
文字の線幅と見る距離で決めます。細い線や小さな文字には断面の小さい(細い)ネオンフレックスを選ぶと、文字の潰れを防ぎ、小さなRも曲げやすくなります。大きな看板や遠距離視認には太い断面のほうが視認性とインパクトが出ます。曲げ方向は、文字やロゴを平面(ベース板の上)に描くのが基本なので横曲げ(サイドベンド)が主役です。立体的に立ち上げる装飾や段差のある造形では縦曲げ(トップベンド)を使います。加えて、屋内ならIP65前後、屋外や直接雨がかかる場所ならIP67以上の防水等級を選び、必要な最小曲げ半径がデザインのコーナー半径に収まるかをデータシートで必ず確認してください。電源は文字数・総延長から消費電力を計算し、12V/24Vと最大配線長に合わせて選定します。