この記事の結論:屋内用(IP20・非防水)と屋外用(IP65〜67・防水)の差は防水等級だけではありません。屋外では紫外線・結露・塩害・高温が同時に効くため、被覆材質・カバー保護・電源の逃がし・コネクタ止水まで含めて選ぶ必要があります。迷ったら「外気に触れる場所は屋外用」を基本ルールにしてください。
屋内用と屋外用の違いを一枚で整理
LEDテープの「屋内用/屋外用」は、主に防水等級(IP)・被覆(コーティング)材質・電源とコネクタの防水性・耐候性の4点で分かれます。屋内用は基板がむき出し(またはIP20程度)で放熱・コスト・施工性に優れ、屋外用はシリコンチューブや樹脂充填で水・粉塵の侵入を防ぎます。まず全体像を表で押さえます。
| 比較項目 |
屋内用(IP20〜44) |
屋外用(IP65〜68) |
| 防水・防塵 |
非防水・防滴程度 |
防噴流〜水没まで対応 |
| 被覆・構造 |
基板むき出し/薄コート |
シリコンチューブ・樹脂充填 |
| 紫外線・耐候 |
考慮なし(黄変しやすい) |
耐候タイプを選べば長持ち |
| 放熱性 |
良い(フレーム併用で最適) |
被覆で熱がこもりやすい |
| コネクタ・電源 |
屋内用・非防水 |
防水コネクタ+防水ボックス |
| コスト・施工性 |
安い・切断/接続が容易 |
高い・止水処理の手間あり |
IP等級で決める設置場所の境界
迷いがちな「どこまでが屋内でどこからが屋外か」を、水がかりのリスクで整理します。結露・水はね・雨がかりのどれに当たるかで必要なIP等級が変わります。防水等級の詳しい違いは IP防水等級ガイド も参照してください。
| 設置場所 |
水・湿気のリスク |
推奨IP等級 |
判定 |
| 空調室内・什器内(乾燥) |
ほぼなし |
IP20(非防水) |
屋内用OK |
| 厨房・洗面・浴室まわり |
水はね・蒸気・結露 |
IP65以上 |
防水必須 |
| 軒下・庇下(半屋外) |
結露・吹き込み・朝露 |
IP65以上 |
屋外用推奨 |
| 外壁・看板(雨ざらし) |
直接雨・紫外線 |
IP67以上+耐候 |
屋外用必須 |
| 地面近く・水没の恐れ |
冠水・水たまり |
IP68 |
屋外用必須 |
よくある失敗:「軒下だから屋内用でいいと思ったら数ヶ月で基板が腐食した」
雨がかりしない半屋外でも、昼夜の温度差で結露が発生し、朝露や吹き込みの雨が基板に触れます。屋内用(非防水)は水分で銅箔が腐食して部分不点灯・変色を起こします。外気に触れる場所はIP65以上の屋外用を基本にしてください。
屋外で「IP等級以外」に必要な4つの対策
屋外用テープを選んでも、IP等級だけでは長持ちしません。屋外は水以外の劣化要因が同時に効くため、次の4点を追加で押さえます。
①
紫外線(UV)対策
直射日光は被覆の黄変・硬化・ひび割れを進める。耐候タイプの被覆を選び、日射面はカバーやアルミフレームで保護する。
②
結露対策
密閉部は昼夜の温度差で内部結露する。水抜き穴・呼吸孔のある防水ボックスを使い、端面の止水を確実にする。
③
塩害対策(海沿い)
塩分は端子・はんだ・コネクタを腐食させる。海沿いはコネクタを避け直はんだ+防水処理、金属部は耐食材を選ぶ。
④
高温・放熱対策
夏場の直射で被覆内部が高温になり寿命が縮む。W/mを抑え、電源は容量に余裕をもたせ、放熱面を確保する。
弱点はいつもコネクタと切断端:屋外で最初に水が入るのはコネクタ接続部と切断した端面です。防水チューブのエンドキャップ+シリコン充填で確実に止水し、可能なら海沿い・雨ざらしはコネクタを使わず直はんだ+熱収縮チューブで処理します。塩害地域の選定は 塩害対策ガイド も併読してください。
電源(PSU)とコネクタは屋内へ逃がす
電源の設置と2次側配線の考え方
基本:電源は屋内 or 軒内 or 防雨ボックスへ
(テープが防水でも電源は熱を持つ=密閉に弱い)
屋外へは「2次側(低電圧DC)」を防水ケーブルで引き回す
例)24V電源を屋内、テープまで屋外10m
→ 2次側の電圧降下を計算し電線を太くする
(長距離は給電位置を分ける/両端給電も検討)
電源を屋外に置くと防水と放熱が両立しにくく、2次側の距離も伸びます。電源を屋外ボックスに入れる場合は屋外対応品を選び、直射日光を避け、容量に余裕(定格の70〜80%運用)をもたせます。屋外電源の収納は 屋外電源ボックスガイド、電圧降下は 電圧降下ガイド を参照してください。
選定の進め方(手順)
- 設置場所が外気に触れるかを最初に判定する(触れるなら屋外用が基本)。
- 水・湿気のリスク(結露/水はね/雨ざらし/水没)から必要IP等級を決める。
- 屋外なら紫外線・結露・塩害・高温の追加対策(耐候被覆・カバー・止水)を盛り込む。
- 電源は屋内/防雨ボックスに納め、屋外へは2次側を防水ケーブルで引き回す。
- コネクタ・切断端の止水処理を計画し、海沿い・雨ざらしは直はんだを検討する。
- 2次側の電圧降下を計算し、長距離は電線を太くするか給電を分ける。
屋内用・屋外用の目安スペック
屋内用の目安
IP等級IP20〜44
放熱アルミフレーム推奨
電源屋内・非防水
半屋外の目安
IP等級IP65以上
端面止水必須
電源屋内へ逃がす
完全屋外の目安
IP等級IP67〜68
被覆耐候タイプ
コネクタ防水/直はんだ
選定チェックリスト
- 設置場所が外気に触れるか(触れるなら屋外用)を最初に判定した
- 結露・水はね・雨ざらし・水没のどれに当たるかでIP等級を決めた
- 屋外は紫外線・結露・塩害・高温の追加対策を盛り込んだ
- 日射面はカバー/アルミフレームで保護する計画にした
- 電源は屋内・軒内・防雨ボックスに納める配置にした
- コネクタ・切断端の止水処理を計画した(海沿いは直はんだ検討)
- 2次側の電圧降下を計算し電線太さ・給電位置を決めた
よくある質問
Q. 軒下や庇の下(雨がかりしない半屋外)は屋内用LEDテープで大丈夫ですか?
雨が直接かからない軒下・庇の下でも、屋内用(IP20など非防水)はおすすめしません。半屋外は昼夜の温度差で結露が発生し、朝露・吹き込みの雨・洗浄時の水はねが基板に触れる可能性があるためです。最低でもIP65相当の防湿・防滴タイプを選び、コネクタ部と切断端面はチューブやシリコンで確実に止水します。判断に迷ったら『外気に触れる場所は屋外用』を基本ルールにするのが安全です。屋内用が明確に使えるのは、空調が効いた室内で水・結露・粉塵のリスクがない場所に限られます。半屋外はIP65以上・完全屋外(雨ざらし・地面近く)はIP67以上を目安にしてください。
Q. 屋外用LEDテープは防水等級(IP)さえ合っていれば長持ちしますか?
IP等級は水と粉塵の侵入に対する保護レベルであり、屋外の耐久性はそれだけでは決まりません。屋外では紫外線による被覆(シリコン・樹脂)の黄変・硬化・ひび割れ、寒暖差による結露、海沿いの塩害、夏場の高温による寿命低下も同時に効いてきます。長持ちさせるには、耐候性のある被覆材のテープを選び、直射日光が当たる面はカバーやアルミフレームで保護し、コネクタ・電源は屋外対応の防水ボックスに納めます。IP等級は入口の条件で、そこに紫外線・温度・塩害の対策を足して初めて屋外で長く使えます。特にコネクタと切断端は最も水が入りやすい弱点なので、止水処理を丁寧に行ってください。
Q. 屋外設置でも電源(PSU)は屋外に置いてよいですか?
電源はできるだけ屋内や防水ボックス内に納めるのが基本です。LEDテープ本体が防水でも、電源は熱を持つため密閉すると寿命が縮み、防水と放熱が両立しにくい部材です。可能なら電源は屋内・軒内・点検できる防雨ボックス内に設置し、そこから防水ケーブルで屋外のテープへ2次側(低電圧側)を引き回します。電源を屋外の防水ボックスに入れる場合は、IP等級の高い屋外電源を選び、直射日光を避け、ボックス内の温度上昇を考えて容量に余裕(定格の70〜80%運用)をもたせます。電源を屋外に長い距離で置くと2次側の電圧降下も大きくなるため、電線を太くするか給電位置を工夫してください。
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