仕様選定ガイド

LEDテープの難燃性・自己消火性グレードの選び方
UL94・VW-1・カバー材の防火性能

基板シリコン・電線・カバー材の難燃グレードと、ホテル・病院など防火対象物での選定基準を施工業者向けに解説

公開: 2026-07-02 | カテゴリ: 仕様選定ガイド

この記事の目的:ホテル・病院・飲食店などで間接照明を組むとき、「そのLEDテープの防火性能は何を見れば分かるのか」を整理します。難燃性は基板コーティング・電線被覆・カバー材で別々に規定されているため、部材ごとの見方と、火災リスクの高い現場での選定基準を比較表で解説します。

まず押さえる:難燃性は「部材ごと」に決まる

LEDテープ全体で「難燃です」と一言では言えません。実務では次の3つの部材それぞれに難燃グレードがあり、カタログ・データシートで別々に確認します。給電線が最も見落とされがちな部材です。

基板

基板コーティング/シリコン

テープを覆う樹脂・シリコンの燃えにくさ。UL94のHB/V-2/V-0で表記される。防水(IP65以上)品はシリコン被覆の難燃グレードを確認する。

電線

給電線・延長線の被覆

電線の垂直燃焼規格がVW-1。隠蔽配線・天井裏に通す線はVW-1相当の難燃電線を選ぶ。付属の細い平行線は難燃等級不明のこともある。

カバー

ディフューザーカバー・フレーム

PC(ポリカーボネート)は自己消火性が高く割れにくい。アクリルは燃えやすい。アルミフレームは不燃だが樹脂カバーの材質を確認する。

UL94 難燃グレード早見表

グレード 試験と判定の目安 燃えるしずくの扱い 推奨用途
HB 水平試験・燃焼速度が規定以下(緩い) 規定なし 一般内装・低リスク箇所
V-2 垂直試験・着炎を離すと自己消火 燃えるしずくの落下を許容 一般商業・住宅の造作照明
V-1 垂直試験・自己消火(V-2より厳しい) 燃えないしずくのみ許容 不特定多数が集まる施設
V-0 垂直試験・10秒以内に自己消火(最も厳しい) 下の脱脂綿を発火させない ホテル・病院・避難経路等

読み方のコツ:V-0>V-1>V-2>HB の順に厳しくなります。「自己消火性がある」と書かれていても、V-2は燃えるしずくが落ちることを許容するグレードです。火災時に人が滞留・就寝する場所では、しずくの落下を許容しないV-0相当を基板・カバーに選ぶと安全側です。

現場のリスクレベル別・選定の目安

設置場所・条件 基板/カバー難燃 電線 放熱・離隔
ホテル客室・病院・介護施設(就寝・避難) V-0相当 VW-1相当 アルミフレーム放熱+離隔確保
飲食店・物販店(不特定多数・可燃内装多い) V-0〜V-1 VW-1相当 木造作は放熱・離隔を重視
オフィス・住宅の造作間接照明 V-2以上 難燃電線推奨 密閉造作を避け通気確保
天井裏・壁内の隠蔽配線を伴う施工 基板は用途に準拠 VW-1必須級 離隔+点検性を確保
屋外サイン・半屋外 耐候+難燃シリコン 耐候・難燃電線 電源BOXの通気・防水両立

難燃グレードの確認手順

迷ったときの判断ロジック

就寝・避難・不特定多数が集まる → 基板/カバーは V-0相当 隠蔽配線を伴う → 電線は VW-1相当を必須級で 可燃内装(木・布・紙)が近い → 難燃 + 放熱 + 離隔を全て確保 一般住宅・オフィスの造作 → V-2以上 + 通気確保でも可

※ 難燃グレードは「延焼しにくさ」であり、放熱・離隔(過熱防止)とは別の性能です。
※ 個別の法適合判断は所轄消防・特定行政庁が行います。仕様選定の目安として活用してください。

見落としやすい3つの落とし穴

配線

付属細線の難燃等級が不明

テープ付属の細い平行線は難燃記載がないことがある。隠蔽・長距離はVW-1相当の難燃電線に引き直す。

カバー

アクリルカバーの燃えやすさ

透過率でアクリルを選びがちだが自己消火性はPCが上。火災リスクの高い場所ではPCカバーを優先する。

難燃=過熱OKではない

難燃品でも密閉直貼りは寿命低下・周囲材の変色を招く。放熱と離隔は難燃グレードと別に必ず確保する。

難燃性 選定チェックリスト

「自己消火性あり」の一言で判断しない

カタログの「自己消火性」という表現だけでは、V-0なのかV-2なのか、どの部材の話なのかが分かりません。V-2は燃えるしずくの落下を許容するグレードです。ホテル・病院など人が滞留する場所では、基板・カバーのUL94グレードと電線のVW-1を数値・記号で確認し、放熱・離隔とセットで仕様を固めてください。個別案件の法適合は所轄消防・特定行政庁の判断に従います。

よくある質問

Q. LEDテープの難燃グレードUL94のV-0とV-2はどう違いますか?
UL94はプラスチック材料の燃えにくさを示す規格で、代表的なグレードはHB・V-2・V-1・V-0です。V-0は垂直試験で着炎を離すと10秒以内に自己消火し、燃えたしずくで下の脱脂綿を発火させない最も厳しいランクです。V-2は同じく自己消火しますが、燃えるしずくが落ちることを許容します。HBは水平試験で燃焼速度が規定以下という緩いランクです。ホテル・病院・避難経路など火災リスクを厳しく見る場所では、基板コーティングやカバー材にV-0相当を選ぶと安全側です。ただしLEDテープの難燃性は基板シリコン・電線・カバーそれぞれで異なるため、部材ごとに確認します。
Q. 特定防火対象物ではどの部材の防火性能を確認すればよいですか?
ホテル・病院・物販店・飲食店などの特定防火対象物では、施工内容によって内装制限や避難安全上の配慮が求められます。LEDテープ本体は電気製品で内装材そのものではありませんが、実務では(1)テープ基板を覆うシリコンや樹脂の難燃グレード、(2)給電線・延長線の被覆難燃性(VW-1相当の電線か)、(3)ディフューザーカバーやアルミフレームの材質、(4)可燃物からの離隔距離を確認します。天井裏・壁内の隠蔽部に通す場合は電線の難燃性と離隔が特に重要です。個別案件の法適合は所轄消防・特定行政庁の判断となるため、必要に応じて元請・設計者と確認してください。
Q. 難燃性が高い製品を選べば可燃物からの離隔は不要ですか?
難燃・自己消火グレードが高くても、離隔(クリアランス)は別に確保します。難燃性は「その部材自体が延焼しにくい」性能であり、LEDテープや電源が発する熱で周囲の可燃物(木下地・断熱材・紙・布)が長期に加熱されるリスクとは別問題です。放熱の悪い密閉造作にテープを直貼りすると、テープの寿命低下だけでなく周囲材の炭化・変色につながります。難燃グレードの選定と、放熱を確保した施工(アルミフレーム放熱・可燃物からの離隔・電源の通気)は両方セットで考えるのが原則です。

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