この記事の目的:ホテル・病院・飲食店などで間接照明を組むとき、「そのLEDテープの防火性能は何を見れば分かるのか」を整理します。難燃性は基板コーティング・電線被覆・カバー材で別々に規定されているため、部材ごとの見方と、火災リスクの高い現場での選定基準を比較表で解説します。
まず押さえる:難燃性は「部材ごと」に決まる
LEDテープ全体で「難燃です」と一言では言えません。実務では次の3つの部材それぞれに難燃グレードがあり、カタログ・データシートで別々に確認します。給電線が最も見落とされがちな部材です。
基板
①
基板コーティング/シリコン
テープを覆う樹脂・シリコンの燃えにくさ。UL94のHB/V-2/V-0で表記される。防水(IP65以上)品はシリコン被覆の難燃グレードを確認する。
電線
②
給電線・延長線の被覆
電線の垂直燃焼規格がVW-1。隠蔽配線・天井裏に通す線はVW-1相当の難燃電線を選ぶ。付属の細い平行線は難燃等級不明のこともある。
カバー
③
ディフューザーカバー・フレーム
PC(ポリカーボネート)は自己消火性が高く割れにくい。アクリルは燃えやすい。アルミフレームは不燃だが樹脂カバーの材質を確認する。
UL94 難燃グレード早見表
| グレード |
試験と判定の目安 |
燃えるしずくの扱い |
推奨用途 |
| HB |
水平試験・燃焼速度が規定以下(緩い) |
規定なし |
一般内装・低リスク箇所 |
| V-2 |
垂直試験・着炎を離すと自己消火 |
燃えるしずくの落下を許容 |
一般商業・住宅の造作照明 |
| V-1 |
垂直試験・自己消火(V-2より厳しい) |
燃えないしずくのみ許容 |
不特定多数が集まる施設 |
| V-0 |
垂直試験・10秒以内に自己消火(最も厳しい) |
下の脱脂綿を発火させない |
ホテル・病院・避難経路等 |
読み方のコツ:V-0>V-1>V-2>HB の順に厳しくなります。「自己消火性がある」と書かれていても、V-2は燃えるしずくが落ちることを許容するグレードです。火災時に人が滞留・就寝する場所では、しずくの落下を許容しないV-0相当を基板・カバーに選ぶと安全側です。
現場のリスクレベル別・選定の目安
| 設置場所・条件 |
基板/カバー難燃 |
電線 |
放熱・離隔 |
| ホテル客室・病院・介護施設(就寝・避難) |
V-0相当 |
VW-1相当 |
アルミフレーム放熱+離隔確保 |
| 飲食店・物販店(不特定多数・可燃内装多い) |
V-0〜V-1 |
VW-1相当 |
木造作は放熱・離隔を重視 |
| オフィス・住宅の造作間接照明 |
V-2以上 |
難燃電線推奨 |
密閉造作を避け通気確保 |
| 天井裏・壁内の隠蔽配線を伴う施工 |
基板は用途に準拠 |
VW-1必須級 |
離隔+点検性を確保 |
| 屋外サイン・半屋外 |
耐候+難燃シリコン |
耐候・難燃電線 |
電源BOXの通気・防水両立 |
難燃グレードの確認手順
- データシートで基板コーティング/シリコンのUL94グレード(HB/V-2/V-0)を確認する。防水品はシリコン被覆の記載を見る。
- 付属・別売の給電線・延長線の被覆規格(VW-1等)を確認する。難燃記載がない細線は隠蔽部で使わない。
- ディフューザーカバー材(PC/アクリル)とフレーム(アルミ=不燃)の材質を確認する。可燃性が問われる場所ではPCを選ぶ。
- 設置場所のリスク(就寝・避難・不特定多数・隠蔽配線)を整理し、上表で必要グレードを決める。
- 難燃グレードとは別に放熱(アルミフレーム)と可燃物からの離隔を確保する。両方セットで施工する。
- 特定防火対象物では内装制限・避難安全の適合を元請・設計者・所轄消防と確認する。
迷ったときの判断ロジック
就寝・避難・不特定多数が集まる → 基板/カバーは V-0相当
隠蔽配線を伴う → 電線は VW-1相当を必須級で
可燃内装(木・布・紙)が近い → 難燃 + 放熱 + 離隔を全て確保
一般住宅・オフィスの造作 → V-2以上 + 通気確保でも可
※ 難燃グレードは「延焼しにくさ」であり、放熱・離隔(過熱防止)とは別の性能です。
※ 個別の法適合判断は所轄消防・特定行政庁が行います。仕様選定の目安として活用してください。
見落としやすい3つの落とし穴
配線
①
付属細線の難燃等級が不明
テープ付属の細い平行線は難燃記載がないことがある。隠蔽・長距離はVW-1相当の難燃電線に引き直す。
カバー
②
アクリルカバーの燃えやすさ
透過率でアクリルを選びがちだが自己消火性はPCが上。火災リスクの高い場所ではPCカバーを優先する。
熱
③
難燃=過熱OKではない
難燃品でも密閉直貼りは寿命低下・周囲材の変色を招く。放熱と離隔は難燃グレードと別に必ず確保する。
難燃性 選定チェックリスト
- 基板コーティング/シリコンのUL94グレードをデータシートで確認した
- 設置場所のリスク(就寝・避難・不特定多数)に応じてV-0/V-1/V-2を選んだ
- 給電線・延長線がVW-1相当の難燃電線か確認した(隠蔽部は必須級)
- ディフューザーカバーの材質(PC/アクリル)を用途で選んだ
- アルミフレームで放熱を確保し、密閉直貼りを避けた
- 難燃グレードとは別に、可燃物からの離隔距離を確保した
- 特定防火対象物では内装制限・避難安全を元請・設計者・所轄消防と確認した
- 屋外・半屋外では耐候性と難燃性を両立する製品を選んだ
「自己消火性あり」の一言で判断しない
カタログの「自己消火性」という表現だけでは、V-0なのかV-2なのか、どの部材の話なのかが分かりません。V-2は燃えるしずくの落下を許容するグレードです。ホテル・病院など人が滞留する場所では、基板・カバーのUL94グレードと電線のVW-1を数値・記号で確認し、放熱・離隔とセットで仕様を固めてください。個別案件の法適合は所轄消防・特定行政庁の判断に従います。
よくある質問
Q. LEDテープの難燃グレードUL94のV-0とV-2はどう違いますか?
UL94はプラスチック材料の燃えにくさを示す規格で、代表的なグレードはHB・V-2・V-1・V-0です。V-0は垂直試験で着炎を離すと10秒以内に自己消火し、燃えたしずくで下の脱脂綿を発火させない最も厳しいランクです。V-2は同じく自己消火しますが、燃えるしずくが落ちることを許容します。HBは水平試験で燃焼速度が規定以下という緩いランクです。ホテル・病院・避難経路など火災リスクを厳しく見る場所では、基板コーティングやカバー材にV-0相当を選ぶと安全側です。ただしLEDテープの難燃性は基板シリコン・電線・カバーそれぞれで異なるため、部材ごとに確認します。
Q. 特定防火対象物ではどの部材の防火性能を確認すればよいですか?
ホテル・病院・物販店・飲食店などの特定防火対象物では、施工内容によって内装制限や避難安全上の配慮が求められます。LEDテープ本体は電気製品で内装材そのものではありませんが、実務では(1)テープ基板を覆うシリコンや樹脂の難燃グレード、(2)給電線・延長線の被覆難燃性(VW-1相当の電線か)、(3)ディフューザーカバーやアルミフレームの材質、(4)可燃物からの離隔距離を確認します。天井裏・壁内の隠蔽部に通す場合は電線の難燃性と離隔が特に重要です。個別案件の法適合は所轄消防・特定行政庁の判断となるため、必要に応じて元請・設計者と確認してください。
Q. 難燃性が高い製品を選べば可燃物からの離隔は不要ですか?
難燃・自己消火グレードが高くても、離隔(クリアランス)は別に確保します。難燃性は「その部材自体が延焼しにくい」性能であり、LEDテープや電源が発する熱で周囲の可燃物(木下地・断熱材・紙・布)が長期に加熱されるリスクとは別問題です。放熱の悪い密閉造作にテープを直貼りすると、テープの寿命低下だけでなく周囲材の炭化・変色につながります。難燃グレードの選定と、放熱を確保した施工(アルミフレーム放熱・可燃物からの離隔・電源の通気)は両方セットで考えるのが原則です。
難燃グレード・カバー材で選べるLEDテープ
難燃シリコン基板・PCディフューザーカバー・アルミフレーム・対応電源を取り扱っています
商品ラインナップを見る