施工業者向け 実務ガイド

温浴施設・スーパー銭湯・サウナ
LED照明 設計ガイド

公開日: 2026-05-22 | カテゴリ: 施工ガイド

IP等級の選定ミスと安全基準の見落としが温浴施設LED施工で最も多い失敗原因です。防水等級・演色性・色温度・安全施工基準を区域別に解説します。

施工前に必ず確認|温浴施設照明の主要リスク

区域別 IP等級・仕様選定の基準

温浴施設は区域ごとに求められるIP等級・耐熱温度・演色性が異なります。設置前に各区域の仕様を確認してください。

浴室・湿潤区域
IP65以上
  • 防塵・防水(噴流水)対応
  • 色温度: 2700〜3000K
  • 演色性: Ra85以上
  • 照度: 100lx以上
蒸気室・ミストサウナ
IP65以上
  • 蒸気凝縮対応必須
  • シリコン素材推奨
  • 耐熱60℃以上
  • 色温度: 3000〜4000K
ドライサウナ室
高温耐熱品専用
  • 動作温度100℃以上
  • IP65以上
  • 放熱アルミチャンネル必須
  • 電源は室外設置
露天風呂
IP65以上
  • 屋外耐候仕様(UV耐性)
  • 色温度: 2700〜3000K
  • 照度: 50lx以上
  • グレア対策: 間接照明設計
脱衣所
IP44以上
  • 湿気対策(飛沫保護)
  • 色温度: 3000〜4000K
  • 演色性: Ra85以上
  • 照度: 200lx以上
受付・ロビー
IP20以上
  • 一般室内環境
  • 色温度: 3000〜4000K
  • 演色性: Ra90以上推奨
  • 照度: 300lx以上

演色性(Ra値)と色温度の選定

温浴施設では利用者の肌の見え方・清潔感・リラクゼーション効果に直結するため、演色性と色温度の選定が重要です。

区域 推奨色温度 推奨Ra値 理由・効果
浴室・浴槽周辺 2700〜3000K(電球色) Ra85以上 肌の血色が良く見える・リラクゼーション効果・安らぎ感
露天風呂 2700〜3000K(電球色) Ra85以上 夜間の雰囲気演出・グレア抑制間接照明と併用
サウナ室 3000〜4000K Ra80以上 高温環境での視認性確保・落ち着き感
クールダウンスペース 4000〜5000K Ra85以上 覚醒促進・血流回復視覚的効果(整い体験の演出)
脱衣所 3000〜4000K Ra85以上 清潔感・荷物確認のしやすさ・肌状態の確認
受付・ロビー 3500〜4000K Ra90以上推奨 清潔感・明るさ・スタッフの顔色・商品の見え方

サウナ室内の高温対応設計

ドライサウナ室は室温70〜90℃、ストーン周辺では100℃を超える環境です。一般LEDテープを使用すると以下のリスクが発生します。

サウナ室向け仕様の選定基準

項目必要仕様理由
最大動作温度100℃以上ストーン付近の輻射熱対応
被覆材質シリコン(PVC不可)高温での溶融・有毒ガス発生防止
IP等級IP65以上ロウリュ(水蒸気)対応
放熱アルミチャンネル密着設置ジャンクション温度を下げ寿命を延ばす
電源室外設置電源ユニットは高温に対応しないため
配線耐熱シリコン電線一般VVFケーブルは溶融リスクあり

照度設計と施工上の注意点

温浴施設の照度はJIS Z 9110と浴場業法の双方を満たす必要があります。照度不足は転倒事故の管理責任につながります。

区域必要照度(JIS Z 9110)照明配置の注意
浴室・浴槽周辺100lx以上水面反射を考慮した間接照明配置・グレア対策必須
露天風呂50lx以上(夜間)足元の安全確保優先・フットライト補助推奨
サウナ室100lx以上熱対流で照度分布が不均一になりやすい・複数分散配置
脱衣所200lx以上荷物確認・更衣時の視認性確保
洗い場・シャワー室150lx以上シャンプー等の色識別・安全動作確保
受付・ロビー300lx以上受付業務・商品展示・案内板の視認性

浴槽周辺のLEDテープ施工で特に注意すること

施工事例

施工事例 01

スーパー銭湯 大浴場リニューアル(関東・600㎡)

施工区域
大浴場・露天風呂・脱衣所・受付ロビー
採用製品
IP65 防水LEDテープ 2700K / Ra90・放熱アルミチャンネル
施工内容
浴室間接照明60m・露天フットライト40m・脱衣所シーリング換装
施工前課題
蛍光灯の冬季始動不良・浴室の暗さ・10年以上無交換の照明器具
電気代32%削減・利用者アンケートで「雰囲気が良くなった」の回答が78%に向上
施工事例 02

フィンランドサウナ施設 新規設計(東京・個室サウナ4室)

施工区域
ドライサウナ室・水風呂・クールダウンスペース
採用製品
高温対応シリコン被覆 IP65 LEDテープ(動作温度105℃対応)
施工内容
サウナ室間接照明8m/室・水風呂周辺間接照明・クールダウン間接照明
施工前課題
開業前の新規設計・他社から「高温対応製品がない」と断られた案件
高温耐熱シリコン被覆LEDテープを採用・設置後12ヶ月以上のトラブルフリー稼働を継続

よくある質問

温浴施設の浴室・蒸気室に必要なIP等級は?
浴室(湿潤区域)はIP65以上、サウナ・蒸気室はIP65以上かつ80℃以上の耐熱仕様が必要です。浴槽内や噴水池など水中設置はIP68以上が必要です。IP44以下の製品は蒸気浸入によるショート・漏電リスクがあり温浴施設への使用は禁止です。
サウナ室内にLEDテープを設置できますか?
可能ですが、サウナ室は70〜90℃に達するため一般的なLEDテープ(最大動作温度40〜60℃)は使用できません。高温対応(動作温度100℃以上)のシリコン被覆LEDテープとIP65以上の防水仕様が必要です。熱抵抗の低いアルミチャンネルへの密着設置で放熱対策も必須です。
温浴施設の浴室・脱衣所に適した色温度は?
浴室・露天風呂は2700〜3000K(電球色)でリラクゼーション効果を高める設計が標準です。脱衣所は3000〜4000Kで清潔感と視認性を両立します。昼白色(5000〜6500K)を浴室に使うと冷たい印象になりリピート率低下の原因になります。
温浴施設の照度基準(JIS Z 9110)はどのくらいですか?
JIS Z 9110の浴場施設向け推奨照度は浴室100lx以上、脱衣所200lx以上、受付・ロビー300lx以上です。露天風呂は夜間安全のため50lx以上を確保しつつグレアを抑えた間接照明設計が求められます。照度不足は転倒事故リスクにつながり管理責任が問われる場合があります。

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