工場・倉庫・大型店舗・看板現場では、コンセントの100Vだけでなく単相200Vや三相200Vが来ていることがよくあります。LEDテープを大量に流すと電源(PSU)の台数が増え、100Vのままでは幹線電流が大きくなりすぎて回路がパンクしがちです。そこで使えるのが200V給電。同じW数でも電流が約半分になり、細い電線・小さいブレーカーで施工できます。本記事では、LEDテープ用電源を200Vで使うための入力電圧表記の見分け方・単相200V/三相200Vの結線・幹線電流が半減する理由・ブレーカーと電線の選定を施工業者向けに整理します。
最初に確認: すべての判断は電源の銘板(ラベル)の入力電圧表記から始まります。「AC100-240V」のワイド入力なら200Vでそのまま使え、「AC100V」専用機は200Vに絶対つないではいけません。型番だけで判断せず、必ず実機の銘板を読んでください。
なぜ200Vで使うのか(電流半減のメリット)
電力はP(W)=電圧V×電流Aで決まります。消費電力(電気代)は電圧を変えてもほぼ同じですが、電圧を上げると同じW数を送るのに必要な電流が下がるのがポイントです。100Vを200Vにすれば、幹線に流れる電流は理論上ちょうど半分になります。電流が半分になると、電線サイズ・ブレーカー容量・電圧降下のすべてが軽くなり、1回路にまとめられる電源台数も増えます。
同じW数なら電圧2倍で電流は半分。200V化の効果はここ
消費電力(W)は同じ。200Vにしても省エネにはならない
電線・ブレーカー・電圧降下が軽くなる=大規模ほど有利
同じ負荷を100V/200Vで送ったときの幹線電流
下表は、LEDテープ+電源の合計負荷を100Vと200Vで給電したときに、幹線に流れるおおよその電流を比較したものです(力率はLED電源の実用値を考慮した概算)。台数が増えるほど、200V化で電流に大きな差が出ます。
| 合計負荷 | 100V時の電流(概算) | 200V時の電流(概算) | 幹線の目安 |
|---|---|---|---|
| 500W | 約5.5A | 約2.8A | 200Vなら余裕 |
| 1,000W | 約11A | 約5.5A | 100Vは20A回路が手狭 |
| 2,000W | 約22A | 約11A | 100Vは回路分割が必要 |
| 3,000W | 約33A | 約16.5A | 200Vで1回路に集約可 |
読み方: 100Vで2,000Wを送ると約22A=20Aブレーカーを超えるため回路を分けるしかありませんが、200Vなら約11Aで1回路に収まります。電源が10台、20台と並ぶ大規模間接照明や工場の棚下照明では、この差が幹線の本数・ブレーカー数・盤のスペースをそのまま左右します。
入力電圧表記の見分け方(ワイド入力かどうか)
200Vで使えるかどうかは、電源の銘板に書かれた入力電圧(INPUT / AC INPUT)の表記で決まります。LED PRO SHOP で扱うような業務用スイッチング電源の多くは「AC100-240V」のワイド入力ですが、安価な機種や一部の専用機は100V専用です。下表の表記を必ず確認してください。
| 銘板の入力表記 | 200Vでの使用 | 判断 |
|---|---|---|
| AC100-240V(100-240V~) | ○ 使える | ワイド入力。100V/200V兼用 |
| AC100-277V | ○ 使える | 業務用でよくある広範囲入力 |
| AC200-240V | ○ 200V専用 | 100Vでは動かない点に注意 |
| AC100V(100V~のみ) | ✕ 不可 | 200Vを入れると過電圧で故障・発煙 |
| 表記が読めない/不明 | ✕ 接続禁止 | 確認できるまで200Vにつながない |
あわせて周波数(50/60Hz)と入力電圧の許容範囲も確認します。多くのワイド入力機は50/60Hz共用ですが、入力電圧が大きく変動する現場では、許容範囲に余裕のある機種を選んでおくと安定します(入力電圧の許容については別記事で詳しく解説しています)。
単相200Vと三相200Vの結線
LED用スイッチング電源はほとんどが単相入力の機器です。「200V」と言っても現場の供給方式は単相と三相があり、結線の考え方が変わります。実際の結線・接地・遮断器の施工は第二種以上の電気工事士が法令に従って行う前提です。
単相3線式(100V/200V)の場合
住宅・小規模店舗で一般的な単相3線式では、2本の電圧線(L1・L2)と中性線(N)が来ています。L1-N/L2-N が100V、L1-L2 が200Vです。電源をL1-L2の200Vにつなげば単相200Vとして使えます。負荷を片寄せせず、100V系・200V系のバランスを取って中性線電流を抑えるのが基本です。
三相200V(動力)の場合
工場・倉庫の動力に来ている三相200V(R・S・T)では、3線のうち任意の2線間(R-S/S-T/T-R)に接続します。相間電圧は200Vなので、単相入力のLED電源を「単相200V」として接続できます。電源が複数台あるときは、3つの相にできるだけ均等に振り分けて相間バランスを取ります。三相回路の扱いになるため、契約種別・幹線・遮断器も動力側で確認してください。
| 供給方式 | 接続する線 | 電源側の扱い | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 単相3線式 | L1-L2(電圧線2本) | 単相200V | 中性線につながない/100V系と負荷バランス |
| 三相200V | R-S・S-T・T-R のいずれか | 単相200V扱い | 複数台は3相に均等振り分け |
| 単相100V | L-N | 100V | ワイド入力なら100Vでもそのまま可 |
資格と接地: 200V回路の結線・分岐・接地は電気工事士の作業です。アース(接地)、漏電遮断器、ブレーカー容量、電線太さは法令・内線規程に従って選定します。100V専用機に200Vを入れる、相を取り違える、といったミスは一発で電源を壊すため、結線前に必ず銘板とテスターで相間電圧を実測してください。
ブレーカー・電線・突入電流の選定
200V化で電流が下がっても、突入電流(電源投入時に瞬間的に流れる大電流)はスイッチング電源特有の注意点として残ります。電源を複数台まとめて1つのブレーカーに乗せると、投入時の突入が合算されてブレーカーが落ちることがあります。定常電流だけでなく突入を見込んでブレーカーを選ぶのが施工のコツです。
- 定常電流は余裕を持つ:幹線・ブレーカーは連続使用で容量の80%以内を目安に。3,000W/200V(約16.5A)なら20Aではなく回路設計に余裕を見る。
- 突入電流を見込む:電源が多い現場は突入対策(突入電流抑制つき電源、投入を分ける、適切な遮断特性のブレーカー選定)を行う。
- 電線サイズは電流+電圧降下で決める:200Vは電流が小さい分、同じ距離なら電圧降下も有利。ただし長距離は電線太さで補正する。
- 力率(PF)も確認:大規模設置では力率の低い電源を多数並べると幹線電流が増える。力率改善(PFC)付きの電源が有利。
突入電流・ブレーカー選定・力率の詳細は、それぞれの専門記事で計算式とともに解説しています。200V現場ではまず「ワイド入力機を選ぶ」「相を間違えない」「突入を見込む」の3点を押さえれば、幹線設計はぐっと楽になります。
200V給電 選定チェックリスト
- 電源の銘板で入力表記を確認したか(AC100-240V等のワイド入力か)
- 100V専用機(AC100Vのみ)を200Vにつなごうとしていないか
- 供給方式は単相3線式か三相200Vか、相間電圧をテスターで実測したか
- 三相の場合、複数台を3相へ均等に振り分けたか
- 定常電流(W÷200V)に加えて突入電流を見込んでブレーカーを選んだか
- 幹線サイズを電流と電圧降下の両面で確認したか
- 接地・漏電遮断器・資格者施工など法令要件を満たしているか
200V給電は「省エネ」ではなく「幹線をスリムにする」ための選択です。電源台数が多い大規模なLEDテープ施工ほど効果が大きく、回路の本数・盤のサイズ・電圧降下を同時に軽くできます。鍵になるのは、最初にワイド入力対応の電源を選んでおくこと。これさえ守れば、100V現場にも200V現場にも同じ在庫で対応できます。