LED電源(ドライバ)のカタログにある変換効率(η/efficiency)は、入れた電力のうち何%をLED側へ届けられるかを表します。残りはすべて電源内部の熱になります。効率が5%違うだけで、同じ100W出力でも損失(発熱)が17.6Wと11.1Wに変わり、天井裏での温度上昇・電源寿命・分岐回路に載せられる台数・電気代まで影響します。本記事では効率の意味と計算式、80/85/90%の実差、負荷率との関係、過剰容量がなぜ非効率かを施工業者向けに整理します。

1. 変換効率(η)とは何か

変換効率は、電源が入力電力(Pin)のうち出力電力(Pout)として取り出せた割合です。式は次のとおりです。

η(効率)= 出力電力 Pout ÷ 入力電力 Pin
入力電力 Pin = Pout ÷ η / 損失(発熱)= Pin − Pout = Pout ×(1/η − 1)

たとえばLED負荷が100Wで効率85%なら、入力は 100 ÷ 0.85 = 約117.6W。差の 17.6W が電源内部で熱になります。効率が高いほど「同じ明るさを出すのに食う電気が少なく、発熱も少ない」ことになります。LEDテープに使うAC100V入力のスイッチング電源(定電圧24V等)で、効率は実用上おおむね 80〜92% の範囲です。

2. 効率80% / 85% / 90% の実差(損失と入力電流)

出力100Wの負荷を例に、効率別の入力電力・発熱・入力電流(AC100V・力率0.9と仮定)を比較します。施工の現場で効く差は「発熱」と「入力電流」です。

効率η 入力電力 Pin 損失=発熱 入力電流(目安) 評価
80% 125.0W 25.0W 約1.39A 発熱大・低価格帯に多い
85% 117.6W 17.6W 約1.31A 標準的なグレード
90% 111.1W 11.1W 約1.23A 高効率・低発熱で有利
92% 108.7W 8.7W 約1.21A 高効率モデル

効率80%と90%では、同じ100W出力でも発熱が25W→11Wと半分以下になります。10台並べれば差は140W分の熱。天井裏・什器内・密閉ボックスでは、この発熱差がそのまま温度上昇・寿命・保護シャットダウンの差になります。

入力電流が小さい=分岐回路に多く載る
効率が高いほど入力電力=入力電流が小さくなります。1分岐(たとえば20Aコンセント回路)にぶら下げられる電源の台数は入力電流で決まるため、高効率電源のほうが同じ回路に多く接続できます。多系統の現場ほど効きます。

3. 効率は「負荷率」で変わる(過剰容量はむしろ非効率)

見落としやすいのが、効率は負荷率(定格に対してどれだけ使っているか)で変動する点です。スイッチング電源は軽負荷で効率が落ち、おおむね負荷率50〜100%でいちばん高効率になります。カタログ効率値は通常フル負荷付近の値です。

〜20%
軽負荷
効率が大きく低下。容量を余らせすぎた状態
50〜90%
最適域
最も高効率。狙うべき負荷率
100%
フル負荷
高効率だが余裕ゼロ。連続使用は不可

つまり、容量ぴったり(負荷率100%)で使うのは余裕がなく危険ですが、逆に200W負荷に600Wの電源を使うと負荷率33%となり、効率の悪い領域で動かすことになります。容量は「余裕は必要だが過剰はムダ」。下記の考え方でバランスします。

推奨電源容量 = テープ総消費電力 ×(1.2〜1.3)
→ 負荷率にすると約 77〜83% で運転(効率の良い域 & 連続使用の余裕を両立)
⚠ 容量の余らせすぎ・盛りすぎ両方が損
余裕ゼロ(負荷率100%)は発熱・寿命で危険、余らせすぎ(負荷率20%以下)は効率が落ちて無駄に発熱します。定格の70〜90%で使うのが、効率・発熱・寿命のすべてで最もおいしい運転点です。

4. 効率と電気代(ランニングコスト)

効率は電気代にも効きます。出力100Wを1日12時間・年365日点灯する場合、効率85%と90%の入力電力差は 117.6W − 111.1W = 6.5W。年間では次のとおりです。

年間の電力差 = 6.5W × 12h × 365日 ÷ 1000 = 約28.5 kWh/年(1台あたり)

1台では小さく見えますが、テープを多用する商業施設・看板・什器照明では電源台数がかさみます。50台なら年1,425 kWhの差。これに各現場の電気料金単価(¥/kWh)を掛ければ年間コスト差が出ます。※電気料金単価は契約・地域で異なるため、必ず実際の単価で試算してください。長時間点灯・多台数ほど高効率電源の元が取れます。

5. 電源選定の手順(効率を含めた現場判断)

テープの総消費電力を出す 「W/m × 総延長(m)」で負荷を算出。例:14.4W/m × 10m = 144W。
1.2〜1.3倍で容量を決める 144W × 1.25 = 180W → 200W級の電源を選定。負荷率は約72%で効率の良い域に入る。
効率(η)を仕様で確認する 同容量なら効率の高いモデルを優先。密閉設置・高温環境・多台数・長時間点灯では特に効率を重視。
発熱量を算出し放熱を確保 損失=Pout×(1/η−1)で発熱W数を把握。発熱分の放熱スペース・クリアランスを確保し、密閉や断熱材埋設を避ける。
入力電流で回路を確認 入力電流=Pin÷(入力電圧×力率)。同一分岐に載せる台数の合計電流がブレーカ容量に収まるか確認する。
電源選定チェックリスト
□ テープ総消費電力(W/m×延長)を算出したか
□ 容量は1.2〜1.3倍(負荷率70〜90%)に収まっているか
□ 効率(η)を仕様で確認したか(密閉・高温は高効率優先)
□ 発熱W数=Pout×(1/η−1)を出し放熱を確保したか
□ 入力電流の合計が分岐ブレーカ容量内か
□ 過剰容量で負荷率20%以下になっていないか

よくある質問

変換効率が高い電源を選ぶと施工上どんなメリットがありますか?
効率が高いほど、同じ出力でも電源内部の損失(発熱)が小さくなります。たとえば出力100Wの負荷を動かすとき、効率85%なら入力は約117.6Wで損失17.6Wが熱になりますが、効率90%なら入力111.1Wで損失11.1Wに減ります。発熱が小さいと電源の温度上昇が抑えられて寿命が延び、天井裏など放熱の悪い場所でも安定します。さらに入力電流が小さくなるため、分岐回路に多くの電源をぶら下げられ、電気代もわずかに下がります。
電源の効率は負荷率によって変わりますか?
変わります。スイッチング電源は負荷率20%以下の軽負荷で効率が大きく落ち、おおむね負荷率50〜100%で最も高効率になります。カタログの効率値はだいたい定格(フル負荷)付近での値です。つまり300Wの電源にLEDを50W(負荷率17%)しかつながないと、効率が悪い領域で使うことになり、発熱も相対的に増えます。容量は余らせすぎず、定格の70〜90%程度で使うのが効率の面でも理想です。
効率90%の電源なら放熱対策は不要ですか?
不要にはなりません。効率90%でも残りの10%は必ず熱になります。出力100Wなら約11Wが電源内部で発熱するため、密閉ボックスや断熱材に埋めると温度が上がり、保護回路が働いて消灯したり寿命が縮みます。効率が高いと発熱量は減りますが、ゼロではないので、放熱スペースの確保・上面/側面のクリアランス・密閉回避といった基本の放熱対策は効率に関わらず必要です。

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