仕様選定ガイド

LEDテープのW/m(ワット密度)の選び方
用途・放熱・電源容量から最適なワット数を選ぶ

4.8W/mから20W/mまでの違いと、間接照明・看板・作業照明・屋外サインごとの選定基準を施工業者向けに解説

公開: 2026-05-31 | カテゴリ: LEDテープ仕様選定ガイド

LEDテープW/m選び方ガイド
よくある失敗:「明るくしたくて高W/mを選んだら発熱・寿命低下・電源オーバーロード」

W/m(1メートルあたりの消費電力)は「明るさの目安」として使われますが、高W/mを選ぶと発熱増大・電源容量不足・電圧降下の悪化・ケーブル太さ変更が連鎖します。用途に必要な輝度から逆算してW/mを決め、放熱と電源を合わせて設計する流れが現場の基本です。

W/mとは何か、なぜ重要か

W/m(ワット/メートル)はLEDテープが1メートルあたりに消費する電力を示す数値です。一般的にはW/mが高いほど明るく、発熱が多く、電源・配線も大きくなるという相関があります。

ただし、明るさ(lm/m)はW/mだけで決まらず、発光効率(lm/W)も重要です。高効率のテープは同じW/mでも輝度が20〜40%高くなります。W/mを選ぶ際は「何のためにその明るさが必要か」という用途から逆算するのが正しいアプローチです。

W/mと消費電力の計算:
全消費電力(W)= W/m × テープ総長(m)
例:9.6W/m × 8m = 76.8W → 電源は少なくとも76.8W ÷ 0.8(余裕係数80%) = 96W以上が必要。24V電源なら96W÷24V = 4Aの電源が必要。

W/m別・主な用途と特徴

4.8W/m
低電力
アクセント・間接照明
発熱が少なく省エネ。棚下・間接照明・デコレーション向け。アルミフレームなしでも使用可能。
7.2W/m
標準
間接照明・陳列棚照明
間接照明の最もポピュラーなW/m。アルミフレームへの取付け推奨。汎用性が高い。
9.6W/m
中電力
機能照明・補助主照明
主照明の補助・作業照明として使える輝度。アルミフレーム必須。電源・配線の計算を丁寧に実施。
14.4W/m
高電力
看板内照・ショーケース
看板バックライト・ショーケース主照明として十分な輝度。放熱設計が重要。24V推奨。
20W/m
超高電力
屋外看板・大型サイン
屋外看板・大型サインの主光源。発熱が大きく放熱シート+アルミフレーム+換気が必須。

用途別・推奨W/m選定表

用途カテゴリ 推奨W/m 目安lm/m(効率80lm/W時) 放熱対策 推奨電圧 備考
棚下・間接照明(アクセント) 4.8〜7.2W/m 384〜576lm/m アルミフレーム推奨(なしでも可) 12V / 24V 長時間通電が多い。省エネ重視なら低W/m
天井コーブ・建築間接照明 7.2〜9.6W/m 576〜768lm/m アルミフレーム必須 24V推奨 均一な照度が求められるため、高効率テープを選択
陳列棚・ショーケース照明 7.2〜14.4W/m 576〜1152lm/m アルミフレーム必須 24V推奨 Ra90以上の高演色テープと組み合わせる
看板内照バックライト(小〜中型) 9.6〜14.4W/m 768〜1152lm/m アルミフレーム必須+換気 24V必須 面発光均一性のためCOBタイプも検討
屋外看板・大型電飾サイン 14.4〜20W/m 1152〜1600lm/m 放熱シート+アルミフレーム+換気穴必須 24V必須 IP65以上の防水テープを使用。電圧降下に注意
作業照明・工場ワークライト補助 14.4〜20W/m 1152〜1600lm/m 放熱シート+アルミフレーム必須 24V必須 粉塵環境はIP54以上。高天井は別途照明器具を検討
植物育成・農業施設 20W/m以上 (育成用波長で判断) 専用放熱機構必須 24V / 48V PPFDで設計する。汎用テープは不適切なケースが多い

W/mと発熱・放熱の関係

LEDテープは消費電力の約70〜75%が熱に変換されます(残り25〜30%が光)。W/mが高いほど単位長さあたりの発熱量が増え、チップ接合部温度(Tj)が上昇します。Tjが高すぎると光束低下・色ずれ・寿命短縮が加速します。

W/m 発熱量(目安) アルミフレームなし時の基板温度 アルミフレームあり時の基板温度 判定
4.8W/m ≒ 3.4W/m(熱) 40〜50℃ 35〜40℃ 長寿命
7.2W/m ≒ 5.2W/m(熱) 50〜60℃ 40〜48℃ 良好
9.6W/m ≒ 6.9W/m(熱) 60〜75℃ 48〜58℃ アルミフレーム必須
14.4W/m ≒ 10.4W/m(熱) 75〜90℃+(危険域) 55〜68℃ 放熱シート+フレーム必須
20W/m ≒ 14.5W/m(熱) 90℃+(寿命激減) 65〜80℃ 強制換気・大型フレーム必須

放熱設計の実務: 基板温度が60℃を超えると寿命が半分以下になります。アルミフレームは放熱だけでなく、テープの固定・光線のコントロール(拡散カバー)も兼ねるため、9.6W/m以上では必ず採用してください。フレームと壁の間に隙間を設けて対流換気を確保することも効果的です。

W/mと電源容量の選定手順

電源容量の計算手順

① 全消費電力(W) = W/m × テープ総長(m) ② 必要電源容量 = ① × 1.25(余裕係数125%) ③ 電源電圧 = テープ定格電圧(12V または 24V)に一致させる ④ 必要電流(A) = ② ÷ 電源電圧(V) 例:9.6W/m × 10m = 96W → 96W × 1.25 = 120W 24V電源なら 120W ÷ 24V = 5A → 24V・5A以上の電源を選択

電源は「余裕係数1.25」を確保することで過負荷による保護回路動作・発熱・寿命低下を防げます。
複数回路がある場合は系統ごとに計算して個別の電源を割り当てるか、
大型の集中電源BOXと回路ブレーカーを組み合わせる構成にします。

W/m選定の3ステップ

用途別W/m選定チェックリスト

間違いやすいW/m選択のケース

間接照明の誤選択
×

「明るくしたい」だけで20W/mを選ぶ

間接照明は壁・天井に拡散した光が目的であり、20W/mの直接光は眩しさのトラブルになりやすい。7.2〜9.6W/mに拡散カバーを組み合わせる方が品質が高い。

看板の誤選択
×

看板バックライトに4.8W/mを選ぶ

小型の薄型看板(アクリル板)では面輝度が不足して文字が読みにくくなる。看板用途では最低でも9.6W/m以上を選び、必要に応じてCOBテープを検討する。

電源オーバーロード
×

W/mを上げたのに電源を変えない

既設の電源でW/mの高いテープに交換すると電源の定格を超えて保護回路が動作・頻繁にリセットが起きる。テープのW/mを変える際は電源容量も必ず再計算する。

よくある質問

Q. 間接照明にはW/mがいくつのLEDテープを選べばいいですか?
アクセント照明・間接照明用途では4.8〜7.2W/mが標準的な選択です。アルミチャンネルに収める場合は放熱性能を考慮して7.2W/m以下を推奨します。主照明の補助や棚下の機能照明として使う場合は9.6W/m前後が適しています。10W/m以上は発熱が大きくなるためアルミフレームへの取付け・放熱シート使用が必須になります。
Q. W/mが高いほど明るくなりますか?W/mとlm/mの関係を教えてください。
基本的にW/mが高いほど明るくなりますが、発光効率(lm/W)によって同じW/mでも輝度が異なります。一般的なSMD5050テープは70〜80lm/W、高品質COBテープは100〜120lm/Wの効率があります。例えば9.6W/mのテープでも、効率80lm/Wなら768lm/m、効率110lm/Wなら1056lm/mと約38%の差が生じます。明るさを重視する場合はW/mと同時にlm/mの仕様を確認してください。
Q. W/mが高いテープを選ぶと電源や配線はどう変わりますか?
W/mが高いほど電流が増えるため、(1)電源容量(テープ全体の消費電力 × 1.25の余裕係数)が大きくなる、(2)配線ケーブルを太くする必要がある(電圧降下と発熱防止)、(3)1本あたりの最大接続長が短くなる(電圧降下の影響大)、の3点が変わります。例:20W/m × 5m = 100W なら24V・5A以上の電源とAWG16(1.31mm²)以上のケーブルが必要です。

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