LEDテープを長い距離・広い面積に施工するとき、電源(PSU/ACアダプター)を1か所にまとめる「集中電源」にするか、テープの各区間近くに分けて置く「分散電源」にするかは、電圧降下・配線サイズ・放熱・将来の保守性すべてに効いてくる設計判断です。安易にどちらかに決めると「端だけ暗い」「給電線が太すぎて納まらない」「PSUの熱がこもる」といった問題が後から出ます。このページでは見積・施工図の段階で根拠を持って選べるよう、判断軸と計算式を整理します。
1. 集中電源・分散電源とは
集中電源は、大容量のPSUを1か所(盤・点検口内など)に置き、そこから各テープへ給電線を引き回す方式です。電源管理が1か所で済み、保守・交換が楽で、調光や監視も一元化しやすいのが利点です。一方、給電線が長くなるため電圧降下が大きくなりやすく、それを抑えるには太い電線が必要になります。
分散電源は、テープの区間ごとに小〜中容量のPSUを近くに配置する方式です。給電線が短いので電圧降下に強く、電線も細くて済みます。反面、PSUの設置場所をテープ近くに複数確保する必要があり、各PSUの放熱・点検口・1次側(AC)配線の取り回しが課題になります。
2. 2方式の比較表
| 比較項目 | 集中電源 | 分散電源 |
|---|---|---|
| 給電線の長さ | 長い(電圧降下大) | 短い(電圧降下小) |
| 必要な電線サイズ | 太くなりがち | 細くて済む |
| PSU設置場所 | 1か所で済む | 区間ごとに確保 |
| 保守・交換 | 1か所で完結 | 複数箇所を点検 |
| 放熱の集中 | 1か所に発熱集中(換気要) | 熱が分散 |
| 1次側(AC)配線 | 1系統で簡潔 | 各PSUへAC引き回し |
| 調光の一元化 | 容易 | 同期設計が必要 |
| 向く規模 | 短〜中距離・電源置場あり | 長距離・フロア横断 |
ハイブリッドも有効: 「幹線はDC1系統で引き、要所でパワーインジェクション(電源注入)して電圧を持ち上げる」中間案もあります。完全な集中/分散の二択ではなく、電圧降下が許容を超える区間にだけ給電点を追加する発想が実務では現実的です。
3. 電圧降下の計算と幹線サイズ
電圧降下の基本式
給電線で生じる電圧降下は次式で概算します。
Vdrop = 2 × L × I × R
L=片道の配線長(m)/ I=流れる電流(A)/ R=電線1mあたりの抵抗(Ω/m)/ 2=往復(行き帰り)分
電流Iは「テープのW/m × 区間長 ÷ 電源電圧」で求めます。例えば14.4W/mのテープを5m、24Vで点灯すると、電流=14.4×5÷24=3.0A。これを基に給電線の太さを選びます。電線が細いほどR(抵抗)が大きく、電圧降下が増えて端が暗くなります。
| 状況 | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 給電線が長い・細い | 電圧降下が大きく端が暗い | 電線を太くする/給電点を増やす/分散電源化 |
| 12Vテープで長距離 | 24Vより降下の影響が約2倍 | 24Vテープへ変更を検討 |
| 片端給電で長い1本 | 遠端ほど暗くなる | 両端給電・中央給電で降下を半減 |
| 1台のPSUに過負荷 | 発熱・電圧低下・寿命低下 | 負荷率80%以内に分割/PSU増設 |
許容降下の目安: 一般に電源電圧の5%以内に収めると明るさ・色味の差が目立ちにくくなります。24Vなら約1.2V、12Vなら約0.6V。計算で超える場合は「電線を太く」「給電点を分ける」「PSUを近くに置く(分散化)」のいずれかで対処します。
4. PSU配置間隔・設置場所の決め方
区間ごとにPSUを担当させる
電圧降下が許容内に収まる長さで区切る。
- 1区間の電圧降下を計算→許容内で分割
- 明るさの境目はコーナー・見切りに隠す
- 各PSUは同一型番・同一定格でそろえる
- 点検口の位置にPSUを集める
放熱と点検性を確保する
熱がこもる場所・開けられない場所はNG。
- 断熱材に直接埋めない(放熱確保)
- 周囲にクリアランスを取る
- 将来開けられる点検口を必ず設ける
- 結露・水気のある場所は適合IPを選ぶ
AC配線ルートを先に決める
PSUへのAC供給が現実に引けるか確認。
- 各PSUへAC100Vを引けるか確認
- 1次側はPSE適合・有資格者施工
- 分電盤の回路容量に余裕を持たせる
- 突入電流による遮断器トリップに注意
5. 電源レイアウト設計の手順
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テープの総W数(負荷)を算出する W/m × 総延長=総W数。これがPSU容量・回路設計の出発点です。
調光・将来増設を見込むなら負荷率80%以内になるよう容量に余裕を取ります。
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電源置き場(集中)が確保できるか確認する 盤・天井裏・什器内などに大容量PSUと放熱・点検スペースが取れるかを先に判定。取れなければ分散前提で進めます。
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給電ルートと配線長を図面で実測する 最長区間の片道長Lを拾い、電圧降下V=2×L×I×Rを計算します。
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許容降下(定格5%)を超えるか判定する 超えるなら「電線を太く」「給電点追加」「分散電源化」のいずれかを選択。複数案をコスト・納まりで比較します。
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PSUの担当区間・設置位置・点検口を確定する 分散の場合は各PSUの担当区間と明るさ境目の位置を決め、点検口とAC供給ルートを図面に落とします。
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1次側回路・突入電流・調光方式を確認する 分電盤の回路容量、突入電流による遮断器トリップ、調光する場合の同期方式(全PSU同一信号)を最終確認します。
6. よくある設計ミスと対処
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長い1本の遠端だけ暗い 原因: 片端給電で電圧降下が累積。両端給電・中央給電に変更するか、遠端側に給電点(パワーインジェクション)を追加する。根本対策は分散電源化。
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集中電源のPSUが熱い・寿命が短い 原因: 1か所に発熱集中+換気不足+過負荷。負荷率80%以内に下げ、放熱クリアランスと換気を確保。容量不足なら分散化・増設する。
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分散電源で区間ごとに明るさ・色がばらつく 原因: PSU型番混在・出力電圧差・調光信号の非同期。同一型番でそろえ、調光は全PSU同一信号・同一方式で駆動。境目はコーナーに隠す。
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電源投入時に遮断器が落ちる 原因: 複数PSUの突入電流が重なる。回路を分ける、突入電流対策(順次投入・インラッシュ対策機器)を検討、分電盤の回路容量を見直す。
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7. 電源レイアウト設計チェックリスト
- テープのW/m×総延長で総W数(負荷)を算出した
- PSU容量は負荷率80%以内になるよう余裕を取った
- 最長区間の片道配線長を図面で実測した
- 電圧降下V=2×L×I×Rを計算し定格5%以内に収めた
- 集中電源の場合、電源置き場・放熱・点検スペースを確保した
- 分散電源の場合、各PSUの担当区間と明るさ境目の位置を決めた
- 各PSUは同一型番・同一定格でそろえた
- 1次側AC配線ルート・回路容量・突入電流・調光同期を確認した