LEDテープを発注するとき、W/mや色温度・防水等級は確認しても、基板幅(テープの横幅)を仕様の最後まで詰めずに発注して現場で詰まる——これは施工業者なら一度は経験するミスです。「届いたテープがアルミフレームの溝に入らない」「コーナーで曲げたら基板が割れた」「棚下に貼ったら厚みが目立った」。これらはすべて幅の選定で決まります。本記事では 5mm・8mm・10mm・12mm 幅の構造的な違いを整理し、アルミフレームの溝幅・最小曲げ半径・放熱・実装密度から逆算してテープ幅を決める判断基準を、現場目線で解説します。

テープ幅とは何を指すか — 基板幅と外形幅の違い

カタログに「幅10mm」とある場合、ふつうはFPC基板の横幅を指します。ただし防水コーティング品では、シリコンやゲルの被覆分だけ外形幅が基板幅より大きくなる点に注意が必要です。フレームへの挿入可否を判断するのは基板幅ではなく外形幅です。

表記 意味 フレーム適合の判断に使う値
基板幅 FPC(フレキ基板)そのものの横幅 非防水品はこの値で判断
外形幅 防水コーティング込みの実測横幅 防水品はこの値で判断(基板幅+0.5〜1.5mm程度)
厚み 基板+LED(+コーティング)の高さ 溝深さ・什器のクリアランス判断に使用

現場での失敗例: 「10mm溝のフレームに10mm基板の防水テープ」を発注したところ、外形幅が11.2mmあり挿入不能。フレーム適合は必ず外形幅 + クリアランス0.3〜0.5mmで確認します。

代表的な幅とその特性

5mm
狭所・曲面特化
什器内部・什器エッジ・細いコーブ照明向け。面方向の最小曲げ半径が小さく、目立たせたくない場所に最適。放熱面積が小さく高出力には不向き。
8mm
汎用バランス型
棚下・間接照明の標準。多くの細幅アルミフレームに適合。放熱と取り回しのバランスが良く、迷ったらこの幅。
10mm
主流・高出力対応
最も流通量が多い。放熱面積が確保でき中〜高出力(10〜20W/m)に対応。COBの高密度品もこの幅が中心。
12mm〜
高出力・RGB多列
高W/m・RGBやRGBWの多列実装・看板内照の高輝度用途。放熱に余裕。フレーム選択肢はやや限られる。

幅と最小曲げ半径の関係

LEDテープは面方向(平面に沿った曲げ)には対応しますが、基板が割れない最小曲げ半径は幅に依存します。基板が広いほど外周と内周の伸縮差が大きくなり、割れやすくなります。下表はSMD品の一般的な目安です(COB・防水品はメーカー指定値を優先)。

基板幅 面方向 最小曲げ半径の目安 適した曲げ用途
5mm 約20〜30mm 什器のR・円柱・小径コーナー
8mm 約40〜50mm 緩いカーブ・什器エッジ
10mm 約60〜80mm 大きなカーブのみ(直角はカット&配線)
12mm以上 面方向曲げは非推奨 直線敷設+コーナーはカット処理

原則: 直角(90°)コーナーは曲げで処理せず、カットして渡り配線(ジャンパー)でつなぐのが基本です。曲げ半径を割ると点灯直後は問題なくても、数週間後にFPCの銅箔クラックで断線します。

アルミフレームの溝幅から逆算する

テープ幅を先に決めてからフレームを探すと「適合フレームが無い」事態になりがちです。施工現場では逆に使うフレームの内寸(溝幅)から適合テープ幅を絞る方が確実です。

適合チェックの計算式

適合テープ外形幅 ≦ フレーム内寸 − 0.3mm(最小クリアランス)

つまり内寸10mmのフレームなら、外形幅9.7mm以下のテープが安全に挿入できます。防水テープを使う場合は外形幅で判断し、基板幅で判断しないこと。

フレーム内寸 適合する基板幅(非防水) 適合する外形幅(防水)
6mm 5mm 〜5.7mm
9mm 8mm 〜8.7mm
11mm 10mm 〜10.7mm
13mm 12mm 〜12.7mm

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幅と放熱 — 同じW/mでも温度が変わる

見落とされがちですが、幅は放熱性能に直結します。基板幅が広いほど熱を逃がす面積が大きく、同じW/mでもジャンクション温度が下がります。高出力テープ(15W/m以上)を細幅基板で使うと、寿命低下・色ズレ・最悪は焼損につながります。

  • 〜8W/m(低出力): 5〜8mm幅で問題なし。什器内部の狭所にも使える。
  • 8〜15W/m(中出力): 8〜10mm幅。アルミフレームへの収納で放熱を補助する。
  • 15W/m以上(高出力): 10〜12mm幅+アルミフレーム必須。放熱設計を前提に選ぶ。

実務のコツ: 高出力テープは「幅」と「アルミフレームへの密着」をセットで考えます。フレームをヒートシンク代わりにすることで、同じテープでも体感寿命が大きく変わります。放熱の詳細は別記事も参照してください。

幅を決める前の確認チェックリスト

  • 使うアルミフレームの内寸(溝幅)を実測またはカタログで確認した
  • 防水テープの場合、基板幅ではなく外形幅で適合判断した
  • コーナーの曲げ半径が、選んだ幅の最小曲げ半径を上回っている
  • 直角コーナーはカット&ジャンパー配線で処理する設計にした
  • W/m(出力)に対して放熱面積が足りる幅を選んだ
  • 什器・溝の深さに対してテープ厚み+配線の余裕がある
  • RGB/RGBWなど多列実装が必要な場合、対応する広幅を確保した

まとめ — 幅選定の3原則

  1. 幅はフレーム内寸から逆算する: テープ先決めではなく、溝幅 − クリアランスで適合幅を絞る。防水品は外形幅で判断。
  2. 曲げる現場は細幅・高出力は広幅: 5mmは曲面と狭所、10〜12mmは放熱と高輝度。8mmは汎用の落としどころ。
  3. 明るさは幅ではなくW/mで決まる: 幅は放熱・取り回し・フレーム適合を左右する設計要素。明るさはW/m・lm/mで確認する。

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よくある質問(施工業者向けFAQ)

アルミフレームの内寸ぴったりの基板幅を選べば良いですか?
内寸と同寸は避けてください。挿入できない・防水コーティングの厚み分で入らないトラブルが起きます。基板幅+0.3〜0.5mm程度のクリアランスを持つ内寸のフレームを選ぶのが実務上の目安です。例えば10mm基板なら内寸10.3〜11mmのフレームが適合します。
細い5mm幅テープは曲げに強いですか?
面方向(平面上)の曲げには5mm幅が有利で最小曲げ半径も小さくできますが、基板が細い分だけ放熱面積が小さく、同じW/mなら温度が上がりやすい傾向があります。細幅は曲面・什器内部の狭所向け、放熱が必要な高出力用途は8〜10mm幅が無難です。
幅が広いテープほど明るいですか?
幅と明るさは直結しません。明るさはW/m(1mあたりワット数)と実装密度で決まります。幅は主に放熱面積・LED配置の自由度・フレーム適合に影響します。明るさで選ぶ場合はW/mとlm/mの仕様を確認してください。