「Ra90 の LED を選んだのに、なぜか商品が冴えない」「数字は高いのに鮮やかさが足りない」——演色性をRa(CRI)だけで選ぶと起きがちな現象です。じつはRaは中彩度の8色の平均でしかなく、彩度(あざやかさ)の再現や、色が鮮やかに転ぶか・くすんで転ぶかは表せません。これを補う新しい演色評価指標がTM-30(IES TM-30)で、Rf(忠実度)とRg(色域)の2つの数値で光の色再現性をより正確に表します。本記事では、施工業者が高演色LEDテープを正しく見分けられるよう、TM-30の読み方とRa・R9との違い、業種別の選び方を整理します。

先に結論: Ra(CRI)は「忠実さの8色平均」、TM-30は「99色で測った忠実度(Rf)+鮮やかさの方向(Rg)」。Rfは高いほど忠実、Rgは100が基準で100超=鮮やか/100未満=くすむ。物販・飲食は「Rf高め+Rgやや100超」、検品・美術は「Rf最優先+Rg100前後」が狙い目です。

なぜRa(CRI)だけでは足りないのか

Ra(平均演色評価数/CRI)は長年使われてきた信頼できる指標ですが、構造上の限界があります。施工現場で「数字どおりに見えない」原因の多くはここにあります。

  • 8色の平均にすぎない: Raは中程度の彩度の試験色R1〜R8の平均値です。鮮やかな赤(R9)・黄(R10)などは平均に含まれません。
  • 平均なので弱点が隠れる: ある色だけ極端に苦手でも、他が良ければ平均は高く出ます。Ra90でも特定の色が沈むことがあります。
  • 忠実さしか測らない: Raは「基準光にどれだけ近いか」だけを評価し、鮮やかに見えるか・くすんで見えるかという方向は分かりません。

つまりRaは「平均的に忠実か」を表す指標で、彩度(あざやかさ)や色の偏りは読み取れません。食品・アパレル・化粧品・花など彩度が売上に直結する現場ほど、この差が効いてきます。Raの基礎はCRIとRaの違い・業種別の選び方を参照してください。

TM-30とは — Rf(忠実度)とRg(色域)

TM-30は北米照明学会(IES)が定めた演色評価手法です。Raが8色なのに対し、TM-30は99色の試験色サンプル(CES)を使い、色を16の色相に分けて評価します。結果は主に2つの数値で表されます。

指標意味基準・範囲読み方
Rf(忠実度)基準光にどれだけ忠実に色が見えるか0〜100(高いほど忠実)Raに近い概念だが99色で評価しより厳密
Rg(色域)色全体が鮮やかに/くすんで見えるか約60〜140(100が基準)100超=彩度強調(鮮やか)/100未満=くすむ

ポイントは、Rfが「忠実か」、Rgが「鮮やかか/地味か」という別々のことを測っている点です。Raでは1つの数字に潰れていた情報が、2軸に分かれて見えるようになります。

カラーベクトルグラフ(色の方向)も見る

TM-30レポートには、16色相それぞれが「鮮やかになる方向か/くすむ方向か」を示すカラーベクトルグラフが付くことがあります。たとえば「赤だけが外側(鮮やか)に膨らみ、緑が内側(くすむ)」のように、どの色が得意でどの色が苦手かが一目で分かります。商品の主役色(肉の赤、野菜の緑など)がくすむ方向に出ていないかを確認できるのが実務上の強みです。

Ra・R9・Rf・Rg の関係を整理

指標が増えて混乱しやすいので、役割を一枚に整理します。それぞれ「測っているもの」が違うため、対立ではなく補完関係です。

Ra (CRI) 8色平均 忠実さの平均。最も普及。まずここで足切り(Ra90以上)。
R9 濃い赤 Raに含まれない赤の再現。食品・肌に直結。50以上、できれば90前後。
Rf 99色の忠実度 Raの上位版。85以上が高演色、90以上で上質。
Rg 鮮やかさ方向 100基準。物販は100〜110、忠実重視は95〜105が目安。
レベルRa(参考)RfRg見え方の傾向
一般グレード80前後75〜8290〜100実用的だが鮮やかさ・赤が物足りない
高演色90前後83〜8897〜108店舗・飲食で自然かつ魅力的
最上位95以上90以上98〜105色の正確さが要る美容・宝飾・美術・検品

ワンポイント: Rgは「高いほど良い」ではありません。Rgが110を大きく超えると、彩度を盛りすぎて実物より派手に見え、アパレルや化粧品では「店内で見た色と家で違う」というクレームの原因になります。色を正確に見せたい用途ほどRgは100前後が理想です。R9の詳しい解説はR9(濃い赤)の演色性ガイドを参照。

業種別 — Rf重視かRg重視か

同じ「高演色」でも、求められるのが忠実さ(Rf)魅力的な鮮やかさ(Rg)かで選ぶ光が変わります。施主の業種から逆算して提案できると失敗しません。

業種・用途優先指標狙う値の目安理由
精肉・鮮魚・青果Rf+R9+Rgやや高Rf85+ / R9 90前後 / Rg 100〜108赤み・みずみずしさを魅力的に
アパレル・化粧品Rf高め+Rg≒100Rf88+ / Rg 98〜105盛りすぎると帰宅後に色が違う苦情
飲食店・カフェRf+Rgやや高Rf85+ / Rg 100〜110料理を美味しそうに、雰囲気を魅力的に
宝飾・時計Rf最優先Rf90+ / Rg 98〜105金属・宝石の正確な輝きと色
美術館・ギャラリーRf最優先・Rg=100Rf92+ / Rg 98〜102作品の忠実再現が絶対
検品・印刷確認・塗装Rf最優先・Rg=100Rf90+ / Rg 98〜102色を「正しく」判定する作業

カタログにTM-30が無いときの代替判断

国内のLEDテープでは、まだTM-30値が未記載のことが多いのが実情です。その場合は次の順で判断します。

  1. まずRaで足切り: 店舗・商業ならRa90以上を最低ライン、美容・宝飾・美術はRa95以上を狙う。
  2. 次にR9を確認: R9が高い(目安50以上、できれば90前後)製品は赤の再現が良く、結果的にRfも高め・色も鮮やかに出やすい。Raだけ高くR9が低い製品は赤がくすむ。
  3. 最後はサンプルで実物確認: 重要案件は必ずサンプルを取り寄せ、実際の商品(食材・生地・化粧品)を当てて目視する。

注意: 同じ「Ra90・色温度3000K」でもメーカー・ロットで色味や鮮やかさは差が出ます。複数現場・追加発注で色を揃えたい場合は、演色性だけでなく色のバラつき(ビニング)も合わせて確認します。詳しくはLEDテープの色ムラ・色の一貫性ガイドを参照してください。

高演色LED 選定チェックリスト

  • 用途に対してまずRaで足切りした(商業Ra90+/美容・宝飾・美術Ra95+)
  • 赤が重要な現場(食品・肌)はR9の値(目安50以上)を個別に確認した
  • TM-30値があればRf(忠実度)とRg(色域)の両方を確認した
  • 忠実さ重視(検品・美術)はRg100前後、魅力重視(物販・飲食)はRg100〜110を選んだ
  • Rgが110を大きく超え「盛りすぎ」になっていないか確認した(色違いクレーム防止)
  • 追加発注・複数現場では色のバラつき(ビニング)も合わせて確認した
  • 重要案件はサンプルで実物(商品)を当てて目視確認した

よくある質問

Ra(CRI)が90以上あれば、TM-30は見なくても大丈夫ですか?
多くの一般用途ではRa90以上で十分ですが、Raだけでは判断できない場面があります。Raは中彩度の8色(R1〜R8)の平均で、しかも「どれだけ忠実か」しか見ません。そのため彩度の高い赤や緑の見え方、色が鮮やかに転ぶかくすんで転ぶかは表せません。Ra90でも「色が冴えない」「鮮やかさが足りない」と感じるのはこのためです。食品・アパレル・化粧品・花など彩度が品質に直結する現場では、Rf(忠実度)に加えてRg(色域)、できればR9も確認すると失敗しにくくなります。
Rg(色域)はなぜRf(忠実度)と別に見る必要があるのですか?100を超える方が良いのですか?
RfとRgは別のことを測っているからです。Rfは「基準光にどれだけ忠実か」、Rgは「色全体が鮮やかに見えるかくすんで見えるか」を表します。Rgは100が基準で、100より大きいと彩度が強調されて鮮やかに、100より小さいと全体にくすんで見えます。必ずしも高いほど良いではなく、忠実な再現が要る検品・印刷確認・美術館ではRf重視でRgは100前後が理想、商品を鮮やかに魅せたい物販・飲食ではRgが100〜110程度に少し振れた光が好まれます。Rfが高くてもRgが90を切ると、忠実だが地味な光になりがちです。
メーカーカタログにTM-30(Rf・Rg)が載っていません。どう判断すればよいですか?
国内のLEDテープではTM-30値が未記載のことがまだ多いのが実情です。その場合はRaとR9を代替の手掛かりにします。Ra(できればRa90以上)に加えてR9(濃い赤の特殊演色評価数)を確認します。R9が高い(目安50以上、できれば90前後)製品は赤の再現が良く、結果的にRfも高め・色も鮮やかに出やすい傾向があります。逆にRaだけ高くR9が低い製品は、肉の赤みや花の赤がくすみがちです。最終的には、重要案件ではサンプルを取り寄せ、実際の商品(食材・生地・化粧品など)を当てて目視確認するのが最も確実です。

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