「24VのLEDテープを、壁の普通のスイッチで入切できるようにしたい」——内装・看板の現場でいちばん多い要望です。ところがLEDテープは電源(PSU)でAC100VをDC低圧に変換して点灯するため、照明器具をそのまま壁スイッチにつなぐのとは少し勝手が違います。スイッチを電源の手前(AC一次側)に入れるか後ろ(DC二次側)に入れるかで配線が変わり、さらにほたるスイッチ(位置表示灯付き)を使うと消灯後もうっすら光る・チラつくという、白熱灯では起きないトラブルが頻発します。このページでは、片切スイッチでLEDテープを入切する基本配線と、現場で実際に起きる不具合の原因・対処を施工業者の目線で整理します。
はじめに(資格の確認): AC100V/200Vの一次側配線・壁スイッチの結線は電気工事士の有資格者の作業です。本記事は配線方式の考え方を整理するものです。実際の結線・施工は資格と現地条件に従って行ってください(LEDテープ施工と電気工事士資格を参照)。
1. 基本は「電源のAC一次側」で切る
1か所の壁スイッチでLEDテープを入切するなら、スイッチは電源(PSU)の手前のAC100V側に入れます。つまり「壁スイッチ → LED電源 → DCテープ」という並びにして、スイッチで電源そのものをON/OFFします。照明器具を電源(PSU)に置き換えただけ、と考えれば普通の片切スイッチ配線と同じです。
| 観点 | ① AC一次側で切る(電源ごと) | ② DC二次側で切る(テープを直接) |
|---|---|---|
| 使えるスイッチ | 市販のAC用片切スイッチでOK | DC対応・接点容量に余裕のあるもの |
| スイッチの電流 | 小さい(電源の入力電流) | 大きい(DC低圧=大電流になりやすい) |
| 待機電力 | 消灯時は電源も切れてゼロ | 消灯時も電源は通電(待機電力が残る) |
| 点灯の応答 | 電源起動ぶん遅れる(コンマ数秒) | 即時にON/OFF |
| 電圧降下 | DC配線はテープまで最短にできる | スイッチ経由でDC配線が伸び増えやすい |
| 向く現場 | ほぼすべての一般的な1か所入切 | 電源常時通電のまま即時入切したい小規模 |
原則はAC一次側: 特別な理由がなければ、片切スイッチは電源のAC一次側に入れます。市販の壁スイッチがそのまま使え、DC側の大電流・電圧降下・接点劣化を気にする必要がありません。唯一の弱点は、入切のたびに電源が起動し直すため点灯がコンマ数秒遅れることだけです。2か所以上から入切したい場合は3路・4路スイッチの配線方法を参照してください。
2. 片切スイッチの基本配線
片切スイッチは「入/切」の2状態で、来た電源の片側(非接地側=黒線)を断続するだけのシンプルな部品です。LEDテープでも、切る対象が「器具」から「LED電源の入力」に変わるだけで考え方は同じです。
AC100V(N/白) ───────────── LED電源(PSU)のAC入力(N)
LED電源(PSU)のDC出力(+/−) ── DCテープ
// スイッチは非接地側(L/黒)に入れる。電源以降のDC配線は常時どおり
- スイッチは非接地側(L・黒線)に入れる: 接地側(N・白線)を切る配線は、消灯していても器具側に電圧が残り感電・点検時の危険につながるため避けます。
- 電源の極性・容量を確認: 電源のAC入力端子(L/N)を正しく結線し、テープの合計Wに対して電源容量に余裕(おおむね合計負荷の1.2倍以上)を持たせます。
- DC側はいつもどおり: 電源の後ろのDC配線・テープ接続・極性(+/−)は通常の施工と同じです。
調光もしたいなら位置に注意: 壁の調光器(位相制御)でLEDテープを暗くしたい場合は、AC一次側に入れるのは「調光対応の電源(トライアック調光対応PSU)+専用調光器」の組み合わせが必要です。一般の電源に位相制御調光器を入れるとうなり・ちらつき・故障の原因になります。詳しくはLEDテープの調光方式を参照してください。
3. ほたる・パイロットスイッチの罠(残光・チラつき・カチカチ音)
住宅・店舗で多用されるほたるスイッチ(位置表示灯付き=OFF時に光って位置がわかる)を、そのままLED電源に使うと、白熱灯では起きなかった不具合が出ます。最も多いのが「スイッチを切ったのにLEDテープがうっすら光り続ける/数秒おきにチラっと光る/電源からカチカチ音がする」という症状です。
なぜ起きるのか
ほたるスイッチはOFF時に表示灯(ネオン管やLED)を光らせるため、OFFでも負荷(=LED電源)を通して1mA前後の微小電流を流し続けます。白熱灯ではこの程度の電流ではフィラメントは光りませんが、LED電源は入力のコンデンサがこの微小電流で少しずつ充電され、ある電圧でテープが一瞬光って放電→また充電…を繰り返します。これが残光・周期的なチラつき・内部リレーのカチカチ音の正体です。
| スイッチの種類 | OFF時の挙動 | LED電源での問題 | 対処 |
|---|---|---|---|
| 普通の片切スイッチ | 表示灯なし・電流ゼロ | 問題なし(推奨) | — |
| ほたるスイッチ(位置表示灯) | OFF時に微小電流が負荷を通る | 消灯後の残光・チラつき・カチカチ音 | 普通スイッチに交換/3線式結線/バイパス素子 |
| パイロットスイッチ(確認表示灯) | ON時のみ表示灯が点灯 | 残光は出にくいが3線式結線が必要な製品あり | 表示灯回路を負荷と別経路で結線 |
| ほたる/パイロット兼用 | OFF時・ON時とも表示灯 | OFF時に同じ残光トラブル | 普通スイッチに交換が確実 |
3つの対処法
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普通の片切スイッチに交換する(最も確実) 位置表示が不要なら、表示灯のない普通の片切スイッチに替えるだけで微小電流が無くなり、残光・チラつきは確実に解消します。まず検討すべき対処です。
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表示灯回路を負荷と別経路にする(3線式結線) 表示灯を残したい場合は、表示灯の戻り電流が負荷(LED電源)を通らないよう、中性線を別に取る「3線式(同時点滅・別配線)」に対応した器具・結線にします。スイッチ・器具の仕様に従って施工します。
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バイパス素子(コンデンサ/ダミー負荷)を入れる LED電源の入力と並列に、微小電流を逃がすコンデンサや抵抗(ダミー負荷)を入れて残光を止める方法です。発熱・スペースの管理が必要で、確実性は交換に劣るため、表示灯をどうしても残す場合の次善策です。
現場での見分け方: 「スイッチOFFなのにテープがうっすら光る・周期的に点滅する」「電源からカチカチ音がする」場合は、まずスイッチがほたる(位置表示灯付き)かどうかを確認します。プレートを外さなくても、消灯時にスイッチ自体がオレンジ/緑に光っていればほたるスイッチです。LED電源・テープの故障と早合点する前に、スイッチ種類を疑うのが近道です。
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突入電流の小さい電源、調光対応の電源、DC側入切に使える部材まで、施工方式に合わせたLEDテープ用部材をプロ向けにご用意しています。
LED PRO SHOP 商品一覧を見る4. DC二次側でスイッチを切りたい場合
「電源は常時通電のままテープだけを即時に入切したい」「既設の二次側に手元スイッチを付けたい」場合は、電源とテープの間(DC側)にスイッチを入れます。応答は速い一方、DC低圧は電流が大きくなるため、スイッチ選定に注意が必要です。
// 例: DC24V・96W → 96 ÷ 24 = 4A
// 例: DC12V・96W → 96 ÷ 12 = 8A(同じW数でも12Vは電流が倍)
スイッチ接点定格 ≧ 負荷電流 × 1.5〜2(突入・余裕を見込む)
| 注意点 | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 接点容量(電流) | DC低圧は大電流。AC定格しかないスイッチは不向き | DC対応・負荷電流の1.5〜2倍以上の接点定格 |
| DCのアーク | DCは開く瞬間の火花が消えにくく接点が劣化・溶着しやすい | DC定格のスイッチ/リレーを使う |
| 電圧降下 | スイッチ経由でDC配線が伸び、末端が暗くなる | 電線を太く・距離を抑える(電圧降下計算) |
| 大電流の入切 | 数A以上を手元スイッチで直接切るのは危険・短寿命 | リレー/コントローラーを介し小電流の信号でON/OFF |
大電流ならリレー/コントローラー経由: DC二次側で数A以上を入切するなら、手元スイッチで直接切らず、スイッチは小電流の信号としてリレーやLEDコントローラーを駆動し、主電流はそちらで断続させるのが安全・長寿命です。RGBや単色テープのコントローラーには手元スイッチ・リモコンを併用できる製品もあります。
5. 複数台の電源・突入電流の注意
AC一次側で切る場合、スイッチを入れた瞬間に電源の入力コンデンサへ大きな突入電流が流れます。1個の壁スイッチで多数の電源をまとめて入切すると、突入電流が重なってブレーカーが落ちることがあります。台数が多い現場では回路・スイッチを分けるか、突入電流の小さい電源を選びます。詳しくはLED電源の突入電流とブレーカー対策を参照してください。
頻繁な入切は電源寿命にも影響: AC一次側方式では入切のたびに突入電流が流れるため、人感センサーなどで短い間隔の入切を繰り返す用途では電源の負担が増えます。短周期の自動入切が前提なら、DC側をリレー/コントローラーで断続し電源は常時通電にする構成を検討します(人感センサー連動)。
6. 施工手順
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切る位置を決める(原則AC一次側) 1か所入切なら電源のAC一次側に片切スイッチ。常時通電のまま即時入切したい小規模ならDC二次側。2か所以上なら3路・4路へ。
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スイッチの種類を選ぶ(ほたるに注意) LED電源にはほたる(位置表示灯付き)スイッチを避け、普通の片切スイッチを選ぶ。表示灯を残すなら3線式対応の結線にする。
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負荷と電源容量を確定する テープの合計W/mと長さから消費電力を出し、余裕(1.2倍以上)を見て電源容量を決める。DC側で切るなら負荷電流から接点容量を選ぶ。
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非接地側(L・黒)にスイッチを入れて結線 AC一次側方式は黒線(L)に片切スイッチを入れ、共通端子の先に電源のAC入力を接続。DC側方式はDC対応スイッチ/リレーを電源とテープの間に入れる。
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動作確認(残光・チラつき・突入をチェック) ON/OFFが正しく動くか、消灯後にうっすら光らないか、点灯遅れ・末端の暗さ・ブレーカー落ち・接点や端子の発熱がないかを実機で確認する。
7. 配線・選定チェックリスト
- 切る位置をAC一次側/DC二次側のどちらにするか決めたか(原則AC一次側)
- スイッチがほたる(位置表示灯付き)でないか確認したか/LED電源には普通の片切スイッチを選んだか
- 表示灯を残す場合、3線式など負荷を通さない結線にしたか
- スイッチを非接地側(L・黒線)に入れたか
- テープの合計Wに対し電源容量に余裕(1.2倍以上)を持たせたか
- DC二次側で切る場合、負荷電流(W÷V)を計算し接点定格1.5〜2倍以上のDC対応スイッチを選んだか
- 複数台の電源を1スイッチで一括入切する場合、突入電流でブレーカーが落ちないか確認したか
- 消灯後の残光・チラつき・カチカチ音・末端の暗さ・発熱がないか実機確認したか
- AC一次側の結線が電気工事士の有資格者によって行われているか