階段の上下・長い廊下の両端・大空間の複数出入口など、「1系統のLED間接照明を2か所以上から入切したい」という要望は多くの現場で出てきます。普通の照明なら3路スイッチで済みますが、LEDテープは電源(PSU)で低圧DCに変換して点灯するため、スイッチを「電源の手前(AC100V一次側)」に入れるか「電源の後ろ(DC二次側)」に入れるかで、配線も注意点もまったく変わります。このページでは、2か所以上から入切する方式を整理し、3路・4路スイッチの組み方、DC側に入れる場合の接点容量・突入電流・電圧降下の注意点を施工業者の目線で解説します。
はじめに(資格の確認): AC100V/200Vの一次側配線・スイッチ結線は電気工事士の有資格者の作業です。本記事は配線方式の考え方を整理するものです。実際の結線・施工は資格と現地条件に従って行ってください(LEDテープ施工と電気工事士資格を参照)。
1. 2か所以上から入切する3つの方式
LEDテープを複数箇所から入切する方法は、大きく3つあります。現場の条件(既存配線・電流の大きさ・調光の有無)で使い分けます。
| 方式 | スイッチを入れる位置 | 向いている現場 |
|---|---|---|
| ① AC一次側方式 | 電源(PSU)の手前のAC100V側 | 階段・廊下など一般的な2〜3か所入切。既存の3路配線を活かせる |
| ② DC二次側方式 | 電源とテープの間のDC低圧側 | 電源を常時通電のままテープだけ瞬時に入切したい。低電流の小規模 |
| ③ 無線・コントローラー方式 | 信号でON/OFF(リレー/コントローラー) | 多数の場所・調光やシーンも切替・後付け増設したい |
迷ったらAC一次側方式: 階段や廊下の2〜3か所入切なら、電源の手前で3路・4路スイッチを使うAC一次側方式が、配線も部材も標準的でいちばん確実です。市販の壁スイッチがそのまま使え、DC側の大電流・電圧降下を気にする必要がありません。唯一の弱点は、入切のたびに電源が起動し直すため点灯がコンマ数秒遅れることです。
2. AC一次側方式 vs DC二次側方式の比較
| 観点 | ① AC一次側方式(電源ごと入切) | ② DC二次側方式(テープを直接入切) |
|---|---|---|
| スイッチの電流 | 小さい(AC100V・電源の入力電流) | 大きい(DC低圧=大電流になりやすい) |
| 使えるスイッチ | 市販のAC用3路・4路壁スイッチ | DC対応・接点容量に余裕のあるスイッチが必要 |
| 点灯の応答 | 電源起動ぶん遅れる(コンマ数秒) | 即時にON/OFF |
| 電源への負担 | 入切ごとに突入電流。頻繁な開閉で電源寿命に影響 | 電源は常時通電で安定 |
| 電圧降下 | スイッチまではAC。DC配線はテープまで最短にできる | スイッチを経由してDC配線が伸び、電圧降下が増えやすい |
| 待機電力 | 消灯時は電源も切れる | 消灯時も電源は通電(待機電力が残る) |
| 向く規模 | 中〜大規模・一般的な2〜3か所入切 | 小規模・低電流・即応性重視 |
突入電流に注意: AC一次側方式では、スイッチを入れた瞬間に電源の入力コンデンサへ大きな突入電流が流れます。多数の電源を1つのスイッチでまとめて入切すると、突入電流が重なってブレーカーが落ちることがあります。詳しくはLED電源の突入電流とブレーカー対策を参照し、台数が多い場合は回路・スイッチを分けるか、突入電流の小さい電源を選びます。
3. 3路スイッチの基本配線(AC一次側)
2か所から入切する基本が3路スイッチです。片切スイッチは「入/切」の2状態ですが、3路スイッチは内部で2つの渡り線(3路線)のどちらかにつながる「切替」動作をします。これを2個向かい合わせにすることで、どちらのスイッチを動かしても点灯状態が反転します。
3路SW(L1/L2) ━━ 渡り線2本 ━━ もう片方の3路SW(L1/L2)
もう片方の3路SW(共通端子) ─ LED電源(PSU)のAC入力 ─ DCテープ
// どちらのスイッチでも状態が反転=2か所から入切できる
LEDテープ特有のポイントは、3路スイッチの先につながるのが「照明器具」ではなく「LED電源(PSU)」だという点だけです。スイッチで電源のAC入力をON/OFFし、電源以降のDC配線・テープはいつもどおりに接続します。スイッチ自体は普通の照明と同じ3路配線です。
既存配線を活かせる: 既に階段・廊下に3路スイッチ配線がある現場なら、その先の照明器具をLED電源+テープに置き換えるだけで2か所入切が成立します。スイッチ・渡り線はそのまま、器具の代わりに電源を入れるイメージです。
4. 4路スイッチで3か所以上から入切
3か所以上から入切したいときは、両端を3路スイッチにし、その間に4路スイッチを必要な数だけ直列に挟みます。4路スイッチは渡り線2本の接続を入れ替える役割で、何個挟んでも「どこを操作しても状態が反転する」性質が保たれます。
| 入切したい箇所数 | 必要なスイッチ構成 | 用途例 |
|---|---|---|
| 2か所 | 3路スイッチ × 2 | 階段の上下・廊下の両端 |
| 3か所 | 3路 × 2 + 4路 × 1 | 3方向に出入口のある大空間 |
| 4か所 | 3路 × 2 + 4路 × 2 | 長い回廊・複数出入口の店舗 |
| 多数・調光も | 無線/コントローラー方式を推奨 | 機械式では配線が複雑化。信号制御が有利 |
場所が増えすぎたら方式を変える: 4か所を超えると4路スイッチと渡り線が増えて配線が複雑になり、施工・トラブル対応の手間が跳ね上がります。多数の場所から制御したい、調光やシーン切替も入れたいなら、機械式の3路・4路にこだわらず、複数の操作器を連動できるコントローラー・調光器や無線リモコン方式へ切り替えるほうがすっきりまとまります。
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LED PRO SHOP 商品一覧を見る5. DC二次側にスイッチを入れる場合の注意(接点容量・突入・電圧降下)
電源を常時通電のままテープだけを即時に入切したい場合は、DC二次側にスイッチを入れます。応答は速い一方、DC低圧は電流が大きくなるため、スイッチ選定と配線に注意が必要です。
接点電流の計算
まず流れる電流を求めます。電圧が低いほど、同じワット数でも電流は大きくなります。
// 例: DC24V・96W → 96 ÷ 24 = 4A
// 例: DC12V・96W → 96 ÷ 12 = 8A(同じW数でも12Vは電流が倍)
スイッチ接点定格 ≧ 負荷電流 × 1.5〜2(突入・余裕を見込む)
| 注意点 | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 接点容量(電流) | DC低圧は大電流。AC定格しかないスイッチは不向き | DC対応・負荷電流の1.5〜2倍以上の接点定格を選ぶ |
| DCのアーク | DCは開く瞬間の火花が消えにくく接点が劣化・溶着しやすい | DC定格のスイッチ/リレーを使う。大電流は直接切らない |
| 電圧降下 | スイッチ経由でDC配線が伸び、末端電圧が落ちて暗くなる | 電線を太くし距離を抑える(電圧降下計算) |
| 大電流の入切 | 電流が大きいと手元スイッチで直接切るのは危険・短寿命 | リレーやコントローラーを介し、小電流の信号でON/OFF |
大電流ならリレー/コントローラー経由: DC二次側で数A以上を入切するなら、手元スイッチで直接切らず、スイッチは小電流の信号としてリレーやLEDコントローラーを駆動し、主電流はそちらで断続させるのが安全・長寿命です。RGBやテープLEDのコントローラーには複数操作・調光連動できる製品もあり、複数箇所制御もまとめられます。
6. 施工手順
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入切したい箇所数と方式を決める 2〜3か所の一般的な入切ならAC一次側+3路(必要なら4路)。即応性重視・小電流ならDC二次側。多数・調光ありならコントローラー方式。
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負荷電流と電源容量を確定する テープの合計W/mと長さから消費電力を出し、電源(PSU)容量を決める。DC側で切る場合は負荷電流からスイッチ接点容量を選ぶ。
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スイッチと渡り線を配線する AC一次側方式は3路(+4路)の渡り線を結線し、共通端子の先に電源を入れる。DC側方式はDC対応スイッチ/リレーを電源とテープの間に入れる。
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各スイッチ位置で動作を確認する すべてのスイッチ箇所で単独に入切が反転すること、点灯遅れ・ちらつき・末端の暗さ(電圧降下)がないことを確認する。
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突入・発熱・接点を最終チェック AC側は入切時にブレーカーが落ちないか、DC側はスイッチ・端子が発熱しないかを確認し、問題があれば回路分割や容量見直しを行う。
7. 配線・選定チェックリスト
- 入切したい箇所数を確定し、AC一次側/DC二次側/コントローラーのどの方式かを決めたか
- AC一次側方式で、既存の3路・4路配線が使えるかを確認したか
- 3か所以上は3路2個+必要数の4路、という構成で渡り線を計画したか
- DC二次側方式なら、負荷電流(W÷V)を計算し、接点定格1.5〜2倍以上のDC対応スイッチを選んだか
- DC側で数A以上を切る場合、直接切らずリレー/コントローラー経由にしたか
- AC一次側で多数の電源を一括入切する場合、突入電流でブレーカーが落ちないか確認したか
- DC配線がスイッチ経由で伸びる場合、電圧降下(末端の暗さ)を計算・対策したか
- 全スイッチ位置で入切が反転し、点灯遅れ・発熱・ちらつきがないか実機確認したか
- AC一次側の結線が電気工事士の有資格者によって行われているか