LEDテープの見積でもっとも事故が多いのが「必要本数(リール数)の読み違い」です。1本足りずに現場で追加発注すると、色温度の違うロットが届いたり納期で工程が止まったりします。逆に余らせれば材料費がそのまま利益を削ります。LEDテープは1リール5m巻が標準の定尺品で、しかもカットピッチ単位でしか切れないため、施工長さちょうどを買っても必ず端数ロスが出ます。本記事では、施工総延長から必要リール数を出す計算式、カットピッチによる端数の扱い、予備率の取り方、複数区間の合算手順を、施工業者の見積目線で具体例つきに整理します。

まず「定尺リール長」を確認する

業務用LEDテープの巻き長は製品ごとに決まっています。発注前に必ずスペック表で確認してください。同じシリーズでも電圧やCOB/SMDの種類で定尺が変わる場合があります。

標準的な定尺
5m
業務用テープの最も一般的なリール長
短尺タイプ
1〜2.5m
什器・棚下など短区間向け
長尺タイプ
10m
高電圧・定電流ICテープに多い
カットピッチ
25〜100mm
この単位でしか切れない=端数ロス源

注意: 「5m巻」と思い込んで発注したら実は2.5m巻で本数が倍必要だった、という取り違えが起きます。シリーズ名ではなく品番ごとのスペック表で巻き長を確認するのが鉄則です。

必要リール数の基本計算式

必要リール数は、施工総延長を定尺で割り、予備を足して切り上げます。

必要リール数の計算式
必要リール数 = 切り上げ( 施工総延長(m) × (1 + 予備率) ÷ 定尺リール長(m) )
切り上げ:端数が出たら必ず1リール繰り上げる

「切り上げ」が肝心です。5m巻で総延長が11mなら 11÷5=2.2 リール。0.2リール分は買えないので3リールに切り上げます。半端な0.8リール分(4m)が端材として残る、という構造を理解しておくと見積がぶれません。

計算例:店舗什器の間接照明(合計18m)

5m巻・予備率10%で18mを施工する場合:

  • 必要長さ = 18m × 1.10 = 19.8m
  • リール数 = 19.8 ÷ 5 = 3.96 → 切り上げて4リール(20m)
  • 端材 = 20m − 18m = 2m(予備・補修用に確保)

カットピッチによる端数ロスを見込む

LEDテープは任意の長さで切れません。基板上のカットマーク(多くは50mmや25mmピッチ)でしか切断できず、必要長さに対して1区間ごとに最大1ピッチ分が切り上げロスになります。区間数が多い現場ほどロスが積み上がります。

カットピッチ1区間あたり最大ロス10区間での累計ロス目安
25mm最大24mm最大約0.24m
50mm最大49mm最大約0.49m
100mm最大99mm最大約0.99m

区間が10前後ある什器照明では、カットピッチだけで0.5〜1m近いロスが出ることがあります。区間が細かい現場では予備率を高めに設定してください。

予備率(ロス率)の目安

採寸誤差・施工中の破損・カット端数・将来補修を見込んで予備を上乗せします。現場条件で次を目安にします。

現場条件推奨予備率理由
直線1区間・採寸確定済み5%端数ロスが小さい
什器・棚下など多区間10%区間ごとに端数が積み上がる
コーナー多数・曲面・現場合わせ15%採寸誤差と切り直しが増える
生産終了・廃番リスクのある品番15〜20%後から同ロット・同色温度が入手困難

現場のコツ: 補修用にカットピッチ単位の端材を1〜2区間分わざと残しておくと、施工後にテープが破損した際に同ロットで部分交換できます。色温度のばらつきを避けられるため、引き渡し時に施主へ端材を渡しておくと喜ばれます。

複数区間は「合算」で本数を出す

区間ごとに切り上げて買うとリール数が膨らみます。1リールを複数区間に分けて使えるなら、全区間の必要長さを合算してから定尺で割るのが無駄を抑えるコツです。

区間別 vs 合算の比較例

3m・3m・4m の3区間(5m巻)を施工する場合:

方式計算必要リール数
区間別に切り上げ各区間1リールずつ3リール(15m)
合算してから割る(3+3+4)=10m ÷ 52リール(10m)

ただし合算方式では、1リールを途中でカットして2区間に分けるため各区間の両端から再給電・再接続が必要になり、コネクタや配線が増えます。また、切り分けた各区間が1区間あたりの最大連長(電圧降下の上限長)を超えないことの確認も必須です。配線が増える分のコストと材料費の削減を天秤にかけて判断してください。最大連長の考え方はLEDテープの最大接続長さ計算ガイド、再給電の方法はパワーインジェクション(再給電)ガイドを参照してください。

発注前チェックリスト

  • □ 品番ごとのスペック表で定尺リール長を確認した
  • □ 施工図から区間ごとの長さを拾い出した
  • カットピッチを確認し、端数ロスを見込んだ
  • □ 現場条件に応じた予備率(5〜20%)を上乗せした
  • □ 合算で割る場合、各区間が最大連長以内か確認した
  • □ 廃番リスクのある品番は予備を多めに確保した
  • □ 電源容量(W)も本数に合わせて再計算した

まとめ

ポイント内容
定尺の確認標準は5m巻だが品番で異なる。スペック表で必ず確認
基本計算総延長×(1+予備率)÷定尺 を切り上げ
端数ロスカットピッチ単位でしか切れない。区間数だけ累積
予備率5%(直線)〜20%(廃番リスク)
複数区間合算して割ると無駄が減る。ただし最大連長と再給電に注意

必要数量は「総延長÷定尺」だけでは足りません。カットピッチの端数と予備率を織り込み、最後に切り上げる——この一手間が、現場での不足と過剰在庫の両方を防ぎます。本数が決まったら電源容量も連動して再計算が必要です。電源(PSU)容量の計算ガイドとあわせて見積を固めてください。

よくある質問

LEDテープ1リールは何メートルですか?
業務用LEDテープは1リール5m巻が標準です(製品により1m・2.5m・10m巻もあります)。見積時はまず「製品の定尺リール長」を確認し、施工総延長を定尺で割って必要リール数を算出します。同じ品番でも電圧(12V/24V)やCOB/SMDの違いで定尺が異なる場合があるため、購入前に必ずスペック表で巻き長を確認してください。
施工長さちょうどの本数を買えば足りますか?
ちょうどの本数では足りなくなる現場が多いため危険です。LEDテープはカットピッチ(例: 50mm・25mm単位)でしか切れず、端数が必ずロスになります。さらに採寸誤差・施工中の破損・将来の補修分を見込み、実務では総延長に5〜10%の予備を上乗せして本数を切り上げるのが安全です。生産終了品番は後から同じ色温度・ロットが手に入らないため、予備率を多めに取ります。
5mのリールを途中でカットして別区間に使い回せますか?
カットピッチの位置で切れば1リールを複数区間に分けて使えます。ただし各区間は両端から再給電・再接続が必要になり、コネクタや配線が増えます。また切り分けると1区間あたりの最大連長(電圧降下の上限長)を超えないかの確認も必要です。区間ごとに端材が出ることを見込み、合算で本数を出すとロスを抑えられます。

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