同じ明るさ・同じ色温度のLEDテープなのに「白い基板」と「黒い基板」の製品があり、どちらを選べばいいか迷った経験はないでしょうか。基板(FPC=フレキシブル基板)の色は、テープ表面のソルダーレジスト(保護膜)の色のことで、点灯時の見た目にはほとんど差がない一方、消灯時の目立ちにくさ・わずかな明るさ・コストに違いが出ます。看板(チャンネル文字)や露出配線のように「テープ本体が人の目に触れる」現場では、この基板色の選定が仕上がりの印象を大きく左右します。本記事では、白基板と黒基板の違い・反射率と放熱の実際・用途別の選び方を施工業者向けに整理します。
結論を先に: 明るさ・コスト重視で器具が隠れる間接照明なら白基板。チャンネル文字・スモークアクリル越し・暗い天井のコーブなど「消灯時に基板が見えると気になる」露出部なら黒基板。点灯時の見栄えではなく「消えているときに白い線が見えるか」で選ぶのが基本です。
基板色(白基板・黒基板)とは何か
LEDテープの「基板」は、LEDチップと配線(銅箔)が乗っているフレキシブル基板(FPC)です。基板色とは、この銅箔と配線を保護しているソルダーレジスト(絶縁保護膜)の色を指します。一般的な製品は白色レジストで、これが「白基板」。黒色レジストにしたものが「黒基板」です。中身の銅箔・LED・抵抗は同じで、変わるのは表面の色だけ——というのが基本の理解です。
- 白基板:最も流通量が多い標準仕様。LED周囲の白面が光を反射するため、わずかに明るく取り出せる。価格も安い。
- 黒基板:消灯時に黒く沈み、設置箇所に溶け込む。テープが見える露出設置・暗色の内装・看板内部で「器具感」を消したいときに使う。
白基板・黒基板の違い比較表
現場の判断に効く項目で並べると次のようになります。差が大きい項目(消灯時の目立ちにくさ)と、ほぼ差がない項目(放熱・寿命)を分けて見るのがポイントです。
| 項目 | 白基板 | 黒基板 | 現場での効き方 |
|---|---|---|---|
| 明るさ(光束) | やや有利(数%程度) | やや不利(数%程度) | 差は小。データシートのlm/Wで確認 |
| 消灯時の目立ちにくさ | 白い線が見える | 黒く沈んで目立たない | ★露出設置では最重要 |
| 点灯時の見た目 | ほぼ差なし | ほぼ差なし | 発光すれば基板色は見えにくい |
| コスト | 安い(標準) | やや高い・在庫が少なめ | 長尺・大量なら差が出る |
| 放熱・寿命 | 実質差なし | 実質差なし | 銅箔量・アルミフレームで決まる |
| 経年・黄変 | 黄ばみが目立ちやすい | 黄変が目立ちにくい | 長期・高温部では黒が有利な場面も |
白基板が反射でやや明るい。COBは差が縮む
熱は銅箔→アルミフレームへ伝導が主役
露出部=黒/隠れる間接照明=白
明るさ・反射率の違いは「あるが小さい」
白いソルダーレジストはLEDから出た光を反射して前方へ取り出すため、同じチップ・同じ電流なら白基板のほうが黒基板より数%程度明るくなるのが一般的です。ただし、この差は小さく、発光面が帯状に連続しているCOBテープでは基板の露出が少ないためさらに差が縮まります。
明るさを最優先する現場では白基板が有利ですが、実務では「数%の明るさ差」より「消灯時に白い線が見えるかどうか」のほうが仕上がりの満足度を左右することが多いです。明るさはまずlm/W(発光効率)やルーメン値で機種を決め、その上で基板色を選ぶ順番が合理的です。
注意: 「黒基板=高級・高性能」というイメージで選ぶと、明るさとコストで損をすることがあります。黒基板はあくまで見た目(目立ちにくさ)のための選択肢です。性能(明るさ・演色・寿命)は基板色ではなく、チップ・演色性(Ra)・銅箔量で決まります。
放熱・寿命は基板色でほぼ変わらない
「黒は熱を持ちやすいのでは」と心配されますが、LEDテープの放熱で支配的なのは銅箔を伝ってアルミフレームへ逃がす伝導で、表面の色が関係する放射(輻射)の比率は小さいため、基板色による寿命差は実務上ほぼ問題になりません。
寿命・温度を本当に左右するのは次の要素です。基板色を気にする前に、こちらを押さえてください。
- 銅箔量(基板の銅の厚み):厚いほど放熱・電圧降下に有利
- アルミフレームへの密着と放熱設計:ヒートシンクとして効かせる
- W/m(消費電力密度)と周囲温度:高出力・高温ほど余裕を持たせる
用途・業種別の選び方
「テープ本体が見えるか/隠れるか」を軸に整理すると、現場での選択がはっきりします。
| 用途・設置 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| チャンネル文字(箱文字)の内部が見える看板 | 黒基板 | 間近で見たとき基板の白線が見えず器具感が出ない |
| スモークアクリル・暗色アクリル越しのサイン | 黒基板 | 消灯時に基板が透けて見えにくい |
| ガラス棚・什器エッジの露出貼り | 黒基板 | テープが見える位置でも沈んで目立たない |
| 暗い天井・黒系内装のコーブ(折上げ)で器具を隠す | 黒基板 | 覗き込んでも黒に溶け込む |
| アルミフレーム+拡散カバーの間接照明 | 白基板 | 器具で完全に隠れる。明るさ・コスト優先でよい |
| 什器内・棚下など見えない位置の照明 | 白基板 | 目立ちにくさ不要。標準品で十分 |
| とにかく明るさ・コスト最優先の一般用途 | 白基板 | 反射で数%明るく単価も安い |
看板まわりの合わせ技: 黒基板でも、テープが直接視野に入る箱文字では拡散カバーや、サイドビュー(側面発光)タイプの併用でドット感・器具感をさらに抑えられます。基板色は「見えにくさ」の一手段で、カバー・配置・発光方向と組み合わせて仕上げるのがプロのやり方です。看板の構造別の選定はチャンネル文字・バックライトサインや屋外サインの記事も参考にしてください。
基板色 選定チェックリスト
- そのテープは点灯後も人の目に触れる位置か(露出か隠蔽か)を確認したか
- 露出するなら消灯時の見え方(白線が気になるか)を施主目線で確認したか
- 明るさはlm/Wで機種選定し、その上で基板色を決めたか
- 黒基板を「高性能」と誤解してコスト・明るさを犠牲にしていないか
- 放熱・寿命は銅箔量とアルミフレームで担保したか(基板色に頼っていないか)
- スモーク/暗色アクリル越しなら黒基板で透けにくさを確保したか
- 長尺・大量発注で白/黒のコスト差・在庫・納期を確認したか
- カバー・発光方向・配置と組み合わせて器具感対策を設計したか
基板色は「見た目を整えるための選択肢」であって、明るさや寿命を決める主役ではありません。隠れる照明なら白基板で十分・テープが見える看板や露出部では黒基板で器具感を消す——この原則を押さえれば、コストと仕上がりのバランスを外しません。性能はチップ・演色・銅箔量・電源で詰め、基板色は最後に現場の見え方で決めるのが、失敗の少ない順番です。
よくある質問
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