「通電したら焦げ臭い」「しばらく点けていたら一点が黒く焦げて煙が出た」「コネクタが溶けかけている」「パチッと音がして消えた」——LEDテープのこうした症状は、ちらつきや色ずれとは違い過電流・短絡(ショート)・過負荷という危険信号です。放置すると発火・焼損につながるため、まず安全を確保したうえで原因を切り分ける必要があります。本記事では、最優先の緊急対処、焦げる部位ごとの原因の見分け方、過負荷を防ぐ電源容量の計算、短絡(極性ミス・カット位置外し・金属面接触など)の確認方法を、施工業者向けに手順としてまとめます。
最優先(安全確保): 焦げ臭い・煙・溶けを確認したら、ただちに電源を切ってください(スイッチだけでなく、可能ならブレーカー・電源プラグも遮断)。焦げた部分は高温です。熱が引くまで素手で触らない。原因が分からないまま通電を再開しない。近くに可燃物がないか離隔も確認してください。
STEP1|緊急対処の手順
- 電源を遮断:調光リモコンやスイッチではなく、元の電源(ブレーカー・プラグ)から断つ。
- 冷めるまで待つ:焦げた箇所・電源は高温。やけど・再発火に注意し、熱が引いてから点検する。
- 通電再開しない:原因(短絡・過負荷・極性)を特定するまでは再通電しない。
- 状況を記録:どの部位が焦げたか、通電直後か数時間後か、継ぎ足し配線をした後かを控える。原因切り分けの手がかりになる。
STEP2|「どこが焦げたか」で原因を切り分ける
焦げる場所によって、疑うべき原因が変わります。まず焦げた部位を特定しましょう。
| 焦げる部位 / 症状 | 疑う原因 | 確認方法 |
|---|---|---|
| コネクタ・はんだ接続部が焦げる・溶ける | 接触抵抗による発熱(P=I²R)。差込が浅い・緩い・酸化 | 接続部の目視、差し直し、電流の大きい配線かを確認 |
| テープ全体が熱い・電源がうなって熱い | 過負荷(電源容量不足・総延長の取り過ぎ) | 消費電力(W/m×総延長)と電源定格を比較 |
| 一点だけ黒く焦げ・「パチッ」と放電音 | 短絡(極性逆・カット位置外し・金属面接触・水分侵入) | 電源OFFでテスター導通確認、極性・絶縁チェック |
| 電源(PSU)本体が焦げる・においの元が電源 | 電源の過負荷・劣化・出力短絡 | 負荷率の確認、電源単体の状態確認 |
| カット端の付近が焦げる | カット位置のミスでパッド露出→短絡 | カットマーク位置とカット端の絶縁を確認 |
発熱の理屈: 接続部が焦げるのは、緩み・酸化で接触抵抗 R が増え、そこに電流 I が流れて P=I²R の発熱が集中するためです。電流が大きい配線(高W・長尺・電源直近)ほど顕著に出ます。だからこそ、電流の通る接続部は確実に接続することが安全に直結します。
STEP3|過負荷(容量不足)の確認と電源容量の計算
「テープ全体が熱い」「電源がうなる・熱い」「しばらくすると保護で消える」は過負荷の典型です。電源は定格いっぱいで使わず、70〜80%以内で使うのが鉄則です。必要容量は次式で求めます。
計算式: 必要な電源容量(W) = テープのW/m × 総延長(m) ÷ 負荷率0.8
(負荷率0.8=電源を80%までしか使わない、の意味。余裕を多く取るなら0.7で計算)
| テープ仕様 | 総延長 | 消費電力 | 必要な電源容量(÷0.8) |
|---|---|---|---|
| 9.6W/m(24V) | 5m | 48W | 60W(48÷0.8=60) |
| 14.4W/m(24V) | 5m | 72W | 90W(72÷0.8=90) |
| 14.4W/m(24V) | 10m | 144W | 180W(144÷0.8=180) |
| 19.2W/m(24V) | 5m | 96W | 120W(96÷0.8=120) |
たとえば14.4W/mを5mで使うなら、消費は72Wですが余裕を見て90W以上の電源が必要です。これを60W電源につなぐと、定格を超えて発熱・うなり・寿命低下・保護停止を起こします。後からテープを継ぎ足して総延長が増えたときも、電源容量を見直してください。電源容量の選び方はLED電源(PSU)容量の選び方ガイド、保護停止の挙動は電源の保護機能・シャットダウンガイドで詳しく解説しています。
STEP4|短絡(ショート)の原因と確認方法
「一点だけ焦げる」「パチッと音」「ブレーカーや電源保護がすぐ落ちる」は短絡が疑われます。短絡の代表的な原因を確認していきます。
短絡を起こす主な原因
- 極性の逆接続・取り違え:+−を逆に、またはRGBの配線を取り違えてつないだ。
- カット位置のミス:所定のカットマーク以外で切り、パッドが露出・短絡。
- 金属面への直貼り:アルミフレームや金属下地にパッドが触れて短絡。
- コネクタ内の接触:差し込み不良・芯線のはみ出しで+−が接触。
- 被覆のむきすぎ:芯線を長く露出させ、隣の芯線と触れている。
- 水分・結露の侵入:パッド間に水分が回り込み導通。
確認の手順(電源を切った状態で)
- 導通チェック:テスターの導通(抵抗)モードで、+−間が短絡(ほぼ0Ω)していないか確認する。
- 極性の確認:電源の出力+−とテープの+−が一致しているか。RGBは配線の対応を確認。
- 絶縁の確認:金属面・フレームとパッドの間に絶縁(絶縁テープ・絶縁シート)があるか。
- カット端の確認:正しいカットマークで切れているか、端のパッドがむき出しでないか。
テスターの使い方はテスターによる点検ガイド、極性ミスの詳細は極性・逆接続のトラブルガイド、金属面の絶縁は金属面への取付・絶縁ガイド、誤切断の補修はカット位置ミスの補修ガイドを参照してください。
焦げた区間は交換: いったん焦げた区間は、被覆や基板の絶縁が壊れている可能性が高く、原因を直してもそのまま使うと再発します。焦げた区間は交換し、根本原因(極性・カット・絶縁・容量)を直してから通電してください。
再発防止チェックリスト
- 電源容量は「W/m×総延長÷0.8」で計算し、定格の70〜80%以内に収めたか
- +−・RGBの極性を、通電前にテスターで確認したか
- 正しいカットマークで切り、カット端のパッドを露出させていないか
- 金属フレーム・金属下地とパッドの間を絶縁したか
- コネクタは差込深さ・芯線のはみ出しを確認し、確実に接続したか
- 必要に応じてヒューズ・適切なブレーカーで回路を保護したか
- 後から継ぎ足して総延長が増えた場合、電源容量を見直したか
- 焦げた区間は使い回さず交換したか
回路保護(ヒューズ・ブレーカー)の考え方はヒューズ・回路保護ガイドもあわせてご覧ください。
まとめ
| 場面 | やること |
|---|---|
| 焦げ臭い・煙を確認 | 即電源OFF(ブレーカー/プラグ)。冷めるまで触らない。再通電しない |
| 接続部が焦げる | 接触抵抗の発熱(P=I²R)。差し直し・確実な接続 |
| 全体が熱い・電源がうなる | 過負荷。W/m×総延長÷0.8で容量を再計算 |
| 一点焦げ・パチッ | 短絡。極性・カット端・金属面絶縁を確認 |
| 共通 | 焦げた区間は交換、根本原因を直してから通電 |
焦げ・発煙は「いつものトラブル」ではなく、放置すると火災につながる危険信号です。まず電源を切って安全を確保し、焦げた部位から原因(接触抵抗・過負荷・短絡)を切り分け、電源容量と極性・絶縁を直してから通電する——この順序を守れば、再発と重大事故を防げます。
よくある質問
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