LEDテープが「点かない」「片側だけ暗い」「チラつく」——こうした現場でやみくもに配線をやり直すと、原因が分からないまま時間だけが過ぎます。テスター(マルチメーター)を1本持って電圧・導通・極性を測るだけで、原因が「電源側」「配線側」「テープ側」のどこにあるかを数分で切り分けられます。本記事では、施工業者が現場で実際に行う測定の順番、DCV・導通・抵抗の測り方、PSU出力24Vの確認、電圧降下を数値で見抜く方法、ショート診断までを、具体的な測定値の目安つきで解説します。

測定前の安全確認: 測定中はDC(直流)回路を扱います。テープ側を測るときは原則PSUの一次側(AC100V)を切らずに行いますが、配線をつなぎ替える作業は必ず電源を切ってから。レンジを「電流(A)」のまま電圧端子に当てるとヒューズが飛ぶため、測定の都度レンジを確認してください。

用意するテスターと設定

特別な高級機は不要です。DCV・導通(ブザー)・抵抗(Ω)が測れる一般的なデジタルマルチメーターがあれば十分です。

DCV レンジ 直流30V以上

24V品の電源電圧を測る。オートレンジ式が便利

導通(連続性) ブザー付き

極性・カット位置・断線・ショートの確認

抵抗 Ω レンジ 200Ω〜

ショート(0Ω付近)と断線(∞)の判別

テストリード 先細プローブ

2mm幅の銅パッドに正確に当てられる先端

テストリードは黒を「COM」端子、赤を「VΩ」端子に差します(電流レンジの「10A」端子には差さない)。これだけで電圧・導通・抵抗の測定に対応できます。

不点灯時の測定順序(上流から下流へ)

切り分けの鉄則は「電源 → 配線 → テープ」の上流から順に測ることです。下流(テープ)から測ると、原因が電源にある場合に無駄が出ます。

測定箇所レンジ正常値の目安異常なら疑う原因
PSU出力端子(無負荷)DCV23.5〜24.5V0V→PSU故障・AC未供給/低い→PSU不良
テープ接続点(始端)DCV23〜24V大きく低い→配線細い・接続不良
テープ末端(終端)DCV始端比 −2V以内−2V超→電圧降下(電線・長さ)
テープ +/− 間導通/Ω鳴らない(数百Ω)鳴る・0Ω→ショート
カット位置をまたぐ導体導通鳴る鳴らない→断線・カット誤り

切り分けの考え方: ①でNG=電源側、①OK・②NG=始端の配線/接続、②OK・③で電圧が大きく落ちる=電圧降下、④で鳴る=ショート。この4分岐で原因のほぼすべてが特定できます。

① 電圧(DCV)の測り方とPSU出力の確認

まずテープを外した「無負荷」の状態でPSU出力端子(V+とV−)にプローブを当てます。赤プローブをV+、黒をV−に当て、定電圧24V品なら23.5〜24.5V前後が表示されれば電源は正常です。

  • 0Vを表示:AC100Vが来ていない(コンセント・ブレーカー・ヒューズ)か、PSU本体の故障。一次側にAC100Vが来ているかをACVレンジで確認します。
  • 10〜20Vと中途半端:PSU内部の不良、または出力短絡による保護動作。テープを外しても低いままなら電源を交換します。
  • 無負荷24V・負荷で大きく低下:PSU容量不足か、出力側のショート・過負荷。電源容量(PSU)の選び方で必要W数を再計算してください。

表示が「−24V」のようにマイナスになったら、プローブの赤黒が逆なだけで電圧自体は正常です。これは極性の確認にも使えます(マイナス表示になった側がV−)。

③ 電圧降下を数値で見抜く

「末端だけ暗い」現象の正体はほぼ電圧降下です。テープの始端と終端の両方でDCVを測り、その差を見ます。24V品でおおむね2V以上落ちていると、末端の明るさ低下や色ずれ(電球色が黄ばむ等)が体感できるレベルになります。

始端電圧終端電圧電圧降下判定
24.0V23.2V0.8V正常(許容内)
24.0V22.3V1.7V許容上限付近・要注意
24.0V21.0V3.0VNG・末端が暗くなる
24.0V19.5V4.5VNG・色ずれ+著しい減光

電圧降下が大きいときの対策は、①給電線を太くする(断面積アップ)、②両端給電・中間給電にして給電点を増やす、③テープの一筆書き長さを短くする、のいずれかです。詳しくはLEDテープの電圧降下と対策を参照してください。

勘違いしやすい点: 末端が暗いのを見て「テープ不良」と判断しがちですが、始端と終端の電圧差を測れば電圧降下か不良かは一目で分かります。電圧差が小さいのに末端だけ点かない場合は、その手前のカット位置やはんだ・コネクタの断線を疑います。

④⑤ 導通・極性・断線のチェック

導通(連続性)レンジは、回路に電気を流さず「つながっているか」を音で確認できます。必ず電源を切った状態で測ります(通電中に導通レンジを使うと正しく測れません)。

極性(+/−)の確認

テープの銅パッドには「+」「−」の表記があります。プローブを当てて同じラインの導体同士は導通が鳴り、+と−の間は鳴らないのが正常です。表記が消えている中古・流用品は、PSU側から電圧を流して先述のマイナス表示で極性を判定できます。

断線・カット位置の確認

  • 不点灯区間の手前と先で同じ極性の導体に当て、導通が鳴らなければその区間で断線しています。
  • カット位置(はさみマーク)以外で切っていないか確認。マーク外で切ると回路が成立せず点きません。
  • コネクタ接続部は、コネクタの入口と出口で導通を測り、コネクタ内部の接触不良を切り分けます。

ショート(短絡)の確認

テープの+と−の間をΩレンジで測り、0Ω付近(または導通ブザーが鳴る)ならショートです。原因はほぼ次の3つです。

  • はんだのブリッジ(+と−のはんだがつながっている)
  • カット端面の銅が金属什器・アルミフレームに接触(金属面への絶縁処理不足)
  • コネクタ内部での端子変形・噛み込み

現場での通電チェック・チェックリスト

結線後・トラブル時に上から順に確認すれば、原因の取りこぼしを防げます。

  • テスターのレンジが目的(DCV/導通/Ω)に合っているか測定の都度確認した
  • PSU出力を無負荷で測り24V前後(23.5〜24.5V)が出ている
  • テープ始端の電圧が23V以上ある(配線・接続の損失が小さい)
  • 始端と終端の電圧差が2V以内に収まっている
  • +/−間がショートしていない(Ωが0Ω付近でない)
  • 不点灯区間をまたぐ導体の導通が確認できる(断線していない)
  • カット位置以外で切っていない/コネクタが奥まで刺さっている
  • 金属什器・アルミフレームとテープ導体が絶縁されている

まとめ

症状まず測る場所判定の目安
まったく点かないPSU出力(無負荷DCV)0V→電源側/24V→下流の配線・テープ
末端だけ暗い始端と終端のDCV差2V超の降下→電圧降下対策
一部区間が点かない導通(その区間の導体)鳴らない→断線・カット誤り
すぐ消える・電源が落ちる+/−間のΩ0Ω付近→ショート(保護動作)

テスター1本で「電源・配線・テープ」のどこに原因があるかを数値で切り分けられます。勘で配線をやり直す前に、まずDCVと導通を測る——これが手戻りを最小にする最短ルートです。配線そのものの基礎はLEDテープ配線の基礎、点灯不良全般の対処はLEDテープのトラブル診断もあわせてご確認ください。

よくある質問

テスターはどのレンジで測ればよいですか?
電源電圧の確認はDCV(直流電圧)レンジで、24V品なら測定範囲が直流30V以上を含むレンジに合わせます。オートレンジ式ならDCVに合わせれば自動で範囲が選ばれます。極性やカット位置の導通確認はブザー付きの導通(連続性)レンジ、抵抗値を見たいときはΩレンジを使います。ACVや電流(A)レンジのまま端子に当てるとヒューズ切れや誤測定の原因になるため、測定前に必ずレンジを確認してください。
PSU出力は24Vのはずなのに21Vしか出ていません。故障ですか?
無負荷(テープを外した状態)で21Vなら電源側の異常が疑われますが、テープを接続した負荷状態で測っているなら電圧降下や過負荷の可能性があります。まずテープを外してPSU出力端子だけを測り、24V前後(定電圧PSUは23.5〜24.5V程度)が出ているか確認します。無負荷で正常なら、負荷時の低下はケーブルが細い・長い・接続不良・容量不足のいずれかです。末端側で大きく落ちていれば電圧降下、全体的に低ければPSU容量不足を疑います。
導通レンジでテープの+と−を測ると鳴りますか?
正常なテープでは+と−の間は導通ブザーが鳴りません(間にLEDと抵抗が入っているため)。鳴る、または抵抗値がほぼ0Ωの場合は+−がショート(短絡)しています。はんだのブリッジ・金属面との接触・コネクタ内部の変形などを確認してください。逆に同じ極性の導体ライン同士は導通が鳴れば正常です。カット位置をまたいで導通が切れていれば断線、極性を逆に覚えていないかもあわせて確認します。

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