店舗や施設で「壁スイッチのつまみ1つでフロアのLEDをまとめて明るさ調整したい」という要望に、よく使われるのが0-10V(1-10V)調光です。2本の信号線で一斉に調光でき、配線がシンプルで電気工事士が扱いやすいのが利点です。ただしLEDテープは12V/24Vの定電圧(CV)で動くため、0-10Vの線をテープに直接つないでも調光できません。さらに「信号線の極性」「シンク型/ソース型」「1台の調光器に何台つなげるか」を外すと、絞れない・全光のまま・立ち消えといったトラブルになります。本記事では、0-10V/1-10V調光でLEDテープを動かす配線方法を施工業者向けに整理します。
先に結論: 0-10V/1-10V調光は「制御信号」であり、テープではなく0-10V調光入力付きの電源(またはコントローラー)に入れます。配線で外せないのは、(1)信号線の極性(DIM+/DIM−)、(2)調光器と電源のシンク型/ソース型・0-10V/1-10Vを合わせる、(3)1台の調光器に対する接続台数(シンク電流)の上限の3点です。
0-10V/1-10V調光とは — テープに直結しない「制御信号」
0-10V調光は、0〜10Vのアナログ直流電圧で明るさを指示する方式です。おおむね10V=全光、0V(または1V)=最小に対応します。重要なのは、この電圧は明るさを「指示」する信号であって、LEDを光らせる電力ではないという点です。
LEDテープは定電圧(12V/24V)で動くため、0-10V信号を直接テープに接続しても点灯も調光もしません。0-10Vで調光するには、次のどちらかを介します。
- 0-10V調光入力付きの定電圧電源(dimmable CVドライバー): 0-10V信号を受け、テープへのCV出力を内部PWMで絞る。
- 0-10V入力→PWM出力のLEDテープ用コントローラー: 既存の非調光電源の後段に入れ、0-10V信号でPWM調光する。
調光方式そのものの全体像(PWM・位相・DALIなど)はLEDテープの調光方式(PWM・CCR・位相・DALI)ガイドを、配線全般はLEDテープのコントローラー・調光器配線ガイドも参考にしてください。
0-10Vと1-10V・シンク型とソース型の違い
「0-10V」とひとくくりにされがちですが、現場では下限の挙動と電流の向きで型が分かれます。互換性のない型を混ぜると正しく調光できないため、最初に確認します。
| 区分 | 下限(0V付近)の挙動 | 電流の向き | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 1-10V(IEC 60929/シンク型) | 1Vで最小をキープ。完全消灯は別途主電源OFFが必要 | 電源側が信号線へ微小電流を流し、調光器が吸い込む(シンク) | 店舗・施設の一般照明で最も普及 |
| 0-10V(ソース型/エンタメ系) | 0Vで消灯まで落とせる仕様もある | 調光器が電圧を出力(ソース)し、電源が受ける | 劇場・舞台などの調光卓制御 |
要注意: 照明業界で一般的な1-10Vシンク型は、信号線が断線・未接続になると「全光(最大点灯)」になる挙動が多いです。「絞れない・常に全光」のトラブルは、まず信号線の断線・極性逆・型違いを疑います。調光器のカタログで「シンク(吸い込み)○○mA」「IEC 60929準拠」などの表記を必ず確認してください。
配線方法 — 信号線の極性・太さ・引き回し
0-10V/1-10Vの信号線は2本で、極性があります。電源・コントローラー側の端子表記(DIM+/DIM−、または「1-10V +/−」「⊕/⊖」)に合わせて接続します。
基本の配線手順
- 電源(またはコントローラー)が0-10V/1-10V調光入力に対応していることを確認する。
- 電源のCV出力(12V/24V)をLEDテープに正しい極性で接続する(配線図ガイド参照)。
- 調光器の信号端子と電源のDIM端子を、DIM+→+、DIM−→−で接続する(極性を合わせる)。
- 信号線は電源線・動力線(AC100V/200V)とは分けて引き回す(ノイズ誘導によるちらつき防止)。
- 長距離・ノイズ環境では信号線に撚り線やシールド線を使い、シールドは片端接地とする。
- 通電し、つまみを全閉〜全開させて、最小〜全光まで滑らかに変化するか確認する。
ワンポイント: 信号線は電力をほとんど運ばないので細線で足りますが、長距離で何台もぶら下げると、信号線自体の電圧降下で「奥の照明だけ下限が違う」といったムラが出ます。長い系統は撚り線・シールド線にし、必要なら系統を分けます。
1台の調光器に複数電源をつなぐ(接続台数の上限)
0-10V/1-10Vは一斉調光(ブロードキャスト)が基本で、複数の電源を1台の調光器でまとめて絞れます。配線は各電源のDIM+同士・DIM−同士を並列(渡り)に接続します。
ただし台数には上限があります。1-10Vシンク型では、各電源が信号線へ流し込む電流(1台あたり概ね0.数〜数mA)の合計を、調光器がシンクできる電流定格に収める必要があります。
| 項目 | 考え方・目安 |
|---|---|
| 調光器のシンク電流定格 | 例: 50mA(カタログに記載)。これがシンクできる上限。 |
| 電源1台あたりの電流 | 例: 約2mA/台(機種で異なる。データシート確認)。 |
| 接続できる台数(目安) | 50mA ÷ 2mA ≒ 25台。実際はメーカー指定の接続可能台数に従う。 |
| 上限超過時の症状 | 下限まで絞れない・調光が効かない・反応が鈍い。 |
台数が多い・面積が広い場合は、調光器を複数に分ける、または信号を分配・増幅する機器を入れて系統を分割します。シーンや回路を個別に制御したい場合は、アドレス制御のDALI調光のほうが向くこともあります。
0-10V/1-10V・DALI・PWMの比較
どの制御方式を選ぶかで、配線も柔軟性も変わります。一斉に絞れれば十分な現場なら0-10V/1-10Vが手軽です。
| 項目 | 0-10V/1-10V(アナログ) | DALI(デジタル) | PWM(直接) |
|---|---|---|---|
| 制御の単位 | 一斉(ブロードキャスト) | 個別アドレス・グループ・シーン | 一斉 |
| 信号線 | 2線・極性あり | 2線・極性レス | 電源出力をPWMで送る |
| 完全消灯 | 1-10Vは別途主電源OFFが必要 | コマンドで0%/消灯可 | 0%まで可 |
| 長距離特性 | 信号線の電圧降下で下限がばらつく | デジタルで安定 | 距離で波形がなまりやすい |
| 導入コスト/難易度 | 安い・電気工事士向き | 高い・アドレス設定が必要 | 中・テープ近接向き |
| 向く現場 | 店舗・施設の一斉調光 | 多シーン・多回路・細かな制御 | テープと電源が近い小規模 |
よくあるトラブルと対処
| 症状 | 主な原因 | 対処 |
|---|---|---|
| つまみを絞っても全光のまま | 信号線の極性逆/断線・未接続(シンク型は断線で全光)・型違い | DIM+/DIM−の極性と結線を確認、断線点検、調光器と電源の型(1-10Vシンク等)を合わせる |
| 最小から明るくならない | 信号線のショート・極性逆・0V固定 | 結線とショートを点検、極性を正す、調光器の出力を確認 |
| 奥の照明だけ下限がばらつく | 信号線が長く電圧降下/接続台数オーバー | 撚り線・シールド線に変更、系統を分割、接続台数を上限内に |
| 0%にしても薄く光る(残光) | 1-10V仕様で完全消灯不可・調光器OFF時の微小電流 | 主電源OFF用のスイッチ/リレーを併用(残光対処ガイド参照) |
| 暗い側でちらつく | 電源のPWM周波数・分解能不足、機種混在 | 高周波・高分解能の調光電源に統一(深調光ガイド参照) |
0-10V/1-10V調光 配線チェックリスト
- 0-10V/1-10V調光入力付きの電源(またはコントローラー)を使っている
- 調光器と電源の型(シンク型/ソース型・0-10V/1-10V)を合わせた
- 信号線の極性(DIM+/DIM−)を端子表記どおりに接続した
- 信号線を電源線・動力線と分離し、長距離は撚り線/シールド線にした
- 1台の調光器への接続台数(シンク電流の合計)がメーカー指定の上限以内
- 1-10Vで完全消灯が要るなら主電源OFF用のスイッチ/リレーを設けた
- 全閉〜全開で最小〜全光まで滑らかに変化することを通電確認した
よくある質問
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