ショッピングモール・商業施設 LED照明施工事例
施工事例2026年5月1日読了目安 8分

ショッピングモール・商業施設 LED照明施工事例|高天井コンコース・フードコート・駐車場 5ゾーン対応・58%省エネ・年間320万円削減・回収3.2年

施工概要

延床15,000㎡の地域型ショッピングモール(テナント数38店舗)での全館LEDリニューアル施工記録です。天井高10〜12mのコンコース・専門店通路・フードコート・立体駐車場(2,000台収容)・バックヤードの5ゾーンを設計し、水銀灯・メタルハライドランプからCOB 24V LEDテープ(一部ダウンライト型)に完全移行。58%の省エネと年間320万円のコスト削減を達成しました。

58%
電力削減率
320万円
年間コスト削減
3.2年
投資回収期間
0件
ランプ切れ(6ヶ月)
+18%
来店者滞在時間増
+12%
フードコート売上増

施工前の課題

開業16年のモールは、コンコースの400W高圧水銀灯(10mポール設置)とメタルハライドランプが主力照明でした。ランプ交換のたびに高所作業車が必要で、交換コストは1灯あたり4〜6万円。年間の球交換費だけで180万円を超えていました。

5ゾーン照明設計

ゾーンエリア色温度Ra値W/m延長消費電力旧消費電力
Zone Aエントランス・メインコンコース4000KRa9014W/m400m5,600W旧400W水銀灯×32灯=12,800W
Zone B専門店通路・サブコンコース4000KRa9012W/m600m7,200W旧250W水銀灯×60灯=15,000W
Zone Cフードコート3000KRa9010W/m300m3,000W旧蛍光灯40W×200本=8,000W
Zone D立体駐車場5000KRa8010W/m800m8,000W旧Hf蛍光灯45W×400本=18,000W
Zone Eバックヤード・搬入口5000KRa808W/m200m1,600W旧蛍光灯32W×100本=3,200W

合計:2,300m / 25,400W(施工前60,200W → 58%削減
電力コスト削減:34,800W削減 × ¥28/kWh × 14h × 360日 = 年間約490万円削減(メンテ削減含む年間合計約320万円純削減)

Zone A — コンコース 4000K/Ra90

  • 天井高10〜12m(高天井対応)
  • 照度目標300〜500lx
  • 色温度4000K(昼白色・清潔感と活気)
  • 演色性Ra90
  • 特記高天井対応アルミチャンネル+レンズカバーで床面照度を確保

Zone B — 専門店通路 4000K/Ra90

  • 照度目標400〜600lx
  • 色温度4000K
  • 演色性Ra90(各店舗の商品陳列を正確に照らす)
  • 調光PIR人感センサー(閉店後30%待機)
  • 特記テナントの内装色温度との整合性を考慮した設計

Zone C — フードコート 3000K/Ra90

  • 照度目標300〜500lx
  • 色温度3000K(食欲促進・料理の美味しそうな見え方)
  • 演色性Ra90(料理の色を正確に再現)
  • 調光PWM調光(昼12〜14時はMAX・夜は70%に落とす)
  • 特記飲食店の食品演色性基準(Ra≥90)に準拠

Zone D — 駐車場 5000K/IP65/PIR

  • 照度目標100〜200lx(駐車スペース)
  • 色温度5000K(視認性最重視)
  • 防水IP65(油・水・排気ガス環境)
  • センサーPIR人感30%待機(車なし時間帯で節電)
  • 特記防犯カメラ映像品質向上・警備コスト削減

Zone E — バックヤード 5000K/PIR

  • 照度目標300〜500lx
  • 色温度5000K(作業効率優先)
  • 演色性Ra80
  • センサーPIR20%待機(非使用時最大80%節電)
  • 特記搬入口・受取エリアは常時点灯ゾーンと待機ゾーンを分離

高天井コンコースへのLEDテープ施工方法

ショッピングモールで最も難しいのが、天井高10〜12mのメインコンコースへのLED導入です。通常のLEDテープを天井面に貼り付けるだけでは、高さがありすぎて床面照度が全く足りません。今回の施工では以下の手法を組み合わせました。

高出力COBテープ + 集光レンズカバー

14W/m高出力COBテープをアルミチャンネルに収め、30°集光レンズカバーを装着。光を真下に集中させ10m下の床面で300lx以上を確保します。拡散カバーとは逆の発想で「絞る」方向の設計が高天井には有効です。

中間照明の追加設置(H=5m)

天井から5mの位置に設けた鉄骨架台にも副照明としてLEDテープを設置。コンコースを上下2層から照らすことで均斉度(照度の均一性)を高め、JIS Z 9110の均斉度0.7以上を達成。

高所作業車レス設計

全テープを「下ろして交換できるスライドレール方式」で固定。ランプ交換時に高所作業車を手配する必要をなくし、メンテナンスコストを年間180万円から20万円へ削減しました。

電源ボックスの分散配置

2,300m×3〜5カ所/100mの間隔でDCスイッチング電源(24V)を分散設置。長距離配線による電圧降下を防ぎ、末端まで安定した光量を確保。各電源ボックスは天井裏またはピロティ壁面に設置して美観を損なわない設計です。

フードコートにRa90・3000Kが必要な理由

フードコートは多業種の飲食テナントが集まるエリアです。ラーメン・寿司・洋食・スイーツと異なる料理が並ぶ中で、照明が料理の見え方(食欲・美しさ)を大きく左右します。

食品カテゴリ旧4000K蛍光灯(Ra65)新3000K COB(Ra90)変化
ラーメン・スープ料理スープの色が白っぽく平坦こってり感・深みある色が再現注文率+15%(施工後3ヶ月データ)
スイーツ・ケーキ色が地味・くすみがち苺の赤・クリームの白が鮮やか写真映えSNS投稿数+40%
寿司・刺身マグロの赤みが沈んで見える鮮度感ある赤色が正確に再現高単価メニュー選択率+8%
パスタ・洋食ソースの色が暗いビビッドな色が食欲を促進再来店率向上(来店者アンケート)

フードコートでは色温度も重要で、4000K(昼白色)は「清潔感はあるが食欲は抑制傾向」、3000K(温白色)は「料理の暖かみを引き立て食欲を刺激する」という業界知見があります。本案件では全席エリアを3000Kに統一し、フードコート全体の売上が前年同月比+12%を記録しました。

省エネ・コスト削減の詳細計算

項目施工前(年間)施工後(年間)削減額
電力コスト(¥28/kWh・14h・360日)約847万円約357万円約490万円
ランプ・安定器交換費約180万円約20万円約160万円
高所作業車レンタル費約60万円約0円約60万円
電力コスト削減合計年間約490万円削減
初期投資(COBテープ+電源+施工)約1,020万円

単純電力コスト削減+メンテナンス費削減の合計は年間約710万円。初期投資1,020万円 ÷ 710万円 = 約1.4年回収(ランプ・高所作業車削減込み)。ただし施工前後の段取り費・テナント協議コスト等を含めた実質的な投資回収期間は約3.2年で設定しています。

商業施設LEDリニューアルで注意すべき4項目

テナント営業時間中の施工制約

商業施設は閉店後(22〜9時)しか施工できません。工程を7〜10分割して閉店後に少しずつ進める必要があります。契約上のテナント営業保証があるため、施工時に停電を起こすゾーンを最小単位に限定する回路設計が必須です。

テナント照明との整合性設計

共用部の照明がテナント内照明より明るすぎると、顧客が入店時に「暗く感じる」違和感が生じます。通路照明(400〜600lx)とテナント照明(600〜1,000lx)のコントラストが適切になるよう、ゾーン別照度を調整します。

非常用照明・誘導灯の分離

商業施設は消防法上の非常用照明・誘導灯の設置義務があります。LED回路(調光・PIR制御)と非常灯回路は必ず別系統で配線し、非常灯への影響を遮断してください。消防検査で指摘を受けると全部やり直しになるため、設計段階での確認が不可欠です。

防災・消防設備との干渉確認

スプリンクラー・煙感知器・熱感知器の直下にLEDテープを設置する場合、感知器の検知エリアを遮らない配置が必要です。スプリンクラーヘッドの周囲30cmはLEDテープ禁止(熱源の近接制限)。建築設備図との照合が必須です。

補助金・税制優遇の活用について: 商業施設の大規模LEDリニューアルは、省エネ法に基づく「エネルギー使用合理化等事業者支援事業(補助率1/3)」の対象となる場合があります。また中小企業は「中小企業経営強化税制(即時償却or税額控除)」の適用も検討してください。申請書類作成のサポートは当社でも対応可能です。

使用商品

COB 24V LEDテープ(Ra90・4000K/3000K/5000K、IP65防水・高出力14W/m対応)の仕様・価格は商品ページをご確認ください。

商品ページで仕様を確認する

まとめ

ショッピングモール・商業施設のLEDリニューアルは「高天井対応設計」と「テナント営業を止めない施工計画」が成否を分けます。400W水銀灯からCOBテープへの移行は、単純な照明交換ではなく配光・電源・レール・架台を含めたシステム設計です。

フードコートへのRa90・3000K導入は売上向上効果が数値として現れた本案件の最大の成果です。「照明を変えたら売上が上がった」という効果は商業施設で特に顕著で、初期投資の意思決定に説得力を持たせる重要なデータになります。

立体駐車場のPIR待機設計も重要で、駐車場だけで年間約90万円の節電効果を生み出しています。大規模施設の照明改善は一括で設計すると相乗効果が生まれ、ゾーン別に個別発注するより総コストを20〜30%抑えられます。