施設概要と照明課題
レンタルスペース・シェアオフィスは、セミナー・ワークショップ・パーティー・テレワークなど多目的に利用される。利用目的に応じて照明の明るさや雰囲気を変えられることが施設の差別化要因となる。従来の蛍光灯(FL・Hf)は調光が難しく、常に一定の光量で稼働するため、少人数利用時も満灯で電力を消費してしまうという非効率が問題だった。
本事例では、調光対応COBテープを全ゾーンに採用し、利用目的に応じた照明制御を実現。PIR人感センサーを廊下・個室に設置して不在時の自動消灯を導入した結果、全体で62%の省エネを達成した。
ゾーン別 LED設計
消費電力: 800W→調光60%=480W実効(旧: Hf40W×30本=1,200W)
演色性: Ra85 / 色温度: 4000K(中白色)
特徴: 調光コントローラで20〜100%の連続調光。セミナー(高照度)・パーティー(低照度)・映像上映(20%)の3モードをワンタッチ切替。
省エネ: 60%削減(実効)
消費電力実効: 216W(旧: FL20W×40本=800W)
演色性: Ra85 / 色温度: 5000K(昼光色)
特徴: 5000K昼光色で集中力・作業効率向上。PIRで無人ブースを自動消灯、稼働率50%換算で216W実効。蛍光灯廃止完了。
省エネ: 73%削減(実効)
消費電力: 180W→調光50%=90W実効(旧: FL20W×15本=300W)
演色性: Ra85 / 色温度: 3000K(電球色)
特徴: 電球色3000Kで温かみのある受付空間を演出。通常は50%調光で省エネ、来客時に100%へワンタッチ昇光。
省エネ: 70%削減(実効)
消費電力実効: 72W(旧: FL20W×20本=400W)
演色性: Ra80 / 色温度: 4000K(中白色)
特徴: PIRで通行者のみ点灯。廊下・トイレの点灯率は全時間の25%程度のため実効消費を大幅削減。
省エネ: 82%削減(実効)
消費電力・コスト削減 比較表
| ゾーン | 旧照明(消費電力) | 新LED(消費電力) | 削減率 |
|---|---|---|---|
| Zone A メインホール(調光) | 1,200W(Hf40W×30) | 480W実効(調光60%) | 60% |
| Zone B 個室ブース(PIR) | 800W(FL20W×40) | 216W実効(稼働率50%) | 73% |
| Zone C 受付ラウンジ(調光) | 300W(FL20W×15) | 90W実効(調光50%) | 70% |
| Zone D 廊下・トイレ(PIR) | 400W(FL20W×20) | 72W実効(稼働率25%) | 82% |
| 合計 | 2,700W | 858W実効 | 62%削減 |
投資回収シミュレーション
- 旧消費電力合計: 2,700W
- 新LED消費電力合計(実効): 858W
- 削減電力: 1,842W
- 年間稼働時間: 3,000時間(平日10〜22時・週末も稼働)
- 電気代単価: 33円/kWh
- 年間削減額: 1.842kW × 3,000h × 33円 ≒ 約18万円/年
- 施工費(税別): 58万円
- 投資回収期間: 58万 ÷ 18万 ≒ 3.2年
採用製品の選定理由
メインホール: 調光対応COBテープ 10W/m(Ra85 / 4000K)
レンタルスペースのメインホールは、利用シーンが最も多様なエリア。調光対応COBテープと調光コントローラを組み合わせることで、セミナー(100%・高照度で板書視認性確保)・パーティー(60%・落ち着いた雰囲気)・映像上映(20%・スクリーン視認優先)の3パターンをワンタッチで切り替えられる。利用者の満足度向上と電気代削減を同時に実現できる。
個室ブース: COBテープ 8W/m + PIR人感センサー(Ra85 / 5000K)
シェアオフィスの個室ブースは利用者が入退室するたびに点灯・消灯が発生する。PIRセンサーを設置することで、退室後の消し忘れを防止し、稼働率に応じた消費電力の最適化が可能になる。5000K昼光色は作業・集中に最適な光環境を提供し、利用者の生産性向上にも寄与する。
受付・ラウンジ: 調光対応COBテープ 6W/m(Ra85 / 3000K)
受付エリアは施設の第一印象を決める空間。電球色3000Kは温かみのある雰囲気を演出し、来訪者にリラックスした印象を与える。通常は50%調光で省エネ運用し、来客・イベント時のみ100%に昇光することで、雰囲気と省エネを両立できる。
調光制御の導入効果
調光対応COBテープへの移行で、照明コストの「使った分だけ払う」最適化が可能になる。週末のパーティー利用(夜間・演出重視)と平日のテレワーク利用(昼間・高照度重視)では最適な照度レベルが大きく異なる。調光制御を導入することで、施設の稼働率と収益性を維持しながら電気代を最小化できる。
また、調光対応COBテープは色温度の調整も可能(白色〜電球色の範囲)なモデルを選ぶことで、さらなる演出の幅が広がる。特に撮影スタジオやヨガスタジオを兼ねる複合型レンタルスペースでは、この機能が差別化ポイントになる。
施工上のポイント
営業日に施工できないため、週末の閉館後(22時以降)から月曜の開館前(9時まで)を使って施工した。各ゾーンのLED交換と調光コントローラの設置を1夜ごとに分割し、3夜で全ゾーンの施工を完了。既存の蛍光灯配線を最大限活用し、新規配線工事を最小化することでコストを抑えた。
導入後のフィードバック
施設オーナーから「電気代が明確に下がった」という報告を受けたほか、「照明の雰囲気を変えられることで利用者の評判が上がった」とのフィードバックがあった。特に夕方のビジネス利用から夜のパーティー利用への切り替え時に、照明の変化が場の雰囲気作りに貢献しているとの評価を得ている。
まとめ
- 多目的利用施設の課題(調光・PIR・蛍光灯廃止)を4ゾーン設計で解決
- メインホールに調光対応COBテープを採用し、セミナー・パーティー・映像上映の3モード対応
- 個室ブース・廊下にPIR人感センサー設置、無人時の自動消灯で実効消費を大幅削減
- 受付ラウンジに電球色3000K調光照明で温かみのある空間を演出
- 全体で62%の省エネ・年間18万円削減・施工費58万円・投資回収3.2年