施設設備担当者・施工業者向け実務ガイド

介護施設・老人ホームのLED照明ガイド
転倒防止照度・昼夜照明切替・認知症ケア対応設計

JIS照度基準・フリッカーフリー・エリア別選定と省エネ効果

公開日: 2026年5月23日

設計前に確認すべきリスク

介護施設では照明不足が直接的な安全リスクにつながります。廊下・トイレの夜間照度が不足すると転倒事故が増加し、認知症ケアで昼夜の照明切り替えができない設計では入居者の昼夜逆転・睡眠障害が悪化します。また高齢者はフリッカーに敏感で、チラつきのある照明は頭痛・めまいの原因になります。

介護施設照明の基本要件

介護施設の照明設計は「安全確保(転倒防止)」「認知症ケア(昼夜リズム維持)」「快適性(フリッカーフリー・グレアレス)」の3軸で考えます。一般的なオフィス照明の考え方とは異なり、利用者の身体状況・認知機能に合わせた専門的な設計が必要です。

照明設計の3原則

エリア別 JIS照度基準と推奨設計

エリア JIS推奨照度 色温度(昼) 色温度(夜) 備考
居室(ベッドルーム) 100〜300lx 4000〜5000K 2700〜3000K(調光) 調光必須・グレア対策
廊下(昼間) 100lx以上 4000〜5000K 10〜30lx常夜灯 夜間全消灯禁止
トイレ・洗面 200lx以上 4000K 30〜50lx(自動点灯) 人感センサー推奨
食堂・リビング 200〜500lx 3000〜5000K 2700〜3000K(減光) 昼夜切替調光
リハビリ室 500〜750lx 5000K 作業精度・安全確保
ナースステーション 500lx以上 5000K 200〜300lx(夜勤) 記録・介護業務照度
入浴室 200lx以上 3000〜4000K IP65以上・防湿型
玄関・エントランス 200〜500lx 3000〜4000K 100lx以上(常時) 段差視認・転倒防止

転倒防止のための夜間照明設計

介護施設での転倒事故は夜間に集中します。夜間トイレ・廊下の照明不足が最大の原因であり、適切な常夜灯設計が転倒防止の基本対策です。

夜間照明 設計チェックリスト

人感センサーの選定注意点

トイレや廊下に人感センサーを採用する場合、点灯遅延がゼロまたは0.5秒以内の即時点灯型を選ぶことが重要です。センサーの感知→点灯までの遅延が長いと、利用者が暗い中で動き始めてしまい転倒リスクが上がります。また検知範囲・検知角度が廊下全体をカバーできているかを施工前に確認します。

認知症ケアに対応した照明設計

認知症の方にとって昼夜の光環境は体内時計の維持に直結します。昼夜が判別できない照明環境では昼夜逆転・不眠・BPSD(周辺症状)が悪化する場合があります。

推奨 昼夜照明切替プログラム

時間帯 照度 色温度 目的
6:00〜9:00(起床・朝食) 300〜500lx 5000K(昼白色) 覚醒促進・体内時計リセット
9:00〜17:00(日中活動) 500lx以上 5000〜6500K 活動性維持・認知機能向上
17:00〜20:00(夕食・入浴) 200〜300lx 3000〜3500K 徐々に鎮静化・入眠準備
20:00〜就寝(就寝前) 50〜100lx 2700〜3000K メラトニン分泌促進・入眠誘導
就寝〜6:00(夜間) 10〜30lx(常夜灯) 2700K 転倒防止・睡眠妨害ゼロ

フリッカーフリー照明の選定

高齢者・認知症の方はフリッカーに対して敏感です。一般成人では認識されない高周波フリッカーでも、高齢者では不快感・頭痛・めまいが起きる場合があります。

フリッカーフリー 選定基準

入浴室・水回りのIP規格

入浴室・洗面室・トイレは水蒸気・水拭き清掃に耐える防湿・防水性能が必要です。IP規格を誤ると短期間で照明故障・漏電リスクが生じます。

施工事例

施工事例 A

特別養護老人ホーム 全館LED更新|100床・延べ床2,800㎡

課題:蛍光灯老朽化・夜間廊下の転倒事故年3件・メンテナンスコスト増加

採用構成:廊下フットライト(IP44・2700K・センサー付)+居室調光LED(Ra90・調光対応)+食堂昼夜切替システム(5000K→2700K タイマー制御)

結果:夜間転倒事故ゼロ(更新後12か月)・電力コスト38%削減・ランプ交換コスト年180万円→12万円

施工ポイント:人感センサーは即時点灯型(0.3秒以内)を指定・フリッカー確認をスローモーション動画で全灯確認

施工事例 B

グループホーム(認知症対応)新規開設|18床・延べ床650㎡

課題:認知症入居者の昼夜逆転・睡眠障害に対応した照明設計が求められた

採用構成:昼夜色温度切替システム(タイマー制御・6500K→2700K・食堂/廊下/居室連動)+フリッカーフリーLED(SVM値0.3以下)

結果:入居後3か月で夜間の不穏行動が入居前比40%減少・睡眠の質改善を施設スタッフが確認

施工ポイント:色温度の切替は急激な変化を避け30分かけて徐々に変化するシーン設定を採用

省エネ効果と補助金活用

介護施設の全館LED更新では電力消費を30〜50%削減できます。社会福祉法人・医療法人が運営する施設は省エネ補助金の対象になる場合があります。

省エネ試算(100床規模 参考値)

よくある質問

介護施設の廊下に必要な照度はどれくらい?
JIS Z 9110では介護施設の廊下は昼間100lx以上・夜間は転倒防止のため10〜30lxの常夜灯が必要です。夜間の全消灯は転倒事故の原因になります。フットライト・誘導灯との組み合わせで段差・手すり位置が視認できる環境を作ります。
認知症ケアに適した照明設計とは?
昼夜の光環境が整っていないと昼夜逆転・睡眠障害が悪化します。昼間は5000K以上・500lx以上の昼白色照明で覚醒を促し、夕方以降は2700〜3000Kの電球色に自動切替する調光設計が効果的です。色温度は急激な変化を避け徐々に切り替えるタイマー調光が推奨されます。
介護施設でフリッカーフリーの照明が必要な理由は?
高齢者は光の点滅(フリッカー)に敏感で、フリッカーのある照明では頭痛・めまい・不快感が起きやすいです。特に認知症・光過敏症の方はフリッカーが症状を悪化させる場合があります。SVM値0.4以下のフリッカーフリー照明を選ぶことで入居者のQOL改善につながります。
介護施設のLED照明は省エネ補助金の対象になる?
社会福祉法人・医療法人が運営する介護施設のLED更新工事は省エネ補助金の対象になる場合があります。補助率・対象要件は年度・自治体により異なるため申請前に最新の公募要領を確認してください。LED更新による省エネ率30〜50%は補助金採択の根拠としても活用できます。

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