施工背景と課題
地方自治体が運営する総合博物館(展示室面積1,200㎡・年間来館者数約8万人)から「旧ハロゲンスポットライトの発熱による展示品へのダメージリスクと、年間90万円超の照明球交換コストが深刻な予算圧迫になっている」とのご相談をいただきました。現地調査の結果、展示室全域でハロゲンランプ(50W×180灯)を使用しており、これが強い紫外線・赤外線を発生させ、一部の繊維製品・絵画の退色が懸念されていることが確認されました。
博物館照明には美術品・展示物の正確な色再現(高演色Ra95以上)、UV-free(紫外線ゼロ)による展示品保護、仰角を変えられる配光調整機能、来館者の目に優しい超低グレア(UGR10以下)という4つの特殊要件があります。今回はこれら全要件を満たしながら70%の大幅省エネを同時実現しました。
施設タイプ
総合博物館(常設・企画展示)
施工エリア
1,200㎡(4ゾーン)
来館者数
年間約8万人
開館時間
9:00〜17:00(8h/日)
旧照明
ハロゲン・HID・蛍光灯混在
施工費用
372万円(工事費込み)
ゾーン別 LED仕様
電気代・エネルギー比較
| エリア | 旧設備 消費電力 | LED 消費電力 | 年間電力削減量 | 年間コスト削減 |
|---|---|---|---|---|
| 常設展示室(Zone A) | 4,000W(ハロゲン50W×80灯) | 1,500W | 18,200kWh/年 | 約46万円/年 |
| 企画展示室(Zone B) | 4,800W(HID+蛍光灯) | 2,000W(調光実効1,600W) | 23,360kWh/年 | 約58万円/年 |
| エントランス(Zone C) | 2,400W(HID+蛍光灯) | 1,000W | 11,200kWh/年 | 約28万円/年 |
| 収蔵庫(Zone D) | 1,200W(蛍光灯) | 800W(PIR込実効240W) | 3,900kWh/年 | 約10万円/年 |
| 合計 | 12,400W → 年間266万円 | 実効5,340W → 年間80万円 | 56,660kWh/年削減(換算) | 約186万円/年削減(70%削減) |
※電力単価25円/kWh・年間開館8h×280日(休館日除く)+収蔵庫PIR実績値に基づく試算。
博物館・美術館LED照明の技術ポイント
JIS Z 9110「照明基準総則」では、美術館・博物館の展示空間に対して演色評価数Ra90以上・グレア制限UGR19以下を推奨しています。本施工事例では展示ギャラリーにRa97/UGR10を達成し、基準値を大幅に上回る品質を確保。また年間累積照射量(klx・h/年)についても感光性展示品(繊維・写真・水彩画)には50lx以下の照度設定と年間累積150klx・h以内を遵守するゾーン設計を採用しています。
投資回収・ROI分析
電気代削減186万円/年に加え、ハロゲンランプ交換コスト削減90万円/年を合算すると年間276万円の総削減効果。施工費372万円に対して1.35年での回収が可能となる計算です(本記事では保守的に電気代削減のみで2.0年回収と表記)。5年間の累計節約は電気代のみで930万円、球交換コスト削減450万円を加えると計1,380万円に達する見込みです。
使用製品・仕様
今回採用したLED製品ラインナップ
担当学芸員様の声
── 地方自治体立総合博物館 担当学芸員様
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