光天井・面発光ライトボックス(内照看板・バックライトサイン)をムラなく均一に光らせるかどうかは、ほぼ一点で決まります。LEDから拡散板までの奥行きDLED列のピッチPの比、いわゆる「D/P比」です。これが小さい(浅い・列が粗い)と粒(ドット)や縞が見え、大きい(深い・列が細かい)となめらかな面発光になります。本記事では、ドット感を消すための奥行きとピッチの決め方、反射板・拡散板の選び方、四隅が暗い輝度ムラの対策を、施工業者向けに計算式と数値の目安つきで整理します。

1. 均一発光を決めるのは「D/P比」

直下型(拡散板の真下にLEDを並べる方式)では、隣り合うLED列の光が拡散板に届くまでに重なって混ざることで、面が均一に見えます。混ざるかどうかは、奥行きD(LED→拡散板の距離)ピッチP(LED列の間隔)の関係で決まります。

均一性の目安 = 奥行きD ÷ ピッチP(D/P比)
D/P比が 大きいほど均一/小さいほどドット・縞が出る

実務上の目安として、拡散板の拡散性にもよりますが、SMDテープを列状に並べる直下型ではD/P ≧ 0.7〜1.0を確保すると粒が目立ちにくくなります。逆に言えば、奥行きが浅いほどピッチを詰める(列を増やす)必要があります。

COBテープは「P=連続」で別格
COB(チップ・オン・ボード)テープは発光面が連続していて点光源の粒がありません。実質的にピッチPが極小なので、浅い奥行きでもドットが出にくく、薄型ボックス・浅い光天井での面発光に最も向きます。奥行きが取れない案件はまずCOBを検討してください。

2. 奥行き別・推奨ピッチの早見表

D/P ≧ 0.8 を満たすための、奥行きDとLED列ピッチPの目安です(標準的な拡散板を想定)。拡散性の高い拡散板を使えばピッチはやや緩められ、透過重視(拡散の弱い)拡散板なら詰める必要があります。

奥行きD 推奨LED列ピッチP(目安) 向く方式・用途
20mm未満 SMDでは困難 → COB推奨 薄型ライトボックス・浅い光天井
30mm 約25〜35mm(高密度テープ) 内照看板・浅型サイン
50mm 約40〜60mm 標準的なライトボックス
80mm 約60〜100mm 大型内照看板・光天井
100mm以上 約80〜120mm 深型光天井・大面積バックライト
ピッチの考え方
ここでいうピッチPは「LEDテープを何mm間隔で平行に貼るか(列間隔)」です。テープ自体のLED密度(個/m)が高いほど、テープに沿った方向の粒も目立ちにくくなります。列方向・テープ方向の両方を詰めるとよりなめらかになります。

3. 均一面発光をつくる4要素

奥行きD
混色距離
取れるほど有利。浅いとピッチを詰めるかCOBに
ピッチP
列間隔
詰めるほど均一。奥行きとセットで決める
反射板
白色・高反射
底面・側面に。光を回して効率と均一性UP
拡散板
ヘイズ
拡散強=均一・暗め/弱=明るい・粒が出る

この4つはトレードオフの関係です。奥行きが取れない→ピッチを詰める+COB+強拡散板明るさが欲しいが拡散板で落ちる→W/mを上げる+反射板で回収、というように、現場の制約に合わせて組み合わせます。

⚠ 強い拡散板は「暗くなる」
拡散性(ヘイズ)の高い拡散板はドットを消せますが、透過率が下がって暗くなります。均一性を優先して強拡散板にする場合は、その分W/m(明るさ)を上げる反射板で光を回収する前提で照度を確保してください。「拡散板で均一にしたら暗くなった」は設計段階で織り込みます。

4. 設計・施工の手順

奥行きDを確定する ボックス・懐の奥行きから、LED面〜拡散板の距離Dを決める。浅いならCOB前提で進める。
D/P比からピッチPを決める D/P ≧ 0.8 を目安にLED列ピッチを算出。例:D=50mmなら P≦62mm。早見表で確認。
反射板を底面・側面に入れる 白色・高反射シートを底と側面に貼り、光をボックス内で回す。効率と縁の明るさが上がる。
外周にテープを増し貼り 縁が暗くなりやすいので、外周に沿って1〜2列追加。額縁状に光を回して四隅の暗さを防ぐ。
点灯状態で拡散板越しに目視確認 仮組みで点灯し、拡散板を載せて粒・縞・暗部を確認。暗い所に追い貼り、目立つ所は間引いて均す。
放熱と電源を確認 高密度・浅型はW/mが上がり発熱も増える。動作温度・IP・電源容量(W/m×総延長×1.2〜1.3)を確認する。
面発光チェックリスト
□ 奥行きDを確定したか(浅いならCOBを選んだか)
□ D/P ≧ 0.8 でLED列ピッチを決めたか
□ 底面・側面に白色反射板を入れたか
□ 外周に増し貼りして縁の暗さを防いだか
□ 拡散板の拡散性と明るさ低下を織り込んだか
□ 点灯状態で拡散板越しに粒・ムラを目視したか
□ W/mに見合う放熱・電源容量を確保したか

5. やりがちな失敗

よくある質問

面発光させたいのに拡散板越しにLEDの粒(ドット)が見えてしまいます。どう直しますか?
ドットが見えるのは、LEDから拡散板までの奥行きDがLED列のピッチPに対して足りていないためです。直下型では奥行きDとピッチPの比(D/P比)が小さいほど粒が出ます。対策は三つあり、(1)奥行きDを増やす、(2)LED列ピッチPを詰める(列数を増やす/高密度テープに替える)、(3)より拡散性の高い(ヘイズの高い)拡散板にする、または拡散板を2層にすることです。奥行きが取れない薄型ボックスでは、粒の見えないCOBテープに替えるのが最も確実です。
薄型のライトボックスで奥行きが取れません。均一発光は無理ですか?
奥行きが取れない場合は、点光源が並ぶSMDテープではなく、発光面が連続したCOBテープを使うのが定石です。COBは粒の境目がないため、浅い奥行きでもドットが出にくく面発光に向きます。加えて、LED列のピッチを詰める、底面と側面に白色の反射板を入れて光をボックス内で回す、拡散性の高い拡散板を使う、の合わせ技で均一性を上げます。ただし浅型・高密度は発熱が増えやすいので、W/mに見合った放熱とIP・温度仕様の確認も必要です。
光天井の中央は明るいのに四隅・縁が暗くなります。対策は?
縁が暗くなるのは、周辺部に光が回り込まず、面の中央に光が集中するためです。対策は、(1)外周(縁)に沿ってLEDテープを1〜2列追加する、(2)側面に白色の反射板を立てて壁面で光を反射させる、(3)中央のLED密度を下げ周辺を上げるなど配置で輝度を均す、ことです。特に外周への増し貼りは効果が大きく、額縁状に光が回って縁の暗さが解消します。仕上がりは点灯状態で拡散板を載せて目視確認し、暗部に追い貼りして追い込みます。

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