この記事の結論:厨房・食品売場は水はね・油煙・高温・洗浄液という4つの負荷が同時にかかる特殊環境です。設置ゾーンごとに必要なIP等級(防水防塵)・耐熱グレード・被膜方式・演色性(Ra・R9)を分けて選定し、アルミフレームやエンドキャップも防錆・完全防水仕様で揃えることが失敗しない施工の基本です。
厨房・食品売場で通常のLEDテープが使えない理由
一般的な室内向けLEDテープをそのまま厨房や食品売場に使うと、短期間で被膜の劣化・変色・断線といったトラブルが起きやすくなります。理由は、この環境が同時に複数の負荷をテープにかけるためです。
- 水はね:シンク・食洗機・清掃時の水しぶきが直接かかる
- 油煙・油汚れ:フライヤーやグリルからの油分が被膜表面に付着し続ける
- 高温:加熱機器・保温ランプの近くは周囲温度が室内照明用途より大幅に高い
- 洗浄液・アルコール:衛生管理のための除菌・洗剤拭き取りが日常的に行われる
- 結露:冷蔵・冷凍ショーケースは開閉のたびに温度差から水滴が発生する
エポキシ樹脂を薄く塗布しただけの簡易防水(IP65未満相当)や、耐熱グレードが一般的な室内仕様のテープは、これらの負荷が重なると被膜のひび割れ・剥離、内部への浸水、樹脂の黄変による見た目の劣化が早期に起こります。ゾーンごとに要求される負荷を洗い出し、それに見合う仕様のテープを選ぶことが前提になります。
ゾーン別の推奨仕様
シンク・調理台周り
推奨IPIP65以上
被膜方式シリコン被膜(半被覆)
耐熱目安80℃程度
フード(換気扇)下・加熱機器付近
推奨IPIP66〜67
被膜方式シリコンチューブ(全周)
耐熱目安100℃以上グレード
冷蔵・冷凍ショーケース
推奨IPIP67〜68
被膜方式シリコンチューブ(全周・結露対応)
耐熱目安低温始動保証(-20℃前後)
惣菜・生鮮売場(常温什器)
推奨IPIP65
被膜方式シリコン被膜
演色性Ra90以上・R9重視
防水等級(IP)の必要基準
| ゾーン |
想定環境 |
推奨IP |
被膜方式 |
| シンク・調理台周り |
水はね・清掃時の飛沫 |
IP65以上 |
シリコン被膜(半被覆) |
| フード下・加熱機器付近 |
油煙・高温・強い蒸気 |
IP66〜67 |
シリコンチューブ(全周) |
| 冷蔵・冷凍ショーケース内 |
結露・低温・開閉時の温度差 |
IP67〜68 |
シリコンチューブ(全周・結露対応) |
| 惣菜・生鮮の常温什器 |
清掃時の拭き取り・軽度な水気 |
IP65 |
シリコン被膜 |
| ホース洗浄を行うバックヤード |
直接的な水流・水没の可能性 |
IP67以上必須 |
シリコンチューブ(全周)+完全防水コネクタ |
耐熱性・被膜材質の選び方
| 被膜方式 |
特徴 |
厨房・食品売場での適性 |
| エポキシ樹脂被膜(薄塗り) |
安価だが硬化後に柔軟性が低く、経年でひび割れやすい |
不適(油・洗剤の繰り返し接触で劣化) |
| シリコン被膜(半被覆) |
柔軟性があり耐候性・耐薬品性に優れる |
水はね程度のシンク・調理台周りに適合 |
| シリコンチューブ(全周被覆) |
テープ全体を筒状のシリコンで覆い高い密閉性を確保 |
油煙・高温・結露環境に最適 |
食品の色を正しく見せる演色性(Ra・R9)の基準
| 売場用途 |
推奨Ra |
重視するR値 |
理由 |
| 精肉・鮮魚売場 |
Ra90以上 |
R9(赤の再現性) |
赤身の色が実際より鮮やかまたはくすんで見えるのを防ぐ |
| 青果(野菜・果物)売場 |
Ra90以上 |
緑・黄の再現性 |
葉物野菜の緑や果物の色づきを自然に見せる |
| ベーカリー・惣菜 |
Ra85〜90 |
黄赤みの再現性 |
焼き色・揚げ色を食欲をそそる色合いで見せる |
Ra(平均演色評価数)だけでなく、赤の再現性を示すR9も併せて確認してください。R9が低い光源はRa値が高くても精肉売場での赤身の発色が不自然になることがあります。
施工時の注意点(衛生・防錆)
- アルミフレームはステンレスまたは防錆処理済みのものを選定する(一般アルマイトのみでは塩分・洗剤で腐食が進みやすい)
- エンドキャップは完全防水タイプを使用し、テープ切断面からの浸水経路をシーリング処理で塞ぐ
- アルコール系除菌剤で日常的に拭き取る場所は、被膜の耐薬品性(変色・劣化の有無)を仕様書で確認する
- 電源(PSU)本体は防水区画外・天井裏など水がかからない場所に設置し、テープ側だけでなく電源側の設置環境も見直す
- 排水経路(ドレン)の直下や水が溜まりやすい位置を避けて配線ルートを計画する
- 冷蔵・冷凍ショーケースでは低温始動特性(-20℃前後での即時点灯)を仕様書で確認する
ゾーン別推奨仕様まとめ
| ゾーン |
推奨IP |
耐熱・特記事項 |
| シンク・調理台周り |
IP65以上 |
シリコン被膜・80℃程度 |
| フード下・加熱機器付近 |
IP66〜67 |
シリコンチューブ全周・100℃以上グレード |
| 冷蔵・冷凍ショーケース |
IP67〜68 |
結露対応・低温始動保証 |
| 惣菜・生鮮売場 |
IP65 |
Ra90以上・R9重視 |
よくある質問
Q. 厨房のシンク周りに使うLEDテープはIP何以上が必要ですか?
シンク・調理台まわりなど水はねが想定される場所では、IP65以上(防塵完全・あらゆる方向からの噴流水に耐える)のシリコン被膜タイプを選定します。直接水がかかる可能性がある、またはホースで洗浄する場所ではIP66〜67相当(一時的な水没・強い噴流水に耐える)まで引き上げてください。エポキシ樹脂を薄く塗布しただけの簡易防水(IP65未満相当)は、油汚れや洗剤での拭き取りを繰り返すと被膜が劣化し早期に浸水することがあるため、厨房用途では避けるべきです。
Q. 冷蔵ショーケースにLEDテープを使う際、通常の防水テープではダメですか?
通常のIP65防水テープでは不十分な場合があります。冷蔵・冷凍ショーケース内は結露が繰り返し発生する環境で、開閉のたびに温度差から水滴が発生するため、全周をシリコンチューブで完全に覆ったIP67〜68相当の被膜が推奨されます。また、低温環境での始動特性(低温でも即時点灯し明るさが安定するか)を仕様書で確認し、庫内の結露水がテープの端部(エンドキャップ)から浸入しないよう、完全防水タイプのエンドキャップとシーリング処理を併用してください。
Q. 食品売場でRa(演色性)はどのくらい必要ですか?
食品の色を自然に見せるにはRa90以上を目安にしてください。特に精肉・鮮魚売場では赤みの再現性を示すR9の値が重要で、R9が低いとRa値が高くても肉の赤身がくすんで見えることがあります。青果売場では緑の再現性、ベーカリーでは黄赤みの再現性が仕上がりの印象を左右するため、単純にRa値だけでなく用途に応じたR9も含めた演色性評価で製品を選定することをおすすめします。
厨房・食品売場向けの防水LEDテープを探す
IP65〜IP68対応のシリコン被膜テープ、防錆アルミフレーム、完全防水エンドキャップを取り扱っています
商品ラインナップを見る