電圧降下に強い高電圧テープで1本あたりの引ける長さ・電流・配線太さがどう変わるかを計算式付きで比較
この記事で分かること:什器の天端ぐるり一周・長いコーニス・連続したライン照明で「電源と分岐を何箇所も入れたくない」とき、48V(高電圧)LEDテープなら1本で20〜30m前後を均一に引けます。12V/24V/48Vの電流・電圧降下・配線太さの違いと、48V特有の注意点(カット単位・電源・調光・絶縁)を施工業者目線で整理します。
LEDテープが末端に向かって暗くなる原因は電圧降下で、これは「電流 × 配線・銅箔の抵抗」で発生します。ここでカギになるのが、同じ明るさ(同じ消費電力 W/m)でも電圧が高いほど流れる電流は小さくて済むという関係です。
電力の式は P(W)= V(電圧)× I(電流)。たとえば10W/mのテープなら、12Vでは約0.83A/m、24Vでは約0.42A/m、48Vでは約0.21A/m。さらに配線で失われる損失は「電流の2乗」に比例する(損失 = I²×R)ため、電流が半分になると損失は1/4に激減します。これが48Vが長尺に強い理由です。
ざっくり目安:48Vは24Vの電流の半分・12Vの1/4。損失(発熱・電圧降下)は24V比で約1/4、12V比で約1/16。だから同じ配線・同じ明るさなら「より長く・より細い線で」引けます。
同じ「10W/m・全長10m(合計100W)」を引いたと仮定し、配線抵抗を仮に0.1Ω/m(往復で長さ×2)として比較します。テープの銅箔抵抗は別途あるため、これは電源〜テープ間ハーネスのイメージです。
| 電圧 | 合計電流 | 配線損失の傾向 | 片端給電の現実的な上限 | 必要な配線の太さ感 |
|---|---|---|---|---|
| 12V | 約8.3A | 大(5m超で目視差) | 5m前後 | 太め(1.25〜2.0mm²) |
| 24V | 約4.2A | 中(10mで要計算) | 10m前後 | 標準(0.75〜1.25mm²) |
| 48V | 約2.1A | 小(20m級でも余裕) | 20〜30m前後 | 細めで可(0.5〜0.75mm²) |
「48Vなら何mでもOK」ではありません。最大連続使用長はテープ自体の銅箔厚(カッパーウェイト)・W/m・基板幅で決まります。上の数値は傾向であり、実際の施工では各製品の「最大連続使用長」と電圧降下計算の両方で確認してください。
例:48V・10W/m × 20m = 200W → 電流 200W ÷ 48V ≒ 4.2A
配線0.1Ω/m × 20m × 2 = 4Ω → 電圧降下 4.2A × 4Ω = 16.8V…これは過大。
→ 実際は給電点を分けるか、電流の小さい低W/m品を選ぶ。「48Vでも給電点設計は必要」という好例。
大型什器の天端を一周・長いコーニス/コーブ・天井見切りの連続ライン・什器什器をまたぐ通し配灯。電源と分岐を減らして点検性とコストを下げたいケース。
10m以内のコーニス・一般的な間接照明。製品・調光器・コントローラーの選択肢が最も多く、入手性と汎用性を優先したいケース。
短い納まりが多く細かいカットが必要な造作(カット単位が長く端材が出る)。既存12V/24V調光システムへの後付け(電源・調光器の総入替が必要になる)。
AC100V/200Vから48Vを作るLED電源の1次側結線は電気工事士の作業範囲です。電源は菱形/丸形PSEと事業者名・定格表示のあるものを選んでください。テープ側(2次側48V)は低圧の直流回路ですが、DC30V超のため端子の露出・濡れ手接触は避け、結線部は熱収縮チューブ等で確実に絶縁します。
48Vは直列LED数が多く、1ユニット(カット可能最小長)が12V/24Vより長くなる傾向です。割り付け前に必ずカット単位を確認し、納まり寸法で割り切れるか検討してください。割り切れない端材は別系統で使うか、24Vへ変更します。
12V/24V用の調光器・コントローラーは48Vテープに使えません。調光する場合は48V出力・PWM対応の電源と48V対応コントローラーを組み合わせます。電圧を混在させると不点灯・故障の原因になります。
48Vは余裕が大きいだけで「無限に引ける」わけではありません。20m級では計算上アウトになる組み合わせもあります(上の計算例参照)。長尺ほど中間給電(パワーインジェクション)や系統分割を前提に設計してください。