施設概要と課題
本事例は地方スーパーの鮮魚売場および隣接する加工室・冷蔵陳列ゾーンを含む延床600㎡の施設が対象です。 既存照明はHf蛍光灯(Hf40W)と旧来のFL蛍光管で構成されており、演色性Ra65〜70程度のため魚の赤身・白身の発色が不十分で「鮮度感が伝わらない」という課題を抱えていました。
また湿気・水気の多い鮮魚売場では従来の器具が腐食しやすく、メンテナンスコストが年々増加。 加工室では従業員からのグレア(眩しさ)による疲労訴えが多く、作業効率の低下も問題でした。 今回の改修ではRa97超高演色COBテープ+IP65防水仕様を採用し、鮮度の「見える化」による売上向上と省エネ・メンテナンスコスト削減の両立を図りました。
ゾーン別LED設計
消費電力: 960W
演色性: Ra97 / 色温度: 5500K
防水: IP65
旧: Hf40W×35灯=1,400W
消費電力: 600W
演色性: Ra90 / 色温度: 5000K
防水: IP65
旧: Hf40W×25灯=1,000W
消費電力: 320W
演色性: Ra90 / 色温度: 5000K
防水: IP65
旧: FL20W×30灯=600W
実効消費電力: 72W(センサー制御)
演色性: Ra80 / 色温度: 4000K
PIR感知角120° 遅延60秒
旧: FL20W×20灯=400W
消費電力・省エネ効果の比較
| ゾーン | 旧照明(蛍光灯) | 新照明(COBテープ) | 削減率 |
|---|---|---|---|
| Zone A 販売フロア | Hf40W×35灯 = 1,400W | 12W/m×80m = 960W | 31%削減 |
| Zone B 加工室 | Hf40W×25灯 = 1,000W | 10W/m×60m = 600W | 40%削減 |
| Zone C 冷蔵陳列 | FL20W×30灯 = 600W | 8W/m×40m = 320W | 47%削減 |
| Zone D バックヤード | FL20W×20灯 = 400W | PIR制御実効 = 72W | 82%削減 |
| 合計 | 3,400W | 1,952W実効 | 43%削減 |
削減電力: 3,400W − 1,952W = 1,448W
年間稼働: 1,448W × 14時間/日 × 365日 = 約7,399kWh
電気代(25円/kWh): 7,399 × 25 = 約18万円/年削減
Ra97超高演色がもたらす売場効果
鮮魚の「赤み」が正確に再現される
Ra97は太陽光(Ra100)に極めて近い演色性です。まぐろの赤身、鯛の桜色、さんまの銀色の光沢など、 魚本来の色彩を忠実に再現します。Ra65〜70の旧蛍光灯では失われていた「新鮮さの色」が お客様の目に届くようになり、視覚的な鮮度訴求力が大幅に向上します。
食品安全・衛生管理への貢献
高演色照明は魚の変色・劣化の早期発見にも役立ちます。従業員が鮮度の目視確認をより正確に 行えるため、廃棄ロスの削減と食品安全管理の強化につながります。
UV・赤外線ゼロで品質劣化を防止
LEDはUVと赤外線をほぼ放射しないため、照明による鮮魚の品温上昇・変色促進を抑制します。 特に冷蔵陳列ケース周辺では照明由来の熱負荷が減り、冷却効率の改善も期待できます。
IP65防水仕様の必要性と選定理由
鮮魚売場・加工室は水・油・魚体の汁が飛散する過酷な環境です。IP65は「防塵完全保護+あらゆる方向からの噴流水に対して保護」を意味し、 ホースでの洗浄作業にも耐えられる防水規格です。旧来の蛍光管器具は防水性が低く、 水分浸入による漏電・器具破損・交換コストが発生していましたが、IP65 COBテープへの換装で メンテナンスサイクルが大幅に延長されます。
投資回収シミュレーション
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| LED照明材料費(COBテープ・IP65・電源・防水コネクタ) | 約45万円 |
| 施工費(防水工事・既存器具撤去・電気工事) | 約30万円 |
| 総投資額 | 約75万円 |
| 年間電気代削減額 | 約18万円 |
| 単純投資回収期間 | 約4.2年 |
省エネ設備投資として各自治体・経済産業省の補助金対象になるケースがあります。 申請により実質負担額が軽減され、投資回収期間を2〜3年台に短縮できる可能性があります。 詳細はご相談ください。
施工のポイント・注意事項
IP65防水処理の徹底
テープ端末・コネクタ部分は特に水分浸入リスクが高い箇所です。防水シリコンコーキングによる 端末処理と、防水接続コネクタの確実な施工が長寿命化の鍵となります。 施工後は必ず水道ホースでの噴水テストを実施し、防水性能を確認します。
5500K高色温度の選定理由
鮮魚売場では5500K前後の高色温度が最適です。青みがかった白光が水の透明感・氷の輝きを 強調し、鮮魚の持つ「清潔感・新鮮さ」のイメージを最大化します。 逆に温白色(3000K系)は肉売場には向きますが、魚売場では鮮度感が失われます。
既存器具の安全な撤去
旧蛍光灯器具の撤去では、水分や油汚れが内部に侵入した器具に注意が必要です。 活線作業は行わず、ブレーカーを落とした状態で撤去を実施します。
導入後の効果サマリー
| 項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 販売フロア演色性 | Ra65〜70(Hf蛍光灯) | Ra97(COBテープ) |
| 防水規格 | 非防水(IP20相当) | IP65(噴流水対応) |
| 消費電力合計 | 3,400W | 1,952W実効(43%削減) |
| 年間電気代 | 約42万円 | 約24万円(▲18万円) |
| メンテナンス頻度 | 年2〜3回(器具腐食・球切れ) | 5年以上無交換(目安) |
| バックヤード電力 | 400W(常時点灯) | 72W実効(PIR制御) |
まとめ
鮮魚売場・魚市場へのLED照明導入では「演色性」と「防水性」の両立が最重要課題です。 Ra97超高演色COBテープ(IP65)は魚の色彩を正確に再現し、お客様への鮮度訴求を強化します。 同時に43%の消費電力削減で年間18万円のコスト削減、4.2年での投資回収を実現します。
PIR人感センサーをバックヤードに組み合わせることで、さらなる節電効果を追加しています。 湿気・水気の多い環境でも長寿命を維持できるIP65仕様は、メンテナンスコストの大幅削減にも貢献します。