施工事例 / HACCP対応

食品工場・厨房の
LED照明施工事例

IP67防水・Ra90演色・ちらつきゼロで異物混入を防ぐ。
420㎡食品加工工場の全4ゾーン照明リニューアル事例。

2026-05-01 公開 | LED PRO SHOP 技術チーム
🛡IP67防水
🎨Ra90以上
ちらつきゼロ(PF≥0.9)
🌡冷蔵庫内対応(-10℃〜)
🏭420㎡4ゾーン

食品施設の照明に「IP67」が必要な理由

食品工場・業務用厨房は、一般の商業施設とはまったく異なる過酷な環境です。高圧洗浄機による床・壁の日常洗浄、蒸気・水蒸気の充満、急激な温度変化(加熱ゾーンと冷蔵ゾーンの温度差が40℃以上になることも)――これらの条件を無視して選んだ照明は、数ヶ月で故障し、最悪の場合、漏電や感電のリスクを生みます。

⚠ 注意:IP44以下の照明を食品工場に使用しないでください
高圧洗浄時に水が浸入し、漏電・ショート・感電事故の原因になります。HACCP制度化(2021年6月施行)以降、食品施設の照明には防水仕様が事実上の必須要件となっています。

LEDテープ照明を食品施設に導入する場合、最低でもIP65(防塵・防水ジェット)、定期的に高圧洗浄が行われるゾーンではIP67(水中30分耐久)以上が必要です。

IP等級防水レベル食品施設での使用可否適用ゾーン
IP44 飛沫防止 ✗ 不可 高圧洗浄ゾーンでは使用不可
IP65 防塵・防水ジェット △ 条件付き 換気エリア・乾燥保管庫
IP67 水中30分耐久 ◎ 推奨 加工・洗浄・調理エリア
IP68 水中連続使用 ◎ 最高 常時湿潤環境・ウォークイン冷蔵

HACCP制度化と照明の関係

食品衛生法改正(2021年6月全面施行)により、食品取扱事業者には「HACCPに沿った衛生管理」が義務付けられました。照明は清掃容易性・異物検出能力・作業環境の視認性に直結し、HACCP計画の重要管理点(CCP)の前提条件として位置づけられます。破損しても食品に混入しない封入型・外装カバー付きの器具選定、定期点検記録が求められます。

食品施設に最適な演色性(Ra値)と色温度

演色性はRa90以上を選ぶ

食品の品質管理では、食材の色で鮮度・品質・異物の有無を判定します。Ra値が低い照明では、肉の変色、野菜の褐変、異物(虫・毛髪・異種食材)が視認しにくくなります。

Ra90推奨の根拠:JIS Z 9110「照明基準総則」では、精密作業・食品検査は照度300〜1,000 lx・演色性Ra80以上を推奨。ただし食品の色識別が重要な検査ラインでは、現場での経験からRa90〜95が事実上の業界標準となっています。

色温度は用途ゾーンで使い分ける

ゾーン色温度理由
加工・検査ライン 5000〜6500K 昼光色で異物を視認しやすい。疲労感は高いが集中力維持
調理・盛り付けゾーン 4000〜5000K 食品の色を自然に見せつつ作業精度を確保
食材保管・冷蔵庫内 4000K 白色光で食材の状態確認しやすい。熱量ゼロのLEDが必須
休憩室・更衣室 3000〜3500K 白熱色系でリラックス。疲労回復を促す
原材料倉庫 4000〜5000K 在庫確認・ピッキング精度向上

施工事例:420㎡食品加工工場のLEDリニューアル

関東近郊の惣菜製造工場(冷蔵加工・盛り付け・包装・洗浄の4工程)で実施した、蛍光灯からLEDテープ照明への全面リニューアル事例です。

工場面積
420㎡
ゾーン数
4
総テープ長
88m
総消費電力
748W
IP等級
IP67
電源装置
4台
ゾーン A 加工・検査ライン(180㎡)
テープ種類 COB 24V 12W/m IP67
色温度 5000K(昼白色)
演色性 Ra90以上
設置長 30m(作業台上方)
消費電力 360W
電源容量 432W(×1.2係数)
作業台直上30cmにアルミフレーム(Uチャンネル・白)で固定。作業者目線から見て均一な照度を確保。高圧洗浄が毎日行われるためシリコン被覆のIP67グレードを採用。
ゾーン B ウォークイン冷蔵庫(60㎡・内部−5℃)
テープ種類 COB 24V 8W/m IP67
色温度 4000K(白色)
演色性 Ra90以上
設置長 18m(棚列上部+通路)
消費電力 144W
動作温度 −10℃〜+40℃対応
低温環境(−5℃常時)はLEDにとっては発熱が少なくなり効率が上がる好条件。ただしケーブル被覆・コネクタ・接着剤の低温対応品を使用。電源装置は冷蔵庫外(+10℃以上の環境)に設置し、コードはシール貫通部を防水処置。
ゾーン C 洗浄・殺菌エリア(100㎡)
テープ種類 COB 24V 10W/m IP67
色温度 6500K(昼光色)
演色性 Ra90以上
設置長 25m(天井・壁面)
消費電力 250W
圧力耐性 高圧洗浄対応(IP67)
最も過酷な環境。毎日複数回の高圧洗浄(0.5〜2MPa)・薬品消毒が行われる。テープ両端はシリコンエンドキャップ+防水シーリング材で完全封止。コネクタは使用せず半田付け+収縮チューブ処理。
ゾーン D 包装・出荷エリア(80㎡)
テープ種類 COB 24V 8W/m IP65
色温度 4000K(白色)
演色性 Ra90以上
設置長 15m(作業台・コンベア上)
消費電力 120W(ゾーン内コンベア上)
IP等級 IP65(水洗い程度)
ゾーンDは日常的な高圧洗浄は行わないためIP65で対応。ラベル印字の確認・製品外観検査のため4000K白色・Ra90で色識別を維持。包装フィルムへの光反射を考慮し、拡散板付きアルミフレームを使用。

電力設計と電源装置の選定

全ゾーン電力設計まとめ

ゾーンA(加工・検査)30m × 12W = 360W → 電源432W(IP65 防水電源)
ゾーンB(冷蔵庫)18m × 8W = 144W → 電源175W(IP65 冷蔵庫外設置)
ゾーンC(洗浄・殺菌)25m × 10W = 250W → 電源300W(IP67 耐薬品型)
ゾーンD(包装・出荷)15m × 8W = 120W → 電源150W(IP65)
テープ合計長88m
総消費電力874W(計算値)
電源装置合計容量1,057W(×1.2係数後)
電源装置台数4台(ゾーン独立回路)
電源装置は必ずゾーン独立で設置:食品施設では清掃・メンテナンス・緊急時のゾーン単位での電源OFF操作が頻繁に発生します。ゾーン別独立回路にすることで、一部ゾーンの洗浄中も他ゾーンの照明を維持でき、作業継続性が確保されます。

電圧降下対策(24Vを選ぶ理由)

食品施設では10〜30mの長距離配線が多く、12V電源では末端の電圧降下が顕著になります(10m先で11V台まで低下→輝度ムラ)。24Vシステムなら同じ電流で2倍の電力を供給でき、電圧降下の影響を半減させることができます。

電圧最大片側配線長長距離での輝度均一性ケーブル断面積
12V 〜5m推奨 △ ムラが出やすい 太いケーブルが必要
24V 〜10m(両端給電で20m) ◎ 均一 細くても対応可

食品検査ラインで「ちらつきゼロ」が重要な理由

蛍光灯は商用電源(50/60Hz)に同期して毎秒100〜120回点滅しています。この点滅が食品コンベアの速度と共鳴すると「ストロボ効果」が発生し、動いているコンベアが止まって見えたり、異物の視認が困難になります。

⚠ ストロボ効果による検査ミスに注意:ライン速度30m/分のコンベアで100Hzの蛍光灯を使用した場合、5cmの間隔で「静止して見える」現象が発生します。人間の目は気づかなくても、脳は正確に動きを認識できなくなっています。

LED電源装置(ドライバ)の品質によっては、LEDにも点滅が起きることがあります。品質の高いLED電源は高周波PWM(10kHz以上)または定電流直流制御を採用しており、ちらつきを視覚で検出できないレベルに抑えています。

食品検査ラインには、力率0.9以上・高周波PWM対応の電源装置を指定して選定することが重要です。

食品施設でのLEDテープ施工手順

  1. 素地確認・下地清掃:食品施設の壁・天井はステンレス・塩化ビニル・FRP等が多く、接着剤の密着性が異なります。シリコン系接着剤が適さない素材(ステンレスへのステンレスは熱膨張差で剥離しやすい)はネジ留めアルミフレームを選択。
  2. アルミフレームの固定:M4〜M5ビスでフレームを固定。壁面の場合はプラスチックアンカーを使用(スチールアンカーは錆リスク)。フレーム内部に水が溜まらないよう、固定位置の最下点に直径3mmの水抜き穴をドリルで明ける。
  3. テープ配線・接続:食品施設では防水コネクタより半田付け+収縮チューブが信頼性が高い。コネクタを使用する場合は防水型IP67以上のコネクタを使用し、接続後に防水テープで二重保護。
  4. テープ両端の封止:IP67テープの両端は専用シリコンエンドキャップ+防水シーリング剤で完全封止。封止後24時間の硬化時間を確保してから洗浄環境にさらす。
  5. 電源装置の設置:電源装置は必ず洗浄エリア外(温度10℃以上・飛沫のかからない位置)に設置。やむを得ず洗浄エリア内に設置する場合はIP65以上の電源ボックスに収納。
  6. 動作確認・照度測定:全点灯後に照度計で各作業台の照度(目標500〜1,000 lx)を計測し記録。HACCP記録として保管。
  7. HACCP衛生管理記録の更新:照明器具の交換記録・定期点検スケジュールをHACCP衛生管理計画書に記載。破損時の交換手順(破片の食品への混入防止措置を含む)を明記。

冷蔵庫・冷凍庫内設置の注意点

低温環境でのLEDは性能向上するが、付属品に注意:LEDチップ自体は低温で効率が上がります(25℃比で−20℃では輝度が数%上昇)。問題はシリコン被覆・接着剤・コネクタ類が低温硬化・収縮することによる接続不良・剥離です。

食品施設LED照明の定期メンテナンス計画

毎日
  • 点灯確認(全ゾーン)
  • フレーム・テープ外観目視
  • 破損・亀裂の有無確認
毎月
  • 照度測定(基準値との比較)
  • 接続部・コネクタ点検
  • 電源装置の温度確認
  • HACCP記録への記入
6ヶ月ごと
  • テープ接着状態確認
  • シーリング材の劣化確認
  • アルミフレームのネジ増し締め
  • 電源装置内部清掃
2〜3年ごと
  • 輝度維持率の評価(L70到達前の予防交換計画)
  • シーリング材の全面打ち直し
  • 電源装置の予防交換
L70寿命の管理:高品質LEDテープの定格寿命は50,000時間(L70基準・70%輝度維持)。24時間稼働で約5.7年、16時間稼働で約8.6年。ただしIP67防水テープは洗浄・薬品・温度変化の影響で実使用寿命が短くなることがあります。3〜5年を目安に予防交換計画を立てることを推奨します。

蛍光灯からのリプレース:電気代削減効果

今回の事例工場では、蛍光灯40W器具×52台からLEDテープ照明へのリプレースを実施。下記は概算の試算結果です。

項目蛍光灯(従来)LEDテープ(導入後)
総消費電力 2,080W(40W×52台) 874W
削減電力 1,206W(約58%削減)
年間稼働時間 4,500時間(16h×300日)
年間電力削減量 約5,427kWh
年間電気代削減(¥30/kWh) 約163,000円/年
照明器具交換コスト(ランプ・安定器) 年間約60,000円 ほぼゼロ(LED定格5万時間)
維持コスト削減 約60,000円/年
年間総削減効果 約223,000円/年

初期投資(テープ・フレーム・電源・施工費の合計)を仮に100万円とした場合、回収期間は約4〜5年。LED製品の実使用寿命は7〜10年程度が見込まれるため、回収後も3〜5年のプラス収益期間があります。

まとめ:食品施設LED照明選定の5原則

食品施設向けIP67防水LEDテープを見る

COB 24V IP67シリーズ・防水電源装置・アルミフレームを取り揃えています。
HACCP対応施工に必要な部材を一式ご提供します。