1,200㎡製造工場・倉庫4ゾーンのLED照明全面リニューアル。組立ライン5000K/Ra90/フリッカーフリー・精密検査Ra95/1,500lx・倉庫4,500K/IP44で電力使用量54%削減。JIS Z 9110工場照明基準をすべて達成した施工設計データを公開します。
工場・倉庫の照明は「とにかく明るければよい」と思われがちだが、実際にはJIS Z 9110の照度基準遵守、フリッカーによる機械視認トラブルの防止、粉塵・飛液への耐久性、そして長期コスト削減という複合課題を同時に解決しなければならない。
1,200㎡の製造工場・倉庫を4ゾーンに分けてCOBテープLEDを設計した本事例は、「品質・安全・省エネ」の三つを同時達成できることを数値で示している。
「フリッカーをなくしただけで、製造ライン担当者から『機械が正常に見えるようになった』という声が出ました。ストロボ効果がずっと続いていたことに誰も気づいていなかったんです。」(関東 製造工場 施設管理責任者)
製造工場の照明は「明るければよい」というものではありません。JIS Z 9110が定める最低照度の確保に加え、フリッカーによる機械視認トラブル防止・IP44以上の粉塵/飛液対応・長期コスト削減という複合課題を同時に解決する必要があります。
JIS Z 9110が定める組立ライン750lx以上・精密検査1,500lxを安定確保。HIDランプ交換サイクルと照度劣化を解消。
機械視覚カメラ・回転体の目視検査でストロボ効果は致命的。DC方式COBテープは100%フリッカーフリーを実現。
切削油ミスト・金属粉塵・洗浄水飛散のある環境ではIP44以上が必須。ラインの配置条件で等級を使い分ける。
広い床面積と長時間稼働(2シフト・3シフト)で電気代が最大の固定費。LED化で50%超の削減が標準ラインとなる。
今回の対象は金属部品製造業の工場棟(組立・検査・倉庫・搬入口)で床面積合計1,200㎡。天井高は組立・倉庫エリアが5〜6m、検査エリアが3m、搬入口が4m。既存照明はHID(メタルハライド)ランプと蛍光灯T5の混在で、合計消費電力4,800W・照度ムラが激しく検査精度への影響が問題視されていました。
①ランプ交換サイクル短く保守費が年間50万円超 ②HIDの点灯立上り時間(5〜10分)による始業ロス ③一部エリアで照度300lx以下(JIS基準の半分以下) ④フリッカーによる回転体検査のミス増加 ⑤HID熱による職場温度上昇と冷房負荷
| ゾーン | 用途 | W/m | 色温度 | Ra | IP | テープ長 | 電力 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| A | 組立ライン | 15W/m | 5,000K | Ra90 | IP44 | 60m | 900W |
| B | 精密検査 | 20W/m | 5,000K | Ra95 | IP20 | 20m | 400W |
| C | 倉庫・棚列 | 12W/m | 4,500K | Ra80 | IP44 | 80m | 960W |
| D | 搬入口 | 10W/m | 4,000K | Ra80 | IP65 | 30m | 300W |
| 合計 | 190m | 2,560W | |||||
削減電力 2,600W × 20時間/日(2シフト)× 250日/年 × 電力単価¥28/kWh = 年間約¥364,000の電気代削減。初期投資(材工含む)を¥600,000とすると、投資回収期間は約20ヶ月。以降は年間36万円のコスト削減が継続します。
オフィス向けLEDパネルの多くはPWM調光方式で、製造ラインに設置するとフリッカーによるストロボ効果が発生します。「LED=フリッカーなし」という誤解が工場での事故リスクを生みます。また防塵・防まつ水対応していない製品は粉塵や切削油の飛散で早期故障します。工場向けはフリッカーフリー・IP44以上の製品選定を徹底してください。
JIS Z 9110は作業種別ごとに維持照度(lx)を規定しています。今回の設計は全ゾーンで基準を上回る照度を確保しました。
| 作業区分 | JIS Z 9110 基準値 | 設計照度 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 粗作業(倉庫・搬入口) | 150〜300lx | 300〜500lx(C)/ 200lx(D) | ✓ 適合 |
| 普通作業(組立ライン) | 300〜750lx | 750〜1,000lx(A) | ✓ 超過達成 |
| 精密作業(精密検査) | 1,000〜1,500lx | 1,500lx(B) | ✓ 上限達成 |
| 演色性(精密検査) | Ra80以上推奨 | Ra95(B) | ✓ 最高水準 |
既存HIDランプでは商用電源(50/60Hz)に同期したフリッカーが発生し、高速回転する工作機械の刃先や部品の目視検査で「静止して見える」錯覚(ストロボ効果)が起きていました。COB LEDテープ+DC方式スイッチング電源の組み合わせはフリッカーが設計上ゼロであり、切り替え後に検査ミス件数が月平均12件から3件に減少しました(施主発表データ)。
安価なAC方式LEDドライバやトライアック調光器を使うと、電源周波数に同期したフリッカーが残ります。工場・検査環境では必ずDC方式スイッチング電源を選んでください。
工場環境でのIP等級は設置箇所の汚染度・水分量に応じて段階的に選定します。全面的にIP65以上にすればよいわけではなく、高IP=厚い被覆=放熱悪化というトレードオフがあります。
24Vシステムでも190mの総延長を一本送りにすることは不可能です。10m超のテープには両端給電を基本とし、長尺エリアは中点から分岐させることで電圧降下を±0.5V以内に収めます。
| ゾーン | テープ長 | PSU容量 | 台数 | 給電方式 |
|---|---|---|---|---|
| A 組立 | 60m(10m×6ライン) | 320W | 3台 | 各ライン両端給電 |
| B 検査 | 20m(5m×4ライン) | 320W | 2台 | 片端給電で十分 |
| C 倉庫 | 80m(10m×8ライン) | 320W | 4台 | 各ライン両端給電 |
| D 搬入 | 30m(10m×3ライン) | 160W | 3台 | 各ライン両端給電 |
工場・倉庫で蛍光灯が入手困難になると、ライン停止・作業環境悪化に直結します。2シフト稼働など消耗の速い工場ほど早期のLED換装が経営的に合理的です。
JIS Z 9110では組立ライン300lx以上、精密作業1,000lx以上が目安です。COBテープLEDは照度計算で設置長・密度・取付高さを設計することで基準値を確実に達成できます。施工後に照度測定を実施し、計測書を記録として残すことを推奨します。
天井高4〜6mの倉庫にはCOBライナー(ベースライト型・150W以上)が適しています。6m以上の高天井にはハイベイLEDライトとの組み合わせが効果的です。いずれもフリッカーフリー・IP44以上の製品を選定してください。
既存の分電盤・幹線配線は多くの場合そのまま活用できます。COBテープLEDは24V直流電源(スイッチング電源PSU)が必要なため、既存の100V/200V回路からPSUを介して接続します。PSUの台数・容量は現地の電源容量と回路数に応じて設計します。
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