施工事例 — 医療施設

クリニック・病院のLED照明施工事例
Ra90・5000K診察室照明と
待合室の快適設計

医療施設の照明は患者の安全と心理的快適性を同時に満たす必要があります。診察室・処置室・待合室の3ゾーンで色温度・演色性・照度を使い分けた350㎡クリニックの施工データを公開します。

診察室 Ra90 5000K 800lx 処置室 Ra95 5000K 1000lx 待合室 3000K 300lx フリッカーフリー 電力 51% 削減

内科・皮膚科クリニックを営む院長は、ある日の診察中に異変に気づいた。患者の皮膚の赤みが、蛍光灯の下では判断しにくい。Ra70台の蛍光灯では、炎症の程度を目視で正確に評価できないことがあると、長年の診療経験から薄々感じていた。

待合室では別の問題があった。天井の直管蛍光灯が発する5000Kの白い光が、患者を緊張させているのではないか。受付スタッフに聞くと「最近、診察前から具合が悪そうな顔をする患者さんが多い」という。照明の色温度と照度が、医療空間の品質を左右していると確信し、LED移行の設計を始めることになった。

「診察室でRa95の高演色LEDに変えてから、皮膚の色変化が明確に見やすくなりました。患者さんからは『待合室が落ち着いた感じになった』と言われます。照明がこれほど診療の質に影響するとは思っていませんでした」

— 内科・皮膚科複合クリニック 院長

クリニック・診療所の照明設計は「明るさ」と「患者の安心感」という一見相反する要件を両立させる難しさがあります。診察室・処置室では皮膚・粘膜・血液の色変化を正確に判断できる演色性とJIS推奨照度が必要である一方、待合室では過度に明るい蛍光灯的な光は患者の不安感を高めます。本記事では350㎡の内科・皮膚科複合クリニックで実施した4ゾーン照明設計の詳細を公開します。

施設概要

施設面積
350
施設種別
内科・
皮膚科
対象ゾーン
4 ゾーン
総テープ長
78 m
演色性
Ra90〜95
省エネ効果
51 %削減

医療施設照明の3大要件

① 高演色性(Ra90以上)
Ra90〜95
皮膚の発赤・皮疹・チアノーゼ・黄疸の色変化を正確に識別するには高演色性が不可欠。Ra80台の光では赤系の色が不正確に見え、誤診リスクが生まれる。処置室はRa95を強く推奨。
② 適切な照度(JIS Z 9110準拠)
500〜1000lx
JIS Z 9110は診察室500lx以上・処置室500〜1000lxを推奨。一般診察では500〜800lxで十分だが、外科的処置・縫合・視力検査などでは1000lx以上が必要な場合がある。
③ フリッカーフリー
点滅ゼロ
蛍光灯の100〜120Hzフリッカーは疲れ目・頭痛の原因。医師・看護師が長時間作業する環境でのフリッカー排除は安全義務。COB 24V + スイッチング電源で原理的にフリッカーゼロを実現。
④ 患者への心理的配慮
待合 3000K
待合室の過剰な明るさ(蛍光灯5000K・500lx以上)は病院的な緊張感を高め、患者の不安を増大させる。3000K・300lx程度の温白色が「落ち着いた安心感」を演出する。

よくある失敗例

クリニックで多い失敗が「診察室に昼白色(5000K・Ra70台)の一般用LEDを導入してしまう」ケースです。皮膚・粘膜・血液の色変化を正確に評価するためにはRa90以上が必要ですが、ホームセンターで入手できる一般品はRa未記載か低演色のものが多く、診断精度に影響します。また待合室に高照度・高色温度のLEDを入れると、病院的な緊張感が増し患者満足度が下がる可能性があります。

4ゾーン照明設計と仕様

ゾーン テープ仕様 色温度 演色性 長さ 消費電力 目標照度
Zone A
診察室×3
COB 24V 12W/m 5000K Ra90 30m 360W 800lx(診察台面)
Zone B
処置室・消毒室
COB 24V 15W/m 5000K Ra95 16m 240W 1000lx(処置台面)
Zone C
待合室
COB 24V 8W/m 3000K Ra90 22m 176W 300lx(床面)
Zone D
廊下・受付
COB 24V 10W/m 4000K Ra90 10m 100W 500lx(床面)

電源構成

ゾーン消費電力安全係数後採用PSU
Zone A(診察室×3)360W432W500W×1台
Zone B(処置室)240W288W300W×1台
Zone C(待合室)176W211W250W×1台
Zone D(廊下・受付)100W120W150W×1台
合計876W1,051W4台

ゾーン別設計の詳細ポイント

診察室(Zone A):5000K・Ra90で皮膚の色を正確に見る

診察室照明の設計原則

処置室(Zone B):Ra95・1000lxで安全な処置環境を確保

処置室照明の特別要件

待合室(Zone C):3000K・300lxで「病院らしくない」安心空間

患者が最も長い時間を過ごす待合室は「医療施設」よりも「くつろげるラウンジ」を目指す設計が近年のトレンドです。3000K(温白色)の間接照明(床面300lx)により、蛍光灯的な緊張感をなくし、不安を軽減します。特に小児科・心療内科・精神科クリニックでは待合室の照明が患者の受診継続率に影響するという報告があります。

省エネルギー効果

施工前(Hf蛍光灯)
1,800W
Hf 54W×28灯+白熱球スポット×数灯
施工後(COB 24V)
876W
COB 24V テープ合計消費電力
電力消費 約51% 削減(年間節約額:約94,000円試算・12時間/日 300日稼働)

医療施設LED照明の推奨仕様まとめ

2027年問題:蛍光灯フェーズアウトへの対応

〜2026年既存蛍光灯の在庫流通・補修部品入手可
2027年〜一般蛍光灯の製造・輸入が事実上終了
2028年〜補修部品枯渇・修理不能化・照明コスト急増リスク

よくある質問

Q. 診察室のLEDは何Kで演色性はどのくらいが適切ですか?

A. 診察室・処置室では5000K(昼光色)・Ra90以上を推奨しています。皮膚・粘膜・血液の色変化を正確に判断するにはRa90以上が必要で、精密処置が多い場合はRa95以上をご検討ください。待合室は3000K(温白色)・300lx前後で患者の心理的緊張を軽減できます。

Q. 診療中にLED施工工事を行うことはできますか?

A. 休診日・診療時間外(早朝・夜間)を活用した分割施工が可能です。診察室1室あたり半日程度で施工を完了できるケースが多く、曜日ごとに部屋を順番に施工することで診療を継続しながら全面LED化を実現できます。

Q. 2027年の蛍光灯廃止はクリニックにどう影響しますか?

A. 診察室の蛍光灯が球切れし交換品が調達できなくなると、医療業務に直接支障をきたします。処置室や診察ベッド周辺の照明が暗くなると診断精度にも影響するため、2026年中のLED移行が強く推奨されます。

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