バー・ラウンジの照明設計で最も重要なのは「光の強さより光の当て方」です。カウンター全体を明るく照らすのではなく、酒瓶・グラス・カウンター天板など見せたい素材に光を集中させ、それ以外は暗くすることで高級感が生まれます。本記事では30坪クラスのバーを想定した4ゾーン照明設計の施工事例を、COB 24V LEDテープの選定根拠とともに解説します。

1. 施工概要

今回の施工事例は都内路面店のバー・ラウンジ(約100㎡・席数32席)です。改修前は蛍光灯ダウンライトのみで「全体が明るすぎて雰囲気が出ない」という課題がありました。LEDテープによる4ゾーン構成に変え、調光シーン切替で開店・満席・バータイム・クローズを使い分ける設計としました。

項目詳細
施工場所都内バー・ラウンジ(路面店・地下1階)
面積約100㎡(厨房除くフロア)
席数カウンター8席・テーブル席24席
LEDテープ総延長約88m
総消費電力約560W(電源装置容量 740W・余裕率1.3倍)
電源台数6台(ゾーン別独立回路)
調光方式PWM調光(シーン切替対応・4シーン設定)

2. 4ゾーン照明設計の詳細

ZONE A
バックバー棚バックライト
COB 24V 8W/m
色温度: 2700K(電球色)
Ra値: Ra90
施工長: 20m
消費電力: 160W
取付: Uチャンネル(棚背面埋め込み)
目的: 酒瓶のラベル・液色を美しく見せる
ZONE B
カウンター下間接照明
COB 24V 6W/m
色温度: 3000K(温白色)
Ra値: Ra90
施工長: 16m
消費電力: 96W
取付: Tチャンネル(カウンター天板裏面)
目的: 床への光こぼれでフローティング感
ZONE C
天井コーブ(周辺間接)
COB 24V 6W/m
色温度: 2700K(電球色)
Ra値: Ra90
施工長: 38m
消費電力: 228W
取付: Tチャンネル(天井ふところ)
目的: 天井面への均一な反射光で空間全体に暖かみ
ZONE D
テーブル棚・ウォールスコンス補助
COB 24V 5W/m
色温度: 3000K(温白色)
Ra値: Ra90
施工長: 14m
消費電力: 70W
取付: Uチャンネル(壁面装飾棚下)
目的: テーブル面への局所光・グラス映え
設計ポイント: バー・ラウンジでは色温度を2700〜3000Kに統一することが基本です。4000K以上の白色光は「オフィスっぽさ」が出て雰囲気を損ねます。ゾーンA(バックバー)とゾーンC(天井)は2700Kで統一、接客エリアのB・Dは3000Kでわずかに明るくしてバランスを取っています。

3. 電源設計と配線計画

バー・ラウンジでは「ゾーンごとに調光シーンを変えたい」という要望が強いため、各ゾーンを独立回路にすることが重要です。電源装置をゾーンごとに分けることで、回路障害時の影響範囲も最小化できます。

ゾーン消費電力電源容量(×1.3)推奨電源台数
Zone A バックバー棚160W208W250W電源1台
Zone B カウンター下96W125W150W電源1台
Zone C 天井コーブ(前半)114W(19m分)148W150W電源1台
Zone C 天井コーブ(後半)114W(19m分)148W150W電源1台
Zone D ウォール棚70W91W100W電源1台
予備回路150W電源1台
合計554W720W6台
天井コーブの両端給電: Zone Cは38mと長尺のため、中間点で2回路に分割し両端から給電しています。これにより電圧降下を実測値で0.3V以内に抑制できました。長尺施工では中間分岐または両端給電が電圧均一化の基本手段です。

4. 調光シーン設定(4シーン)

PWM調光対応のCOBテープ+DMX調光コントローラーの組み合わせで、シーン記憶と切替を実装しました。オーナーが壁スイッチ1操作でシーンを切り替えられるように設定しています。

シーンZone A バックバーZone B カウンターZone C 天井Zone D テーブル狙い
開店準備100%80%60%60%清掃・仕込みの作業照度確保
オープン100%50%30%40%バックバーを際立たせ、全体は落ち着いた雰囲気
深夜・バータイム80%30%15%20%最大限の暗転・カウンター上のグラスを強調
クローズ後20%0%0%0%防犯用最低限・省エネ
調光と色の関係: PWM調光でテープを30%以下に落とすと、低品質テープではチラつきが発生します。COBテープは高品質PWM回路を内蔵したものが多く、10%まで落としてもチラつきを抑えやすい特性があります。調光器のPWM周波数が1kHz以上であることも確認してください。

5. バックバー棚の施工ポイント

バックバー(カウンター背面の酒棚)への照明は、バーの「顔」となる部分です。施工の精度が見栄えに直結します。

5-1. 棚板への取付方法

5-2. ガラス棚板への対応

ガラス棚板を使用する場合、LEDテープの光がガラスを透過して下段に漏れることがあります。

5-3. 配線の隠蔽処理

バーカウンターでは配線が見えると品位を損ねます。棚板の背面に配線チャネル(ケーブルモール)を設けるか、棚板に小穴を開けて裏配線することで、配線を完全に隠蔽します。

隠蔽方法メリットデメリット推奨場面
棚板裏の配線チャネル既存棚に後付け可能・加工が少ないチャネルの厚みで棚板が浮く木製棚・後付け改修
棚板小穴通し配線外観がすっきり・プロっぽい仕上がり棚板の加工が必要・DIY不可新設時・造作家具との一体設計
背板への配線モール最も工数が少ない・後付け容易背板に黒モールが見えるコスト優先・スピード改修

6. バー・ラウンジ照明施工のよくある失敗と対策

失敗例1: カウンター天板に直接光が当たる
カウンター下のLEDテープが天板下面に近すぎると、天板に光の粒や継ぎ目が見えます。光源がカウンター端から15cm以上内側に入るよう設置し、拡散カバーを必ず装着してください。
失敗例2: 天井コーブで「帯状の光の筋」が見える
天井ふところが浅い(100mm以下)と、天井面にLEDの粒が見えます。COBテープは粒感が少ないですが、拡散カバーとふところ深さ(推奨150mm以上)を確保してください。
失敗例3: 電源装置のファン音が静かな夜のバーで気になる
ファン付き電源装置は騒音値(dB)を確認してください。カウンター内や壁内に設置する場合はファンレス(自然冷却)の防雨型電源を選ぶか、ファン音が聞こえない場所(厨房内・キャビネット奥)に設置します。
対策まとめ: バー照明はゾーン分離・調光シーン・電源ファン音・配線隠蔽の4点が仕上がり品質を左右します。施主との打ち合わせ段階で「どのシーンで何を見せたいか」を明確にしてから設計に入ることで手戻りを防げます。

7. バー・ラウンジLED施工チェックリスト

確認項目内容状態
色温度統一全ゾーンを2700〜3000Kに限定(4000K以上を使わない)設計段階で確認
ゾーン独立回路調光シーンごとにゾーンを分割・独立電源を用意電源発注前に確認
PWM調光対応テープ調光器とテープの両方がPWM調光対応であることを確認機器選定時に確認
電圧降下計算長尺部(10m超)は中間分岐または両端給電で対策施工前に計算
拡散カバー装着光源直視エリアには必ず拡散カバーを装着施工図で確認
配線隠蔽処理カウンター・棚への配線は全て隠蔽(ケーブルモール/小穴)施工完了後に確認
ファン音確認電源装置の騒音値を確認(ファンレス推奨)機器選定時に確認
調光シーン登録開店・バータイム・深夜・クローズの4シーンを登録試運転時に確認
IP規格(液体対策)バックバー棚はIP44以上・スピルが想定されるエリアはIP54設計段階で確認

バー・ラウンジの照明設計に最適な COB 24V LEDテープ(2700K・3000K対応)はLED PRO SHOPでご用意しています。アルミフレーム・調光対応電源も工場直送でお届けします。